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【気象予報士試験】実技試験解説記事:第57回実技Ⅱ

割引あり

気象予報士試験の実技試験の解説記事です。
本記事は第57回実技Ⅱのものとなります。
実際の天気図に書き込みした画像を使ってわかりやすくまとめているので参考にしてください。

難易度

平年並み

総評

第57回実技Ⅱは、3月末の複数の低気圧やトラフ、前線がテーマでした。
季節の変わりやすい春・秋らしさを感じさせる問題ですね。
今回はダイナミックに東西を横断する擾乱に合わせて、【北はオホーツクから南は華中や中国大陸南部まで】と、日本周辺のエリアをもれなくマクロに取り扱う必要があり、日本列島とその周辺の対策しかしてこなかった受験生には取り組みにくさを感じたでしょう。
その代わりなのか、第50回後半ごろからために見かけるような60~70字といったボリューミーな記述はなく、20~40字で且つ難易度も易~並程度の記述が合計10題と、記述問題のみの難易度のみに着目すると例年より易しめだったはずです。

その他の短答問題や作図問題に関しても、決して易しくはありませんがレベルや作業量は平年並みでした。

唯一苦戦する問題としては、ラストの温暖前線の前線面の水平幅の計算だと思います。
75分という限られた本試験中に、ここを正解できた受験生は果たしていたのでしょうか?

しかし、仮にここができなかったとしても前後の問題への影響はなく、この問題自身も配点は低いため、あまり気にすることはないでしょう。


総じて、本試験の難易度は平年並みだと思われます。
実技Ⅰの方が得点が難しかったことを考慮すると、初見で75点は確保したいですね。

この問題の復習の仕方

上述したように、日本周辺全域がもれなく登場するので、中国大陸、沿海州、オホーツク、アリューシャンなどがピンとこない方は、復習に活用できるはずです。

50回台後半から、アリューシャンなどの出題例もでてきているので、低緯度から高緯度・東経110°~150°まで、ダイナミックに移動する擾乱の追跡に慣れておいて損はありません。

また【梅雨・夏・春・台風】などの頻出単元に対し、【春や秋の事例】は、出題頻度も低く、対策が手薄になるはずなので、貴重な春・秋事例として復習をしておきましょう。

この問題の目標点

第57回の実技の合格基準点は62%以上合格でした。
実技Ⅰがやや難しかったこともも踏まえると、初見で75点を目標にしたいです。

繰り返しますが、本問題で解きにくさを感じる最大の理由は【いつもより広範囲を扱う事例で、着眼点も手先もあっちこっちに振り回される】というのが原因のはずです。

目標点に大幅に届かなかった受験生は、この問題でスケールの大きな問題に慣れるようにしていきましょう。

問1

では問1から見ていきましょう、まず問1に共通の問題文を載せておきます。
小問毎の問題文は更に細かく分けて載せていきます。


問1-(1)

(1)の問題文は以下です。よくみかける気象概況の穴埋め問題です。回答の方法に指定があるところは、見落とさないようにしましょう。

以下画像でどこを見るべきかまとめています。
問題文の穴埋めのところに色分けして下線を引き、その下線と同じ色を使ってその穴に対応しているポイントを結び付けています。
このあたりは知識問題のため、細かい解説は入れておりません。


問1(1)解説図

(⑨)と(⑩)が見にくいのでそこだけ補足を入れておきます。
(⑨)は、抹茶色のマーカーで囲った範囲に【⑨停滞】前線がありますね。

そして、その停滞前線を挟んで、南側よりも北側の方が等圧線が込み合っています。つまり「北の方が気圧傾度が大きい=気圧の傾きが大きい」ということですね。
よって(⑩)には「北」が入ります。

今回は図1上のデータにそのまま着目するだけでした。
雲記号や天気記号は正確に覚えておきましょう。
特に過去天気・現在天気はややこしいですが、しっかり区別して暗記してください。
たまに図の右端に擾乱の詳細を英文でまとめていることもあり、そちらを読み解くケースもあります。
以下は第58回の図1のものです。

今回はそれではなく、擾乱付近に載せられた気圧値や矢印を使う問題でした。どちらで出題されても対応できるようにしましょう。

さっそく、中国大陸南部や台湾付近が出てきました。
このあたりの名称がピンとこない方は地図の振り返りを行っておきましょう。

(1)模範解答


(2)-①

問1(2)は【日本海中部】の低気圧に着目していきます。
まず①から見ていきます。①は【a:500のトラフと低気圧の位置関係】と【b:低気圧に伴う700の強い上昇流域と各擾乱の関係】の2つが問われています。以下の図を見てみましょう。

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