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2022年のCDP企業評価

Carbon Disclosure Project(CDP)は、2022年版の企業評価レポートを公表しました。本記事では、その評価レポートについて解説したいと思います。

CDPとは?

CDPとは、企業の環境関連の情報開示を促進かつ評価する世界的な取り組みです。任意の情報開示システムではあるものの、数多くの企業が参加しており、機関投資家の間でも広く利用されているシステムになります。現在、680超の金融機関がCDPの評価を利用しています。

CDPの評価項目は?

今年で7回目となる年次評価では、気候変動、水セキュリティ、森林破壊に関する企業の透明性(情報開示)とパフォーマンス(取組状況)を評価しています。

評価レポートの内容は?

  • 評価対象企業18,700社以上のうち、最高評価である「triple A」を獲得したのは、わずか12社のみでした。昨年「triple A」を獲得したのは14社なので、その数は減少しています。

  • 新たに「triple A」を獲得した企業は、Beiersforf(ドイツ)、LVMH(フランス)、UPM-Kymmene(フィンランド)の3社です。日本からは、花王が唯一「triple A」評価を獲得しています。

  • 今年「triple A」評価から落選した企業としては、不二製油(日本)、IFF(アメリカ)、Mondi(イギリス)、Symrise(ドイツ)、Unilever(イギリス)があります。落選の背景としては、CDPが今年の評価により厳しい評価基準を設けたことが挙げられます。

  • 29,500超の企業がCDPに対して何のデータも提供しておらず、「F」の評価を受けています。その中には、バークシャーハサウェイ、テスラ、サウジアラムコ、エクソンモービル、シェブロンなどの企業が含まれます。これら企業は、CDPの質問に対して一貫して回答していない。

  • 18,700社のうち、CDPの質問に回答した330社は「single A」の評価を受けています。

  • CDPの質問に回答した18,700社のうちの59%は、「C」または「D」の評価を受けています。これは、企業が環境のインパクトを認識する初期段階であるという評価になります。

  • 「A-」と「D」の評価を受けた2/3の企業は、昨年から改善が見られませんでした。

  • 環境関連の情報開示については、CDP以外にも、TCFDや各国政府の情報開示ルールなどもあり、企業はそれらに対応することが難しくなっています。

参考文献


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