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苦しむ赤い悪魔~脆い守備陣が攻撃力を低下させる現実~

どの国にも伝統を持つチームがいる。イタリアにはAC MilanやJuventus、スペインにはReal MadridやFC Barcelona。そしてイングランドにはマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)がいる。
そのマンチェスター・ユナイテッドは今ワースト記録を更新するのではないかと言われるほどの得点力に加え怪我人のためか非常に貧弱な守備陣になっている。そこで今回はなぜここまでチームの調子が落ちてしまったのかを考察していく。


1.22-23シーズンの振り返り

昨季の22-23シーズンはユナイテッドにとって16-17シーズン以来のタイトルとなる、カラバオカップを獲得した。ユナイテッドに6年ぶりのタイトルをもたらした。僕を含め多くの方がユナイテッドの復活に希望を感じた人も多かった思う。また昨シーズンのユナイテッドはCL圏も獲得した。テンハフ監督にとっては素晴らしいスタートダッシュになったと思う。

昨季のチームの弱点は得点力の低さである。昨シーズンのゴール期待値は68.7であるが、決めたのは58点である。そしてSofa Scoreの決定機ミスの欄は2位の71回である。さらにセットプレーからの得点力が低くなんと5点のみである。

しかし昨シーズンの彼らには”圧倒的な守備力”があった。彼らは2位だったアーセナルや、首位のマンチェスターシティなどを抑えて1位の17試合無失点を達成した。実際昨季主にCBを務めたリサンドロ・マルティネスとヴァランの2人とカゼミーロが入ったことにより守備が締まりチームの調子が上向きになった。

そしてシーズン終了後チームとしては
・デヘア退団のために新たな守護神を見つける
・CBのケガが多いので2人に割って入れるようなプレイヤーを見つける
・新たな9番を見つける
・ブルーノとローテーションできるようなプレイメーカー
の獲得を望みオフシーズンに入りました。

2.コンディションの整わない開幕

新シーズンに向けて開幕までにマンチェスター・ユナイテッドは下↓の選手を獲得した一方
•Mason Mount (24)
•Jonny Evans (35)
•Andre Onana (27)

下↓の選手を放出した
•David De Gea  (32)
•Alex Telles  (30)
•Anthony Elanga  (21)  など
デヘアを除くとあまり試合に絡んでいない選手を放出するなどは良かったものの、開幕前にFWの補強はできなかった。それが開幕戦からチームに大きく影響する。
開幕戦はヴァランがヘディングで合わせた1点のみ。2戦目のスパーズ戦では最後まで崩せず2-0で敗北。
しかしチームとして悪かったのは得点力だけではなく選手のコンディション不良が大きく影響した。昨季チームの中盤で大事な仕事をしたカゼミーロがなかなかコンディションが整わない。さらに昨季エースのラッシュフォードも不調。そして去年素晴らしい活躍で守備に貢献したリサンドロ・マルティネスも不調。それもあってか開幕からイマイチ調子が上がらなかった。

3.徐々に増えていく負傷者

開幕後チームには多数の負傷者が続出した。
開幕~現在 コビー・メイヌー
開幕~現在 タイレル・マラシア
3節~7節 メイソン・マウント
3節~現在 ルークショー
4節~6節 ラファエル・ヴァラン
6節~現在 リサンドロ・マルティネス
5節~11節 アーロン・ワンビサカ
9節~現在 カゼミーロ
少し上げただけでもこの人数でもある。
特に選手の名前を見ればわかるようにDFラインに怪我人が相次いでいるのが非常に厄介である。これが今回の不調の原因と言っても過言ではない


開幕戦のスターティングイレブン
今節のスターティングイレブン

画像を見れば分かるように怪我人の影響でチームの半分近くが変わっている。特にチームを変えしまったのがDFラインの負傷である。

4.チームを変えたDFラインの怪我

今季のユナイテッドはオナナを獲得することによりポゼッションサッカーのレベルを高めようしていた。実際開幕戦ではGKのオナナがDFラインの組み立てに参加し去年のデヘアでは見せれなかったようなポゼッションサッカーを繰り広げる場面もあった。そしてその組み立てに大事だったのがリサンドロ・マルティネスやヴァラン、カゼミーロの存在だった。ポゼッションサッカーは押し込んだ攻撃を繰り広げることができる反面、カウンターのリスクを伴う。その際のカウンター対応にヴァランもリサンドロ・マルティネスもスピードもカバー能力もフィジカルも適していた。またカゼミーロの潰しがあることで相手の速攻を抑えるという役目もあった。
しかしここ数試合、中盤にはマクトミネイ、DFラインにはマグワイアとエヴァンズが入っている。彼ら2人が極端に悪いCBというわけでではない。しかし彼らでは今季レベルアップしようとしたポゼッションサッカーに向いていないのである。というのもマグワイアとエヴァンズはスピード不足や足下能力の低さ、さらにマクトミネイの守備力がどれも開幕時の想定していた3人よりも格段に欠けているからである。となるとテンハフ監督の考えていたプランというのは崩壊してもおかしくない。
そうなった時に価値を見出しにくくなるのがGKのオナナである。昨季もセーブ力では評価されていたもののセーブ力では昨季まで守護神を務めていたデヘアもスーパーなプレイヤーであった。実際リサンドロ・マルティネスなどが負傷で離脱した後の試合で真っ先に批判が飛んだのはオナナである。オナナのプレーは周りのDFの足下能力があってこそ活きるタイプのプレイヤーである。実際9月の試合などでは、オナナのミスからの失点などもあり批判の矛先がオナナに完全に向いていた。そして最近の一戦ではオナナがDFラインに入ってたくさんパスを繋ぐという場面は見受けられず、どちらかというと少し飛ばすパスが目立った印象だった。
そして飛ばすパスを蹴る回数が多くなったあたりからチームとして得点力が減ってしまった。ホイルンドが競り勝ってもこぼれを拾えない、サポート不足などチームとしてのコンビーネーション不足が影響してしまった。更にこぼれを拾えてもウインガーがドリブルで剥がせない、そしてその流れで失点。チームとして悪循環になってしまっている。それが今季の不調を物語っている。

5.終わりに

今季は怪我、コンディション不良、素行不良、グレイザーなどユナイテッド周りではあまりいいニュースが出ないというのは非常にテンハフにとっては辛い状況であると思う。個人的には早くグレイザーには売ってもらいチームの状況をよくしてほしいと願っている。

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