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人生最後の片思い

私の25年の人生の中で1番の暗黒時代は高校時代である。
その頃はいつメンの女友達と話を合わせるだけの毎日で、彼氏もおらず、帰宅しては摂食障害ずぶずぶの生活をしていた。あの頃は恋なんてしていないと思っていた。
しかし、ふと立ち止まり過去を振り返ってみたら、同じ写真部の一個上の、眼鏡のよく似合う先輩にずっと片思いをしていたことを思い出したのだ。


つい最近、吉祥寺でZINEのフェスティバル的なことが行われることを知った。ZINEは、暗黒時代である高校の文化祭で、写真部の催しとして作成した思い出がある。そのときに初めて、自分の撮った写真をもとに自己表現をした。自己表現。当然、今となっては黒歴史満載のZINEとなっているのだが。

なぜ急に片思いの先輩を思い出したのかというと、その吉祥寺のZINEフェスティバルに誰を誘おうかとインスタの友達欄を眺めていたときにふと目が留まったからだ。
1番興味を示しそうなのはこの先輩に間違いない。しかしもう10年(びっくり)も会っていないし、10年前も私がコソコソと片思いしていただけで別段親しかった訳でもない。きっと私のことなんて覚えていないだろう。

ありきたりな小説であれば、ここで私が10年振りに先輩と連絡を取り、無事にZINEフェスティバルデートをし、10年の時を経て恋仲になるというオチが待っているはずだが、当然そんな勇気は持ち合わせていない。というか先輩ももう26歳であるから、結婚していてもおかしくない。

きっと先輩は、私の最後の片思いの人であったと思う。それ以降の恋愛は、告白されて付き合って好きになる、の繰り返しだ。
片思いし続けて無事に恋が実るなんていうラブコメみたいなことをしてみたいものだ。

昔の恋は記憶の中で美しく変成される。眼鏡の、ビートルズが好きだった先輩は私の中ではBTSのテテくらいイケメンと記憶されている。

しばらくはビートルズでも聞いて昔の恋の余韻に浸るとしよう。

ZINEフェスティバルには、1人で行く。


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