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地方創生のためのNFT活用事例

最近、地方創生を目的としたNFTの活用が注目され始めている。自身の勉強も兼ねてネットで公開されている実際のNFT活用の記事をピックアップし、整理したので共有する。これからNFT活用の検討を始めようとしている方や、NFT活用方法や活用事例を調査している方の一助となれば幸いです。

1.DAOの入口としてのNFT活用事例

1.1.新潟県長岡市山古志(旧山古志村)ニシキゴイNFT

  • 山古志住民会議は錦鯉をシンボルにしたNFTアート「Colored Carp」を発行し2021年12月14日より発売

  • 山古志地域(旧山古志村)は世界中に愛好家を持つ「錦鯉」発祥の地

  • NFTは人口減少が進む山古志地域の電子住民票を兼ねたデジタルアート

  • NFTの販売益は地域活性のためのプロジェクトや課題解決の財源として利用

  • NFTホルダーは山古志地域の電子住民票を持ち、地域存続のためのアイデアや事業プランを専用のコミュニティチャット内で議論。意見の集約、投票など、可能な限り民主的な手法を取り入れた地域づくりを目指す

  • 将来はNFTを持つホルダーが滞在できるレジデンス建設や特別な体験提供など、デジタル住民向けにリアル空間でも楽しめる価値づくりにも注力

  • リンク:山古志住民会議ニュースリリース

  • 山古志地域がニシキゴイNFTを発行したその後については以下のリンクに詳細が載っています

  • リンク:人口800人の限界集落が「NFT」を発行したその後

2.既存の地域活性化プロジェクトと連携したNFT活用事例

2.1.「温泉むすめ」プロジェクト + NFT

  • NFTマーケットプレイス「nanakusa」を運営する株式会社スマートアプリが、NFTを活⽤した温泉地の地域活性化を⽬的として、観光庁後援の「温泉むすめ」プロジェクトを⼿がける株式会社エンバウンド、⽇本円を対象としたステーブルコイン「JPYC」を発⾏する⽇本暗号資産市場株式会社、情報システムの構築・サポートを⾏う株式会社マネーパートナーズソリューションズと提携したことを発表

  • 提携内容は以下の通り。
     ・温泉地の魅⼒発信・ファンづくりにおける「温泉むすめ」NFT活⽤
     ・ERC20前払式⽀払⼿段を活⽤した観光客誘致・地域活性化

  • リンク:SBINFT株式会社のプレスリリース

  • 温泉むすめプロジェクトとは

    • 温泉むすめプロジェクトは、アニメや漫画、キャラクターや声優などのIP(IP:Intellectual Property)を通じて、日本全国の温泉地や地方都市の魅力を国内外に発信するために作られた「地域活性化プロジェクト」

    • 詳細は公式サイト、または公式サイト内「温泉むすめプロジェクトとは」参照のこと

    • リンク:温泉むすめ公式サイト 温泉むすめプロジェクトとは

3.地域スポーツクラブと連携したNFT活用事例

3.1. 鎌倉インターナショナルFC + NFT

  • 神奈川県社会人サッカー2部リーグ所属の鎌倉インターナショナルFCがOpenSeaにて、NFTコンテンツ「鎌倉デジタルコレクション by 鎌倉インテル」を販売

  • NFTは鎌倉の名所や人物などに、鎌倉インテルが掲げるビジョン「Club Without Borders」およびロゴテーマである「Evolving Marble」のグラフィックデザインをかけ合わせたデジタルアートコレクション

  • 同コレクションの初期販売および二次販売以降の収益から手数料を差し引いた一部を「鎌倉インテルこども未来基金」を通じて、鎌倉の子どもたちや指導者を対象としたスポーツ教育、国際教育、環境教育の充実に活用

  • リンク : 鎌倉デジタルコレクションのニュースリリース

4.メタバースゲームと連携したNFT活用事例

4.1.ご当地NFTトレーディングカード(鉄腕アトム)

  • 株式会社JTBと株式会社ジェーシービーの合弁会社である株式会社J&J事業創造、株式会社手塚プロダクション、NOBORDER.z FZEの3社は、地域経済、国内観光マーケットの回復と支援などを目的に、日本各地をテーマにしたご当地NFTおよびトレーディングカードゲームの共同開発・販売の開始を発表

  • 第一弾は鉄腕アトムと鳥取県がタイアップ

  • 日本全国の観光地や観光資源と「鉄腕アトム」がコラボレーションしたご当地NFTトレーディングカードを使って、各地の魅力や文化を楽しく学ぶことができるほか、多言語に対応しインバウンド需要の回復期を見据えた訪日外国人の好意醸成に寄与したいと考えている

  • NFTトレーディングカードは手塚プロ監修のもと、NOBORDER.zが運営する国際的なNFTマーケットプレイス『XANALIA』で購入できる

  • NFTカードはコレクションはもちろん、今後リリース予定のゲームアプリ『NFT DUEL』にて遊ぶことが可能な他、NOBORDER.z運営のメタバース空間『XANA』とも連動したコンテンツが楽しめる予定

  • トレーディングカードの売上の一部は、自治体・DMO(観光地域づくり法人)に寄付することを想定

  • 手塚プロは鉄腕アトムのIP(知的財産)を提供、NOBORDER.zはNFT制作支援・ブロックチェーン技術・メタバース技術・NFTゲーム基盤を提供、J&J事業創造はJTBと連携し、観光コンテンツの選定・企画制作支援を行うほか、日本全国の自治体・DMOへの対応窓口となる

  • リンク:株式会社J&J事業創造のプレスリリース

5.地元出身アーティストと連携したNFT活用事例

5.1.北海道北広島市 + 鹿間ぐみこ(実証実験)

  • 株式会社あるやうむは、一般社団法人北海道きたひろ観光協会(北海道北広島市)と観光振興にNFTを活用する実証実験を開始

  • NFTは札幌市在住のNFTイラストレーター・鹿間ぐみこ描き下ろしイラストをNFT化したもので1枚を抽選販売

  • 将来的に自治体とコラボする可能性やお土産としての提供を見据える

  • リンク:株式会社あるやうむのプレスリリース

まとめ

  • 今回、ネット上にある実際にプロジェクトが進んでいる日本での事例を取り上げたが、まだまだ表に出ている事例は少ないという印象(記事を書いたのは2022/2/20)

  • その中では旧山古志村の事例は、NFT購入をきっかけに地域活性のための活動に直接参加できる点や、NFTの収益を直接的に地域のために活用でき、かつ透明性を持った民主的な運用ができる点で他のプロジェクトより進んだ取り組みであると感じた

  • 温泉むすめNFTは”温泉むすめ”自体がコレクション性の高いIPであることや、”温泉”または”温泉を中心とする地域文化”という現地に行かないと味わえない特別なユーザ体験を有することからNFTの売買(または配布)を起点として様々な展開が期待できると感じた

  • 今回取り上げた事例の内4つの事例は地域が持つ観光資源をもとに、NFTというテコを利用して外部からの資本流入を想定したプロジェクトであった。魅力的な観光資源が”無い”と考えている地方自治体は、地域の魅力を見直すところから始める必要があるが、答えは意外に身近なところにあるのかもしれない。(現に私の出身地も近年のSNSの発達で、これまで住民が見逃していた地域の新しい魅力が発掘され、ちょっとしたブームが発生したりしている→岐阜のマチュピチュ天空の茶畑

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