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SakuRadio 開始

私の音楽活動の軸足のひとつVocal Unit SAKURA、結成20年のキャリアだけは長いチーム。
結成のきっかけとなったのはあるブライダルショーでした。

当時、大きな式場やホテルでの結婚式といえば挙式自体は20分間隔で粛々(! いやサクサク?)と進み、讃美歌「312番 慈しみ深き」と「429番 愛の御神よ」が歌われるというのがまだまだ主流だった時代。
「生まれて一度も教会に足を踏み入れたことがない人たちが、キリスト教式の御式を祭壇の前で行って15分後にはウェディングマーチで教会から送り出される。人生の大きな約束を結ぶ重要ポイントのはずなのに、こんなだから結婚記念日とか忘れちゃう人が多いんでしょうね・・・」と音楽事務所入社3年めにして貫禄バリバリ(死語?)の20代女子が発言したことに端を発し、「結婚式のNewスタンダードを提案しよう!」と事務所がヤル気になっていた時期でした。

そして件のブライダルショー。

すでにその式場で挙式を予約しているカップルたちをご招待し、試食会を兼ねたランチコンサートをするというので集められたのが今のSAKURAの歌メンバーでした。

それまでにもほかの現場で一緒に結婚式を切り盛りしてきたこともあって互いに音楽の相性は把握していたのですが、30分の〈挙式を伴わない〉コンサートをするのは初めてのこと。
(実際の式や披露宴の中で使われる音楽の可能性をご提案する場でもありました)

しかも曲目は
「季節感を織り込んで、それぞれのカップルの思い出にリンクしそうな、クラッシックから軽めのものまで、あ!そうや・・・両親への感謝の手紙とかの後ろで生歌とかにするなら唱歌とかディズニーも。伴奏なしのアカペラもね!」とまぁ有りっ丈のリクエスト(と書いて”ミッション”と読む)をいただいたのでした。

メンバーが決まってから1か月弱、本番はクリスマス真最中。

選曲もさることながら、楽譜が無ければアレンジして書いて楽譜を揃え、稽古をすること数回でいざ本番。
結婚にまつわる曲、恋愛映画のテーマソング、オペラのアリアをアレンジしたもの、誰もが知っている唱歌・・・喋って歌ってラスト5分で迎えたのが、一番の難関クリスマスソングのアカペラもの。

ほんの数回の稽古で仕上げるには凝りすぎたハーモニーのSilent Night。歌う私たちの必死感が溢れ出すぎていたのでしょう、ホカホカだったりウルウルだったりジーンだったりしたカップルに埋め尽くされた場内の空気がクールダウン。
どうにか崩壊せず(!)歌い終え、アンコールまでつないで場内の温度も戻ったあたりで無事にお披楽喜に。会場外の寒さが恋しくなるほど、背中は汗だくになっていた記憶が鮮明に残っています。

あの時の数十組のカップルの方たち、元気で幸せに過ごしていらっしゃるかなぁ?
彼らがSilent Nightを聞くたびに、あの必死だったアカペラを思い出されることがありませんように…と祈るばかりです。

そんな肝を冷やす本番を共に乗り切った私たち4人。このメンバーで歌うのっていいなと感じ、いつまた同じようなオーダーが来ても大丈夫(!)なように備えようと、翌年にピアニストを迎えVocal Unit SAKURAという名前で活動を始めたのでした。

20年の間に5人でいろいろなところへ行って演奏の機会をいただき、たくさんの方のお世話になり、ともに笑い、泣き、演奏レパートリーも増え、家族や体重も増えました。(笑)
昨年の春、突然のコロナウィルスという未知の敵によって活動が止まり、一緒に演奏する機会がすべてストップし予定していた本番も消滅しました。

リモートや多重録音、いろいろな方法にチャレンジしましたが、私たちが考えを重ねてチョイスしたのは「歌えるマスクを着けて集まって稽古する」です。歌詞が聞き取りにくいかもしれないし、声の響きが絶好調ではないかもしれません。
でも一緒に空気を震わせて、全身のアンテナをオンにしてアンサンブルすることの積み重ねでしか作り出せない歌というものに喜びを感じます。
結成20年の節目のコンサートを!と思い描いてきたものとは違うけれど、少しアレンジしてこうして声を届けられる、noteのお陰です♥

ワタシ個人のnote同様にSAKURA note "SakuRadio"も聞いていただけると嬉しいです。








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