見出し画像

『Crisis Negotiator 談判專家』

先日の『CUSTOMS FRONTLINE 海關戰線』に引き続き Herman Yau 邱禮濤作品。面白くて当然だけれど、これもまたマジで面白かった。この2作品が連続で観られたのはラッキーかもしれない。それぞれが娯楽大作として物凄く面白かったので日本でも公開されて欲しいな。

この『談判專家』、奇しくも6月30日に観てしまった。劇中で黃家駒が亡くなったというニュースが流れるという設定を知らなかった。香港への移住を数か月後に控えていた私はそのニュースをオンタイムで知ってショックを受けたのを覚えている。

上映が今週で終わるようなので2日連続でリピートしてしまった。

先の『海關戰線』は正統派なアクション映画だった。こちら『談判專家』は邱導お得意のドンパチやらカー・チェイスやら車がクルクル飛ぶやら爆破やら全部詰め合わせにプラスしてセリフやシチュエーションの面白さも全開。昨日も今日も観客ドッカンドッカン笑ってた。今日は声から察するに小学生ぐらいの子供もいて、香港伝統の休日の過ごし方「家族全員で映画を観る」を実行していて、香港映画もまだまだいけると自信を持った。

実は私、これが米映画『交渉人』のリメイクだとは知らなかった。というか、『交渉人』を観ていないので、関連性については言及できませんのであしからず。

まずは出演者について。

観てきた皆が口をそろえて Kearen Pang 彭秀慧の芝居が凄かったと言うので楽しみにしていたのだけれど、いやホンマ流石の彭秀慧でしたわ。日本の港產片迷には女優としてよりも『29+1』『阿媽有咗第二個』の監督としての方が馴染み深いと思うけれど、もともとは舞台女優。キャリアも長くて2014年には「香港十大傑出青年」に選出されたりと実力はお墨付き。『29+1』の舞台版は映画とまた違って本当に面白かったよ。

彭秀慧の演技が凄過ぎて Andy Lau 劉德華が完全に呑まれていた。というか、劉德華あなたはカッコよすぎなのよ。「三ツ口の精神病者というハンディキャップのある役を果敢に演じた」とかの評もあったけれど、ちょっと深みが足りなかった気がする。それより何より、刑事とかの役をずっとやり過ぎていて、クローゼットを開ける瞬間の立ち方・立ち位置とか包丁の持ち方とかクローゼットのドアの開け方が、カッコよすぎ。もっと素人っぽさが欲しかった。

銀行強盗の運転手が Tommy Leung 梁博恩師傅。いつもニコニコで優しい人なんだけれど、この役はめっさ渋くてカッコよかった。先だっての『いってQ』でみやぞんが香港で撮影した時の武術指導。同番組を観た人なら「おっ!」と思えるでしょう。

朱栢謙が若すぎた。『4拍4家族』とか『白日之下』あたりかな、を先に観ていたせいで、結構オッサンな感じのイメージだったので、發仔として出て来た時に「あれ?これは朱栢康じゃないけど、朱栢謙は朱栢康の兄だからもっと年取ってるはずだし、もう一人下に弟いるような記述を見たような気がするから一番下の弟か?」と思ったぐらい若い。お肌ツルツルだし。今まで観た芝居が結構抑え気味だったせいか、今回は「えらい的確に上手い芝居するなぁ」と思った。これまでは朱栢康の方が上手いと思っていたけれど、これは完全に互角。

そしてやっぱり楊偉倫が凄い。最近観る作品観る作品全部に出てる、と言っても過言ではないほど必ず出ている。しかももう完全に、香港電影に「楊偉倫」というカテゴリーを創出してしまった。作品中の登場人物のキャラクターとして、他の人をキャスティングしても成立しない「楊偉倫にしかできないキャラクター」という枠が出来ている。『全世界都有電話』のあれだけの尺でこんなにもキャラ立てが強烈なのは楊偉倫だから。今年後半か来年頭の映画祭あたりに出てくるであろう某新作(現時点ではトレイラーも出ていないので伏せておく)でも、系列的には『全世界』『四十四』本作、と同じだけれど、やはり強烈なキャラクターを軽々とこなしている。この人はホンマに凄い。好き過ぎる。楊偉倫が出ていると聞くだけで絶対に面白いの確定。

あと、なんなのよこのオール・スターっぷりは!って感じ。主役二人はもとより、ベテランで最近ちょっと露出の減った盧惠光、洪天明、鄭則仕、苗僑偉とか豪華すぎ。姜皓文はノリノリであれこれ沢山出ているので敢えてここに数えないことにする。若手も黃又南、朱鑑然と美味しいところを使っている。朱鑑然は役名が阿科。日本語字幕では「アフォー」とはしなくて「フォー」になるだろうけれど、そうなると字だけ見たら「ベトナム麺」か「喜びの雄たけび」みたいになっちゃわないか心配。(余計なお世話ごめん)

韋羅沙の芝居もとても良い。舞台っぽい癖がまだ抜けきらないんだけど、それは多めに見よう。(偉そうでごめん)

ということで、観客が結構笑った所や声が出た所を書いておくので、日本で公開された際には香港人の笑いのツボを押さえてみてくださいな。

人生初「映画を観ながらメモを取る」をやってみたのだけれど、慣れないし暗くてよく見えないからダメね。それと私が書いたスペルを勝手に変換候補からのものに入れ替えちゃうから、今見返すと何だったのかわからなくなっているものが多々。とりあえずなんとなくメモっておく。観た方でどのシーンのことかわかる人がいたら教えてください。私も思い出したら書き足すようにする。

・陳大來の外賣が16蚊
・沙包陣に手榴弾を投げ込んだものの・・・
・ノック(なんのことか忘れた)
・誕生日パーティーでの文偉の「我係大細超嘅」
・オフショア口座の書類を仕込む(あー!そういうこと!みたいな声)
・「神父と面会したい」
・文偉が發仔に「30分あるから練習してやる」からのほぼ全セリフ
・「迴避問題」のカンペにぶちぎれる發仔
・どうにもならなくなって「通融吓啦」と泣く發仔
・文偉が李俊傑をダシにして遊ぶ「識穿講大話」講座
・楊偉倫のセリフとリアクションいちいち全部
・特に魯迪の「我唔係人才、係天才」「一般人通常3個月都解唔到鎖・・・・・・但係我唔係一般人」の間の取り方がパーフェクト
・李俊傑の「Mommy・・・」

他にも自分でも意味不明なことが書いてあるので思い出したら追加しますです。

あと、私個人的にはカー・チェイスの無茶ぶりが面白かった。中央分離ブロックを飛ぶとか、階段上っちゃうのとか。車にあまり詳しくないのでよくわからなかったのだけれど、家俊の車はジープ系だから階段上れちゃったのよね?高赫と偉倫の車はカローラ系だったから馬力足りなかったってことよね?これをやる為に車種の設定考えたのがわかって「流石!」って言っちゃった。

それと、「こらー!場記ー!しっかりせーよ!」が一つ。文偉が外した結婚指輪を入れたのは左胸のポケット、全部終わって取り出したのはズボンのポケット。ドンパチやってる間に場所入れ替えるとか現実的にありえない言い訳は通用しませんぞ。こらー!連戲や、連戲!

高先電影院でチケット買ったらこのミニ・ポスターを貰えた。散步香港100 < 深水埗 / Flying Eagle Restaurant 飛鷹餐廳 MOVIEMARKS >で紹介したMOVIE MARKS の名前が入っているので、欲しい方は訪港時にお店に行けば手に入るかも。

高先電影院にて2回鑑賞。★★★★★

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?