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第0の女

これまでも素敵な女達に支えられて生きてきたけど、実は第0の女がいる...という話(これより長編TL)

今から30年以上前、歌舞伎町のある店で出会った女の子。「よく来たなー、イイ子だなー」と私を見ながら可愛いがってくれた。

一目惚れして、若い勢いに任せ夢中になって店に通った。大阪の子で離れ目がとても可愛い...知人にはヒラメと呼ばれると言っていた。

明るく人懐っこいけど...大阪ではヤンキーしてたらしく、よく「しばくぞー」と怒られた(というか可愛がられた)。時折、ボロって明るい心が崩れるのがギャップ萌えする子だった。

すっかり馴染みになって口説いたけど、夜の子ほど身持ちが堅い。大阪に付き合ってる人がいると断られた...諦められなくて友達からの交際をお願いした。

初デート?の時、西武新宿駅の前で昼に待ち合わせ...2時間待っても来ないので献血して帰った。夜商売なので寝坊したのか?病気がちだったので体調悪かったのか?...もう忘れてしまった。

月に一度くらいのデートだったけど嬉しくて仕方がなかった。ポケベルで連絡して、終電で店に行き、店終わるのを待って夜の新宿で朝まで一緒に過ごした。

2年経ち...二人で西新宿の夜の高層ビルを見上げつつ、「もう店に来るな」と言われた。大阪の彼氏と別れたらしい...彼女と付き合うなら店に来るなと。

付き合えるのは嬉しかったけど、デートは数ヶ月に一度で会う回数は減った。私も社会人になり仕事で忙しく...でも、何年経っても好きだから結婚したいと思った。

5年経ち、互いの親に挨拶してしばらくして...父に言われた。本当に彼女を経済的に支えられるのか?と。

風俗とキャバを掛け持ちして、大阪にいる母親に仕送りをしていた彼女...結婚したら夜の仕事はして欲しくない...けど、安月給の私に彼女の母親まで面倒見れる経済的な力はなかった。

大好きだから幸せにしたい...自分が彼女を幸せにできないのなら別れようと思った。しばらくぶりのデートで別れを告げた。「好きな子できたのか?」と聞かれたが答えなかった...本音を言ったら別れられないから。

いつも買い物デートした東新宿の地下街へ降りていく階段...彼女の後ろ姿を消えるまで見送った。

あれから20数年...家庭を持ち仕事に子育てに追われて歳をとった。日々の生活で忘れているけど、人を好きになると必ず彼女を思い出す。

あの時、彼女と結婚してたら今とはまるで違う人生だったろう。

私がやきもち焼かずに我慢して(当時、私が若すぎ子供すぎた)、彼女にしばらく夜仕事を続けてもらい、貧しいながらも共働きで生活することもできたのかも...

喘息とアトピーで病気がち、若い女性だったからアトピーをすごく気にしていた...もうずっと会ってないけど生きて元気にしてるかな、幸せになってくれてるといいなと思い出す。

私にとっては、永遠の0...小説のタイトルと被ってしまった(笑)

そして今日も明るく元気に、ヒラメ美人を探し求める🚶‍♂️

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