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ジェット機への投融資はグリーンか

ジェット燃料を用いた航空機は、グリーン投資と呼べるのか。昨年の「原子力と天然ガス」に続いて、EUタクソノミーを巡って新たな火種が欧州で生まれている。

ジェット機はEUタクソノミーに含めるべきか?

現在、欧州委員会ではジェット機をEUタクソノミーに含めるべきかという議論を行っている。EUタクソノミーとは、民間資金の流れを環境や社会に優しい経済・事業活動に向かわせるための枠組みのことである。

航空業界は欧州委員会に対して、新しい航空機についてはジェット燃料を使用する場合でも、EUタクソノミーに含めるべきと主張している。その理由は、新しい航空機が従来機に比べて最大2割の排出削減が可能であるからである。

しかし、環境専門家はこの主張に反対の立場を取っている。その理由は、2割の削減といっても、ジェット機は環境に甚大な悪影響を与えていることには変わりなく、EUタクソノミーが定義する「環境に優しい」事業活動には当てはまらないと考えているからである。EUタクソノミーやサステナブル投資の対象に含めるためには、クリーン燃料またはゼロ排出の航空機である必要があると専門家は主張している。

航空機の抱える課題

航空業界は脱炭素化が難しい業界の一つと言われている。それは、代替燃料が限られている上、代替できた場合でもコスト面で採算が取れないからである。しかし、航空業界は世界全体のCO2排出の2%を占めており、脱炭素社会の実現のためには無視できない存在である。

解決策はあるのか?

脱炭素を実現するためには、電動航空機や水素燃料航空機の販売拡大が不可欠であり、そのためにはEUタクソノミーを通じた航空業界への投融資の拡大が必要であると航空業界のトップは主張している。

SAFとは?

Sustainable Aviation Fuelの略で、次世代の航空機燃料である。SAFはGHG排出量を最大80%削減することが可能である。ただし、現状は非常に高価であり、供給量が少ないことが大きな課題となっている。

参考文献


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