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映画レビュー

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2020年2月の記事一覧

帰郷

あらすじ:宇之吉は信州・木曾福島の博打打ちだったが、親分の罪を被って江戸に潜伏した後、世話になった男を殺してその妻と出奔した過去があった。無宿渡世姿の旅人としておよそ30年ぶりに木曾福島を訪れた彼は、かつての兄貴分・九蔵の手下に追われる源太という男と出会い、彼と昔の自分の姿を重ねる。やがて、飲み屋で会ったおくみという女から、源太が彼女をめぐって九蔵ともめたことを知る。 私は、仲代達矢氏の出演作品をほとんど制覇しているほど仲代氏が大好きだ。なので、仲代氏が出ているだけで心が躍

チャーリー・セズ マンソンの女たち

あらすじ:1969年8月9日、ロマン・ポランスキー監督の妻で女優のシャロン・テートがハリウッドの自宅で惨殺され、アメリカ中を震撼させる。その次の日には、ラビアンカ夫妻がシャロンと同じような手口で殺害されてしまう。やがて、カルト集団の指導者チャールズ・マンソンとそのファミリー約20人が逮捕される。 私は、シャロン・テート事件がスタンリー・キューブリック監督の「時計仕掛けのオレンジ」のベースになった事件だったことで知ってはいたが、事件の詳細はあまり知らなかった。 去年、クエン

愛しのアイリーン

あらすじ:岩男がアイリーンを連れて久しぶりに故郷の村に帰省すると、死んだことを知らずにいた父親の葬儀が執り行われていた。42歳になるまで恋愛とは無縁だった彼がフィリピンから連れてきた妻は、参列者の動揺をよそに夫について回る。すると彼らの前に、喪服姿でライフルを抱えた岩男の母親が現れる。 今作品は、『これは、映画化という名の事件だ』と言わしめる程の出来栄え。愛溢れる大傑作です。主人公の岩男、その妻アイリーンを取り巻く岩男の母、フィリピン人の女性を売春させているヤクザの男等々、

ミリオンダラー・ベイビー

あらすじ:ロサンゼルスの寂れたボクシングジムの門を叩いたマギー。ジムのオーナー兼トレーナーのフランキーは彼女を拒んでいたが、彼女の真剣さに打たれ、彼女のトレーナーとなる。お互いに父娘の関係をなくしている2人は、激しいトレーニングの中で絆を深めてゆく。 今作品は、クリント・イーストウッド監督の娘への贖罪のラブレターだ。最近の作品である「運び屋」で出演したイーストウッド監督の実娘アリソン・イーストウッドがインタビューで親子関係が上手くいっていなかった時期があったと述べている。ク

グッドフェローズ

あらすじ:ヘンリー・ヒルは幼い頃より、“グッドフェローズ”と呼ばれるマフィアの世界に憧れ、12歳の時からブルックリンの街を牛耳るポール・“ポーリー”・シセロのもとで使い走りを始める。やがてヘンリーは本物のマフィアとして、強奪専門のジミー・コンウェイや、チンピラのトミー・デビートといった仲間たちと共に荒仕事に手を染める日々を送るようになる。 スコセッシ監督の「アイリッシュマン」を鑑賞後、「グッドフェローズ」渇望症に陥り再見。ロバート・デ・ニーロは色気があってカッコ良いし、ジョ

容疑者、ホアキン・フェニックス

あらすじ:ヒット作や話題作に数多く出演し、今年のアカデミー賞では「ジョーカー」にて主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス。十数年前、そんな実力派スターの彼が何の前触れもなく俳優引退とラッパー転向を宣言して隠遁した。その数か月後にテレビ番組に出演するが、かつての姿からは想像できぬほどに太り、ひげは伸び放題、さらに発言も意味不明なものばかりという状態だった。 今作品は、ホアキン・フェニックスのファンでないと面白いと思えない作品💦私はホアキンが好きなので、このフェイクドキュメ

ゼロ・グラビティ

あらすじ: 地表から600キロメートルも離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー。すると、スペースシャトルが大破するという想定外の事故が発生し、二人は一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出される。地球に戻る交通手段であったスペースシャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼らは懸命に生還する方法を探っていく。 私的にサンドラ・ブロックが苦手だし、冒頭のシーン