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無性に昔のラジオが聴きたくなる

今から30年くらい前、あまりテレビを見ないようになった。丁度、中学生の年代になり、テレビは小学生の弟に譲り、自分は自分専用で買ってもらったCDラジカセでラジオを聴くようになった。

ラジオは元々身近なものでもあった。
両親が自宅で商売をしていたこともあり、そのBGMとしてラジオが流れていたし、配達に出かける父親についていくと、トラックの車内でもラジオが流れていた。ただし、その頃はAM専門。大相撲中継やプロ野球中継などが中心。トラックのラジオはAMしかついていなかったし、自宅の店で使っていたラジオはAMのトランジスタラジオ。

小学4年生の時に、大けがをしてベッドに3週間ほど縛り付けられるという事があった。その時に初めてFMラジオというものを知った。ステレオ放送というものに、ものすごくビックリした。我が家の家電は長持ちだったので、ステレオという存在がなかった。テレビもスピーカーは一つだったし。
古いステレオを病室にしていたベッドの側に父がセットしてくれた。古かったけれど、それでもステレオの放送から流れてくる音楽に、ものすごく癒やされたりした。

中学生になり、思春期を迎えたからかもしれないけれど、家の中で一人で過ごす時間が多くなってきた。それが丁度80年代末ごろ。受験勉強などもあったりして、ラジオが癒やしの時間になった。

その頃、よく聞いていたのが夜9時くらいから深夜零時までのNHK-FM。
ミュージックスクエアから青春アドベンチャー、そしてクロスオーバーイレブン。この流れは、ちょっと大人への背伸びをするかのような時間。
津嘉山正種さんの渋ーい声で出てくるストーリーと、音楽には詳しくはないけれど選曲されるヒュージョン音楽が、大人という世界の想像をかき立てていた。

今、自分が大人になって、あの頃のストーリーに出てくるような大人にはなっていないという自信だけはある。渋い、大人の男の世界。
また、もう一度、深い夜にあの世界に出会いたい。

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