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今日の常連さん〜お客さんで来た''そっちの筋の方''が知り合いだった話〜

まだ岐阜にいた頃、私はとある喫茶店で働いていた。

岐阜にはモーニングという文化がある。
珈琲を一杯頼むだけでパンと卵がサービスされる。

サラダがついてくるお店もあればフルーツがついてくるお店、お団子が出てくるお店もある。
お土産に!って林檎をくれるお店もある。

「珈琲一杯でそんなにサービスして経営大丈夫なん?」
と心配してしまう時もあるがモーニングきっかけで常連になってくれる方がたくさんいるのだ。

私の働いていた喫茶店では朝と夕方、1日2回も訪れてくれる常連さんがたくさんいる。

そんな常連さんたちとの思い出を書いていこうと思う。



〜今日の常連さん〜

喫茶店にはもちろんだが、常連さん以外の方もたくさん来る。

大学生がテスト勉強のために利用したり、若いママ達がママ友会を開いて楽しそうにお喋りしていたり、老夫婦が散歩がてらモーニングを食べに来たりする。

難しそうな書類を並べてお話をされているスーツの男性もいれば、携帯でゲームに熱中している方もいる。

幅広い年代の方に様々な使われ方をするのが喫茶店だ。


ある日、背がとても高く、ガタイがよく、グラサンをかけている強面な方が2人来店された。

一目見て、そっちの筋の方かなと思った。

水をこぼして殴られたりしたらどうしよう、、

接客がよくない!と怒鳴られて連行されたらどうしよう、、、

とないイメージを思い浮かべて水を持っていくのを躊躇った、が、

ホールには自分しかいない時間だったので

よし…と覚悟を決めて水を持っていった。

「ご来店ありがとうございます、お冷でございます」

「ご注文がお決まりになりましたら、こちらのベルでお呼びください」

と言いきってそそくさと退散しようとした時に、

「まち!」

と強面のおじさんに声をかけられた。

なぜ私の名前を知っている!!!と思いびっくりしていたら

おじさんがグラサンを外してもう一度、

「まち〜」と名前を呼んできた。

その顔を見て私はびっくりした。

その人物はお父さんだった。

「え?なんで来たん??」

「友達とお茶しに」

「もう!びっくりしたわ〜あははは〜」

そっちの筋の方じゃなかった安心と、自分のお父さんだという事に気づけなかった愚かさと、いろいろな感情で笑うしかなかった。

まさかお父さんは娘にそっちの筋の方だと思われていただなんて思っていないだろうが、、。

「仕事頑張って〜」

「ありがと」

私のお父さんは確かに、そっちの筋の方かなと思う風貌をしているし(めちゃめちゃ混んでいるショッピングセンタ一とかを歩いていても大体みんな道をあけてくれる)私もビビってあまり顔を見ないようにしていたから、間違えてもしょうがない。

私が間違えたのは、しょうがないと思う。うん。

お父さんがグラサンなんかかけて、娘の職場に突然来るのが悪いんだ。

自分の職場に来るのは全然良いのだが、次来る時はピンク色の可愛いシャツでも着てもらわないとな、

また間違えてビビりそうだし、他のスタッフも絶対怖い思いすると思う。

被害者を減らさなければ。。。

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