温位とは?相当温位/湿球温位って何?完全独学合格者による分かりやすい考え方と解説!【気象予報士試験対策記事:学科一般知識編】

突然ですがこの問題が解けますか?

突然ですが問題です。以下の問題を解けますか?

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これは、第50回気象予報士試験の学科:一般知識試験の問2です。温位と相当温位の理解を問われる出題となっています。

4つの高度・湿度の違う空気塊の温位と相当温位の大小を比較する問題です。パッと見、とても複雑な計算や思考が必要に感じませんか?

実はこの問題【温位と相当温位がきちんと理解できている受験生】は1分足らずで正答を導くことができるサービス問題です。

逆に温位・相当温位という概念をしっかり理解・イメージできていない受験生は、複雑な計算や空気塊の上げ下げが必要に見え、時間のかかる【てこずる問題】に見えてしまいます。

ちなみに僕は根っからの文系人間です。高校では数1A2Bまで履修しましたが、理系科目は生物の基礎しか履修していません、今はなつかしとなったセンター試験で受験した理数系科目は数学・生物のみです。

加えて、0からの完全独学・テキスト学習だけで気象予報士試験合格を勝ち取りました。【そら坊のサイトはこちら

そのため、力学や熱力学などの理系科目は独学で非常に苦戦しましたが【数式をできるだけ使わず、日本語とイメージ力での理解】に努めることで、なんとか学科試験を突破することができました。

なので…

・この問題の正答に2分以上かかる受験生

・正答出来なかった受験生

・温位・相当温位を苦手と自覚している受験生

・文系出身or文系脳のため、数学・物理学等ではなく言語的なイメージで理解したい受験生

はこの記事を読んでいただければ、温位・相当温位の理解を促せるはずです。是非、チェックしてみてください。

温位・相当温位・湿球温位がしっくりこない受験生へ

この記事では、完全独学で気象予報士試験に合格し、気象予報士試験対策個人指導を5名に行っている筆者が、独学受験生の最初にぶち当たる壁の一つ【温位】と【相当温位】と【湿球温位】という概念に関して、すっきり理解できる考え方と解説をまとめていく記事です!

この記事の最後では、最初に掲載した実践問題の正当へのプロセスをまとめています。この記事を最後までお読みいただければ

【きちんと理解できている受験生はこんなに簡単にとけちゃうんだ…】

と、目からうろこを落としてくれるはずです。あと、あまり突き放した言い方はしたくありませんが

【これをサービス問題と捉えて正答出来ない受験生は合格が遠い】

です。15点中の1点は非常に大きいです。1点の重みを十分理解し、曖昧な理解を一つでも減らせるように頑張りましょう。

馴染みのない概念【温位】・【相当温位】・【湿球温位】

まず、温位及び相当温位という概念につまずいてしまう受験生が多いのは、「なんとなくの理解になっている」からです!

温位や相当温位は、字面や響きから「気温や温度と似たようなものだろうな…」となんとなく理解できた気になってしまいがちです。

気温や湿度などの馴染みのある概念は、特に学ばずとも、これまでの人生で自然と意味を理解してきた受験生が多いはずです。

そのため、似たような温位・相当温位に関しても【ふわっと理解しておけば大丈夫】・【そのうちわかるだろう】と本質を理解せずに学習を進めてしまう受験生が多いはずです。

温位・相当温位は一般知識試験はもちろん、実技試験にも通じる【気象学の基礎・基本】となる概念です。

一般知識試験の全15問の内、1問はほぼ必ずこの温位・相当温位・湿球温位を絡めた問題があります。

これらの理解が曖昧な受験生や、言葉で説明できない受験生は、是非この記事を参考にし、理解を深めて合格に近づいてください😀

そもそもなぜ温位を学ぶの?

「気温っていう指標があるのに何で温位を学ぶの?」と思ったことがある受験生は多いと思います。僕もそう思っていました。

その答えは【高度の異なる空気塊の温度を客観的に比較するため】です。

大気は高度が上がればあがるほど、気温がどんどん低下していきます。

【地上の25℃の空気】と【高度5000mの-20℃の空気】は気温だけを見れば当然前者の方が暖かい空気ですが、後者は高度が高い分気温が低くて当然のため、気温だけで比較してもあまり意味がありません。

そのため【温位】という指標を使うのです。

空気塊が上昇するとなぜ気温が下がるのか?

ちなみに、空気が上昇すると気温が下がる理由は、理想気体の状態方程【p=ρRT】で説明が出来ます。

ただ、数式が苦手な人は「体積膨張にエネルギーを使うから」と覚えておきましょう。

空気塊が上昇すると、その空気塊を取り巻く周囲の気圧が低下します。

周囲の気圧が低下するということは、空気塊を外から押し付ける力が小さくなるということです。

そうなることで空気塊が膨張し体積が増加します。

空気塊が保有するエネルギーは一定なので、体積膨張のためにエネルギーが使用された分、熱エネルギーが減少し気温が下がってしまいます。

これが、空気塊が上昇すると気温が下がる理由です。

この記事で何を学べるか

この記事では温位と相当温位という馴染みのない概念に関して

①なぜ温度ではなく温位を使うのか?温度との違いは何か?

②文系出身・物理知識一切なしの筆者が温位をきちんと理解できた【温位及び相当温位とは何か?という具体的なイメージと捉え方】

③【温位】と【相当温位】の違い

④温位の落とし穴と間違えやすい点の注意点

⑤【温位】と【相当温位】の保存に関して

⑥【湿球温位】と温位・相当温位との関係

の5点が理解できるようにまとめています。

小難しい数式は一切使わず、日本語と具体例だけでまとめています。テキスト学習だけでは温位・相当温位が理解できない受験生に是非読んでほしい記事です。

そして、冒頭の実践問題の回答プロセスをまとめます。ただ、イメージをきちんととらえることができれば非常にシンプルに解ける問題のため、解説自体は非常にあっさりしていますのでご了承下さい。

温位の必要性を年収で例えてみる

温位という考え方を社会人の年収と能力で例えてみます。

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