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お酒を飲む良い時間

 新入社員の頃、どうぞ!どうぞ!と先輩にお酌されたが、エンドレスの気がして、お酒が楽しめなかった。どのタイミングでお酌をすれば良いのか、何回お酌されたら、断って良いのかわからなかった。しかも、酔うと本音が出るといわれ、上司の嫌いな所を言ってしまうと困ると思い、酔っぱらうのが恐かった。飲み会の前に牛乳を飲むと胃に粘膜が出てて悪酔いしないといわれ、同期で飲んだ。飲み会の翌日、二日酔いの新入社員の私に医務室で休んでくるように1年先輩に言われ、病気ではないのに、医務室のベットでだらだら過ごした時間が懐かしい。
 少し社会人経験を積み、緊張していれば酔っぱらわないことを学んだ。同じワイン、日本酒、ビールでも、上司と飲めば酔わないし、同期と飲めば酔う。不思議なものだ。恋愛でも使い分けているだろうが、私にはそのルールがわからなかった。親しい友人と飲むお酒は、ストレス、我慢、イライラなどを開放する最高に楽しいひと時となった。
 ある程度の社会経験と積むと、本音と建前ができてきた。本当は賛成なのに、社会人としては反対ということが多々できた。日本社会が悪いのか、私の弱さが悪いのか。お酒が本音を言われせてくれた。仲間と大いに、文句を言いあい、自己防衛をし、心の安定を保った。
 管理職になると、自己防衛は完璧。お酒の力が要らなくなった。しかし、新入社員がまぶしい。自分もあんな風に企業戦士の生き方を間違っていると叫んでいた時代があったと懐かみつつ飲む酒は大人の味がした。
 自分の意見が言えず、自分の考え方を理解してもらうことができず悔しくて飲んだお酒。若い人はバイタリティーがあった良いと思いながら飲むお酒。苦くてお酒の味なんてわからなかったけど、若い時のお酒が最高に美味しかった。フランスのどこのワインが美味しいだの、日本酒は越乃寒梅が好きなんて言うこと自体お酒の歴史を考えるとおこがましい。 
 年代によって美味しいお酒との向き合いかはある。しかし、若い世代をまぶしく感じるように、お酒も長い歴史の中でたまたま出会った私を若くて新鮮だと感じてくれているはずだから、素直に美味しい、楽しいと感じ、ストレスのはけ口ではなく、最高に楽しい時間を共有する友として、お酒を付き合いたいと思う。お酒が飲めれば良いではない、誰とどのタイミングで飲むかが重要なのだ。だからこそ家庭で晩酌で飲むのは発泡酒で良いけど、仲間とBBQで飲むビールはエビスが似合う。飲んべえの常識である。

#いい時間とお酒

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