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私がどうやって広東語通訳者になれたのかを紐解いてみる(62)- 香港での通訳・コーディネイター案件 -

香港でのコーディネイション仕事も少し紹介しよう。

坂上どうぶつ王国

パンダ特集として世界各地のパンダを撮るという企画がきた。香港はお馴染み Ocean Park 海洋公園のパンダ。

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空港でのお出迎えで驚いた。ゲートから出て来たのはまたもや「金毛」。「金毛縁」が続いていた。それにしても、どうして日本のTVディレクターは皆揃いも揃って皆「金毛」なの?流行り?誰かこの謎を解いてください。

またもやあれこれ無理難題をかましてくる日本側の要求に、海洋公園はできる限りの譲歩をして協力してくれた。とても気持ちよく撮影できた。

反して、パンダが壁に描いてある某ホテル(某いうてもバレバレやけど)。撮影が始まり、ディレクターから「PR公關さんがそこに立って説明よろしく」って言うと「私はTVに映るのNGです。」と言い出し、ディレクターがブチ切れ。コーディネイション会社の担当者も「私も現場にいたらキレてる。PR公關は宣伝職なんだからTVに映るのNGなんてありえない。」という。そうなんだ・・・知らなかった・・・。

その他諸々あれもダメこれもダメであまりに非協力的だったので、番組での使用場面が随分減ったんじゃなかったかな。

M!LK 写真集 『香港みるくチャッ』

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スターダストのアイドル・ユニットなのだけれど私は当然知らず。今は板垣瑞生と宮世琉弥が卒業してしまったけれど、当時は14歳から21歳までの7人で全員初海外。芸能人だからというよりはほとんどが未成年なので、もう私は母の心持ちになってしまってあれこれ心配し通し。そういう意味でしんどい仕事だった。

まず最初は彼らの顔と名前を覚えることから。ホテルでチャーターバスに乗り込んで「香港へようこそ!私はソフィです。みんなの名前を教えてね。」とバスガイド状態の私。
「じゃあオレ、ユッティ!」
「はい、ユッティね!」
「おいー!なんでユッティなんだよー!ぎゃはは!」
「いいだろ!」
「僕、ダイチ!」
「ダイチね!」
「僕はシュンタ!」
「OK、シュンタね!」
「今日はこれぐらいにしといたら、お姐さん!」

もう完全に修学旅行状態。見る物見る物珍しくて、あれこれ質問が飛びまくる。ここで子供達やカメラマンやクルーの心をガッチリ掴んでおくと後がやりやすくなる。コーディネイターが面白い人、頼りになる人、という第一印象が取れればクルーも安心して付いてきてくれる。

こんな若いアイドル達の写真集でなぜに香港?香港に関する知識が全く無いような子供達が香港を楽しめるのだろうか?と思いつつも絵になりそうなポイントをあれこれピックアップしておいた。

 Tai Koon大館へ向かう途中。「飲み物買いたいでーす!」と言われ、コンビニに寄る。全員バスを降りたところで「ボク、トイレ行きたい」と最年少の14歳が言う。

「げーーーー!次の撮影場所の Tai Koon大館まで行かなきゃ無いよ!」
皆バスを降りてコンビニに入ってしまっているので、全員速攻呼び戻して移動しなければ!と私一人焦る。

「そこにコンビニあるじゃん?」と14歳。

「香港のコンビニにはトイレは無いのよ!次の撮影場所に行かないとトイレ無いんだよー!皆バス降りてるし!次まで我慢できる?もうギリ?」
「えっ・・・」顔色変わる14歳。

そっか・・・日本はコンビニがあればほぼ必ずトイレ付いてるんだった。日本を出たことの無い子供達だった・・・。私の頭が香港人過ぎて、日本人の常識に対してノー・マークだったよ。危なかった。次の撮影場所まで我慢できるというので、その場はなんとかしのいだ。

男の子って結構思い付きで動いたりするので、ひっきりなしにひやひやドキドキしながら、とにかく彼らの身の安全を守ることに必死になる。カメラマンさんは長年彼らと組んでいるので「大丈夫、大丈夫。この子達は心配しなくても大丈夫ですよ!」とか言い切るのだけれど、それはやはり男親と女親の心境の差のような気もする。7人の男の子の母ちゃんになった私。

「ザ・香港!な場所で撮りたい」と言われ推したのはやはりここ。道行く人達が、どこの誰か全く知らないけれど、本格的なカメラマンがいるし若くてかわいい男の子達だしと一斉にカメラを向ける。

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Lower Deck 借り切って2往復。本当は1往復だけの約束だったのだけれど、これまた突然の申し出もご快諾頂いてじっくり撮った。もちろん追加料金払いましたけどね。

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バスケットゴールが設置してあるのを見たカメラマンに「いやー、これ、バスケットボールが欲しいなぁ」と突然言われ、買いに走ったよ。

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妙にこのオブジェを気に入ってくれた子供達。

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なぜかユッティ、じゃなくて板垣瑞生に気に入られ、「ソフィさん、一緒に写真撮ろうよ~」と言われた私。アイドルに写真お願いされるとは思わなんだ。

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2019年初頭の平和な Mong Kok 旺角。まだマスクさえも不要だった頃。

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この写真集は香港迷さん達が喜びそうな場所が沢山詰まっているので、チャンスがあれば観て頂けたら嬉しいな。(続)



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