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あるところに

むかしむかし、とおいむかし、わたしはきみに逢ったような気がしていた。
いつかとおくないその時にその話しができると思っていた。

けれど、それは叶わなかった。たったひとつのお願いだったのに。
ほかになにも願うことはなかったのに。そんなに難しいことでもなかったはずなのに。

なにが難しくさせたのだろう。素直でなかったから。気を使ったから。
勇気がなかったから。嫌われるのが怖かったから。
いなくなることはないと思ったから。
いつかは逢えると思っていたから。

そして、いまもわたしはさがす。
記憶の片隅までも、あるところにいるきみのことを。

ずっとこの先も探しつづける。あるところにいるきみのことを。

想いとどかぬきみのことを。


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