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部屋が汚い

部屋が汚い。みんな汚い汚いというが、わたしの部屋は別格である。こどもの頃、子供部屋を与えられなかったわたしは、片付けがものすごく苦手だ。嫌いなのではなく、苦手なのだ。本の巻数は1から順に並べたいし、クローゼットの扉は絶対に閉めたいし、家具の色は統一したいし、埃をかぶせたくないし、靴はきちんと揃えたい。なのになぜか部屋は汚い。 父親から「片付けできない女の子なんか絶対にダメ」と言われて育ったはずなのに。全てわたしのせいなのだけれど。

部屋が汚い。まず服が散乱している。しかもおしゃれ着。かわいくしようと思って、一生懸命考えて着られたであろうピンクと黒がまばらに散らばっている。着ているとかわいいはずなのに、床に這わせるとまあかわいくない。つぎにペットボトルが無数にある。別に毎日4、5本なあなあに飲んでいる訳でもないのに、なぜか無数にある。街中で断れずもらったクーポン、出しっぱのコスメ、何個かの楽器、わたしをなんだかんだ形成しているモノらで、埋められている。なのに汚い。かなしい。

たまに友達を呼ぶために片付ける。うんうん唸って、なんなら少し知恵熱を出しながら片付ける。そういった時の部屋はなぜかとびきり綺麗になる。きた友達には「きれいでかわいい部屋!女の子っぽい」と言われる。わたしはなんだかとても恥ずかしくなってしまって、片付ける前の部屋の写真をみせてしまう。それでちょっと幻滅されて、安心する。

部屋がきれいだと落ち着かないのは、わたしだけでしょうか?なんだか完璧でいろ、と言われる気がしてならなくて、逃げたくなってしまうのは、わたしだけでしょうか?服をぽんと床に投げる時、ペットボトルを転がす時、楽器をケースにしまわず置く時、食器をそのままにして寝る時、わたしは少し許された気になってしまって。それがたまらなくて、やめられないのです。

もういっその事、きのことかが生えてくれたりしたら、こんなこと辞められるのに。そう思いながら今日もわたしは、床を埋めていくのです。

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