「全国フェミニスト議員連盟宛の質問状」への個人的感想
私がこの記事を書こうと思ったのは、このツイートがきっかけでした。
後半については少し引っかかるところがあります。質問状なんだから「期日指定して○日までに答えろ」は当たり前じゃないか向こう様だってそうしてきたじゃないか、とかそういったことは思うんですが大事なところはそこではありません。
女性議員たちの「抗議」に対して「絶対にあってはならない暴挙」だという主張で「抗議」「質問」するという内容。
これです。これ見てはっとしたんですよ。
「確かにそうだ、議員連盟の抗議って『絶対にあってはならない』暴挙か?」ってね。
ということで、まぁ少し気になったので質問状の中身を引用して自分の感想を述べる、タラタラした文章になると思います。あくまでも独り言、ということでご容赦下さい、それでは始めます
ひとつ勘違いしないでいただきたいのは、私はあくまでオタク側の人間です。表現の自由絶対主義者でもフェミニストでもありませんから、冒頭部分だけ読んで「あっ、このヒトは署名活動に対して否定的なんだな」と思われた方は勘違いですので、気分を悪くする可能性を承知でご覧ください。
また、とても記事が長いので時間のない方は「抗議文の総括」の章だけでもご覧になっていってくださいませ!
冒頭部分
私たちは、萌え表現やバーチャルYouTuber(以下、VTuberと呼ぶ)による表現行為に対する偏見や差別を改めるとともに、日本社会における表現の自由、多様性及び寛容さを求めて声を上げ、TwitterなどのSNSを通じてつながる有志一同です。
さて、去る8月26日に「全国フェミニスト議員連盟」の共同代表である増田薫氏、前田佳子氏及び事務局の伊藤正子氏によって行われた「「松戸市ご当地VTuberの戸定梨香」を啓発動画に採用したことに対する抗議」について、私たちは強く抗議するとともに、あなた方が行った「抗議」により、VTuberを活用した自治体による啓発動画が削除されたことについて、深い遺憾と憂慮の念を表明いたします。
ただの自己紹介と内容の要約ですね、私も全面的に同意します。「取り下げを行った警察に対して抗議するべきではないか」という意見も当記事冒頭で貼ったツイートのツリーにありましたが、私はそうは思いません。何故ならば、『あなた方(フェミ議連)が行った「抗議」により、VTuberを活用した自治体による啓発動画が削除された』ことはほぼ明白であると考えるためです。
「抗議」によって動画が削除され、その根本原因となる「抗議」に対して抗議した、という構図ですね、なんらおかしいものではありません。
VTuber文化の説明
そもそも、VTuberとは、2016年に活動を開始したキズナアイをはじめ、2D・3Dのキャラクターがしゃべり、踊り、ファンとコミュニケーションを取りながらゲーム実況や様々な解説、実験などを行うという、インターネット空間を舞台とした日本発の新しい文化です。
(中略)
BBCは、VTuberの魅力について、「個人的なことやアイデンティティの問題に拘束されないこと」(BBC「The virtual vloggers taking over YouTube」)と紹介しています。現実の年齢や性別、容姿や障害・疾病の有無にかかわらず、自分がなりたい外見になれるこのVTuberの世界は、現実世界の私たちの肉体を束縛するセックスやジェンダーを越境して、自由に羽ばたくことができる空間なのです。
これについても異論ありません。私はソードアート・オンラインやアクセル・ワールドを読んで育ったので(なんて不健全な家庭なんだ)、技術の発展によって肉体という柵から開放され、なりたいものになれる世界というものを幾度となく夢想してきました。VTuberというのはそういうものの先駆けのように思えますから、そのような時代がとうとうすぐそこまでやってきたのだなぁと思うと胸が熱くなりますし、一技術者見習いとしてそのような技術の発展に寄与していきたいなぁという思いは強く持っています。アミュスフィア、早く実用化されないかなぁ
本題
さて、あなた方は「セーラー服のような上衣で、丈はきわめて短く、腹やへそを露出している」「体を動かす度に大きな胸が揺れる」「下衣は極端なミニスカート」などと、あたかも学校の生活指導教諭のようにVTuberの服装や体型を細かくチェックしたうえで、「性的対象物」だと決めつけ、国際女性差別撤廃委員会が言うところの「固定観念と有害な慣行」に当たるとし、「公共機関である警察署が……採用することは絶対にあってはならない」と断定し、抗議されました。
しかし、服装や体型を理由に、「性的対象物だ」とレッテルを貼り、公共の場から追い出そうとするあなた方の活動は、本来、フェミニズムが擁護すべき、女性の多様な在り方と自由を称揚する立場とまったく矛盾するものです。
それだけではありません。
現実の肉体の年齢や性別を超えて、まったく異なる理想の身体になるという、新しいセクシュアリティを獲得した人々の意思と想いがこもったこの新しい文化に、「女性差別」のレッテルを貼りつけ、踏みにじろうとしているのです。
これに対しても概ね合意します。『なりたい自分になる』、これはリベラル・フェミニズムが長年に渡って勝ち得ようとしてきた自己の内面表現の究極系ともいえるものです。「外面は内面を写す鏡」といった旨のキリト氏の名言にも語られる通り、「理想の身体」というのはヒトが思う自分のあるべき姿の体現であり、まさしく「自己表現」であります。そんなVTuber、
戸定梨香さんに対してフェミ議連は「女性の定型化された役割に基づく偏見及び慣習を助長しています」(原文ママ)と言ってのけたのです。定型化された役割?バカいいなさいよ、これは『自己の』表現だって言ってるじゃないですか、誰も「定型化された役割に基づ」いてなんかないんですよ!!
だいたい、フェミニストの方に「公的広報でこういうことをしているのが問題で、コンテンツ自体に文句を付けるつもりはない」などとおっしゃる方はいるんですけど、そんなことフェミ議連の質問状に1mmでも書いてありましたか??
書いてないですよね、あくまでも「蔑視的表現だ、だからそれを公的広報で取り上げるのはおかしい。よって抗議する」という論調です。
フェミ議連がVTuber・戸定梨香さんを蔑視的表現としているのは事実なんですよ!!!!!
スゥー(深呼吸)
失礼しました、少々熱くなってしまいましたね
(たぶんこの論理は穴だらけだと思うので破るのは容易だと思います。
したらば、なぜ私はこんなにフェミ議連に対して怒り心頭であるのに「概ね合意」としたのか?それは、この一文がちょいと引っかかったからです、本当に些細なことですよ
本来、フェミニズムが擁護すべき、女性の多様な在り方と自由を称揚する立場とまったく矛盾するものです。
これ、リベラル・フェミニズムの目的であってラディカル・フェミニズムの目的ではないんですよね…まぁ、ツイフェミ(今回はフェミ議連だが)は女性の多様なあり方(リベラルの言い分)を標榜しながらやってることはラディカル(女性らしさへの攻撃)なんで間違ってはないんですけど…
ラディカルは最初から女性の多様なあり方なんか目指してないので(むしろ女性らしくある女性を攻撃しようとする)、この一文は特に向こう様に対するダメージになってないんじゃないかなと思った次第です。これも主観ですね。さて、次行きましょうか
戸定梨香さん運営側の意見
「私は女性ですが、彼女の見た目を女性蔑視だとは思いません。
人により感覚が違うのは当たり前の事ですので、価値観の違いを押し付けるのではなく、どうしたらお互いが良い方向に行くのかを考え、歩み寄る姿勢を取ることが何より女性が活動しやすく、大切な事ではないでしょうか。
(後略)
Exactly(その通りでございます)
「へそ出しセーラーが、強調された胸が、短いスカートが、女性の定型化された役割に基づく偏見及び慣習を助長しています」などと言われても我々は「私らはそうは思いません」「うるせぇ削除しろ」で永遠に続くんですよね。これが価値観の違いです。
具体的になぜこれらが「定型化された(ry」を助長するのか、どうすれば納得するのか、それは我々にできる譲歩で可能なのか、そういったところの認識・意見の擦り合わせをしないとまず平和裏な交渉は実現しません。
もちろん「価値観の違いを押し付ける」権利だって誰にでも保証されていますし、その権利に対して文句を言う筋合いは我々にはありません。それも表現の自由ですからね。
抗議文の総括
さぁこれが問題なんだ!
地域住民の負託を受け、仮にもフェミニズムを掲げて活動する「全国フェミニスト議員連盟」の活動として、絶対にあってはならない暴挙と考えますので、厳重に抗議するとともに、貴連盟の見解をお聞きしたく、次の質問にお答えくださいますようお願いいたします。
全国フェミニスト議員連盟が地域住民の負託を受けて活動している、というのは間違いないでしょう。
向こう様が出した抗議文に対して厳重に抗議するのも頷けます。
質問状なんですから質問に答えるよう書くのは当然です。
然しながら…
「絶対にあってはならない暴挙」という一節、これだけはよくわからないんです。
たとえ一市民の声だとしても、議員連盟の抗議文だとしても、総理大臣の遺憾砲だったとしても、その「声を上げる行為」それ自体は、他でもない「表現の自由」によって担保されなくてはならないはずなのです。
もし議員や総理に「声を上げる自由」が無かったとするならば、安倍前総理の発言とか大問題になってるはずですよね、安倍ちゃんの某ナントカ新聞に対する抗議とか。
おぎのさんは確か「議員連盟という公の立場を利用して民間に圧力を掛けたのだからそれに対する批判は受けて当然」といったことをツイートしてらっしゃったと思うのですが(要出典)、それは公関係なく、抗議文を出したからには必ず受けなければならないものだと思います。
「表現の自由」という権利を振りかざすわけですから、それには大いなる責任が伴って当然です。
確かに議員連盟から抗議文が飛んできたらかなりビビるでしょうが、そこで削除させないために我々も「表現の自由」を行使して抗議文返しをする。これがあるべき健全な形であって、「フェミ議連が抗議文を出すこと自体を批判する」というのはお門違いであり、「相手の表現の自由を認めない」ような発言と取られても仕方がないと、ぼくは考えます。
そして、「絶対にあってはならない暴挙」という言い過ぎなフレーズは案の定フェミニストの方に拾われ、冒頭のツイートのような反論を許すことになってしまいました。残念ですが当然ですね、フェミニストの方はこのフレーズに対して抗議文返しをしてみたら面白いかもしれません。
追記(2021/09/14)
「議員や総理のポストにいる人間に「声を上げる自由」が無い、という話をしているのではなく、あくまでも議員連盟という肩書を使って圧力を掛けるのが問題なんだ」という指摘がありまして、確かにそうだなぁと思いましたので追記しておきます(軟弱者)
確かに、「議員連盟」の名義で送る必要はないですからな…我々のように個人としてやればよかったのに()
質問の内容
まぁ、これはそこそこに…
VTuberが「丈の短い着衣」「大きな胸」であることが直ちに「性的対象物」になると断定する理由をお聞かせください。
…説明できますか?
丈の短い着衣なんて誰だって着ていますし、大きな胸だって取り上げて批判するのはよろしくないんじゃないかと個人的には思います(主観)
だって、「おっぱいユサユサ」なんて中学生のいじめでも言いませんよ?
戸定梨香さんだって、「性的対象物」として見られるために「丈の短い服」や「大きい胸」をしているわけではないでしょう。
「リアルとバーチャルは違う」とおっしゃるかもしれませんが、それは違います。
こういうことを言うのは全く褒められた話ではないのですが、戸定梨香さんにも人格があるわけですから、戸定梨香さんに対して「性的対象物として見られるために云々」などとして批判することは戸定梨香さんの人格そのものを否定することにも繋がりかねません。(これはあくまで主観ですがね?論理も根拠もない感情論です。)
しかも、この質問には「なぜフェミ議連は戸定梨香さんを『性的対象物』と認定し、削除を求めるに至ったか」を解き明かし、認識を擦り合わせて議論を前に進める意義があるため、この質問に大きな問題はないと考えます。
VTuberが地域の交通安全啓発をすることが、なぜ「性犯罪誘発」につながるのか、明確な機序をお答えください。
こんなもん答えられるわけがないですね。なぜならば「性犯罪誘発に繋がるなどという事実は存在しない」からです。万一存在したとしても人間の性癖はそれこそ一人一派ですから、明確な機序なんぞあろうはずがございません。
この質問の「明確な機序」っていうのを「貴連盟の見解をお聞かせください」あたりにするとまだ良いのかもしれませんが…ちょっと意地が悪すぎるように思いますね…
あなた方の抗議活動は、「株式会社 Art Stone Entertainment」やVTuberを運営するクリエイターの公共空間における表現活動の場を奪い、経営者である板倉節子氏をはじめ、女性の自己表現の機会を潰す結果となっておりますが、そのことについて、女性活躍推進の観点からどのようにお考えか、お答えください。
特にいうことはありませんね。「自己表現」を「公的広報」でやるんじゃない、という声が聞こえてきますので前作のnoteを貼っておきます。この戸定梨香さん起用には、自己表現云々を抜きにした明確な意図があるので…
自らの肉体の年齢や性別と異なる姿になり、自らの意思によってその服装や肉体の在り方を決定するというVTuberという存在について、LGBT、特にクロスドレッサーの人権の観点から、どのようにとらえているかお答えください。
これはちょっとよくわかりませんね()
今は公的広報におけるVTuberの必要性を議論しているのであって、LGBT、クロスドレッサーに関する知見をフェミニストに求めるのはお門違いだと思います…
戸定梨香氏の体型や服装は、VTuberとしてごく一般的なものと考えますが、そうしたVTuberの動画が「女児を性的対象とする」ものであり、「性犯罪を誘発する」と貴連盟が断定する根拠をお答えください。
質問状を送ってきたのはフェミ議連が初めなのですから、なにか「性犯罪を誘発する」根拠があると思ったんですかね(投げやり)
確かに、根拠もなしに削除しろ!とはなかなか言わないはずですからね…()()
まとめとしては、所々おかしい質問も混ざっているように思えました。
LGBT、クロスドレッサーの人権問題をフェミニスト団体に聞いたのは少し蛇足だと感じますし、答えようのない質問も混ざってましたから…
質問状の最後
なお、私たち有志一同は、千葉県松戸市、松戸警察及び松戸東警察におけるVTuberを活用した地域振興及び交通安全啓発への先駆的試みを高く評価し、賛意を表明するとともに、今後もVTuberの活用をいっそう推進するよう、市と警察に対して申し入れを行う旨、併せて表明いたします。
フェミニストの皆様の間では「取り下げを決定した警察に抗議しろ」といった旨の言動が見られますが、
一度は「VTuberを活用した広報活動」をすることを決めてくださった警察の方々に、
全国フェミニスト議員連盟様からの抗議文を貰ったことによって「初めて」動画の取り下げを決定した警察の方々に、
なぜ抗議をしなくてはならないのか私は心より疑問に思いますのでぜひ質問にご回答くだされば大変助かります。
さいごに
長い記事になりましたね、疲れました
フェミニストの方々が食らいついていることには理由があるものもあるのだなぁというのが発見でした(失礼)
これからはより一層、是々非々で物を見るということを徹底していきたいと思います。
こんなところまで誰も読んでないと思いますので、手短に締めさせて頂きたいと思います、ありがとうございました
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