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誰が「物流」を殺すのか - ⑭物流部門単体では適正在庫を維持することはできない

さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「適正在庫を維持することが倉庫管理の目的である」というテーマの記事を書いた。

今日は「物流部門単体では適正在庫を維持することはできない」ことについて書いていこうと思う。


適正在庫のパラドックス

先週の記事で、物流の重要なポイントとして適正な在庫管理が行われなければならないと書いた。適正な在庫管理において、必要なものを、必要なタイミングで提供することができなければならず、それはつまり、在庫が過剰でも過不足でもない状態を維持し、余分に在庫費用を発生させないことを追求しなければならない。

…となったときに、
その適正な在庫量は「正確な予測」なくしてはあり得ない。メーカーの物流担当者の目線で言うと、自社の商材がどのくらい売れるかがわからなければ、また物流会社の目線で言うと、クライアントの商材がどのくらい売れるのかがわからなければ、適正な在庫量はわからないのだ。

また、「在庫が過剰でも過不足でもない状態」であるかどうかを判断するためには基準値が必要だ。そして、その判断が正しかったかどうかは過去にならないとわからない。

物流担当者に求められるアジャスト力

物流担当者に求められるのは「アジャスト」させる能力だ。それは、エースピッチャーを目指す人が、壁に貼った的に向かって何度も何度もボールを投げ込み、少しずつ腕の振り方や足の踏み込み方を微調整していくのと似ている。

「的」となるのは販売目標だ。
どんな商材を・いつ・どのくらい売るのかがわからないと、必要なものを必要なタイミングで提供することができない。それは、単に受注に足りる数量の在庫を持っているというだけでは意味がなく、その商材が必要とされる場所へ移動するのに必要なリソース(作業員やトラックなど)が用意されていなければならず、そこにかかるコストも最適化されなければならないのだ。

営業部門との連携の重要性

そのためには営業部門との連携が重要になる。
物流部門ができることは、過去のデータを元に微調整を行うことしかない。「的」の方がブレてしまうと、微調整の意味はなくなってしまう。とはいえ「予測を外すな」というのも無理がある。営業部門は販売目標を達成するために努力しているわけだが、いつも目標が達成できるわけではない。また時として、営業側で何か(例えば特定の商材の販売促進)のキャンペーンを打ったりすることもあるだろう。そういった変則的な動きも物流部門に大きな影響を及ぼす。

営業目標が高すぎてしまったり、顧客の突発的な要望に応えなければならなかったり、変則的な販促を行わなければならなかったりと、営業部門は営業部門で大変だ。彼らは彼らの悩みを抱えている。そうは言っても、それによって影響(いわゆるブルウィップ効果)を受けるのは川下にいる部門だ。

まずは営業部門とスムーズに情報の共有ができる環境を作らなければならず、物流の「アジャスト」を行う上で、どのくらいのバッファを持つのが適正であるかを、経営層と共に定義することが重要になるだろう。

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