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私がどうやって広東語通訳者になれたのかを紐解いてみる(56)- 『肥龍過江 / Enter The Fat Dragon』東京ロケ -

そして東京。

都内と都外でやはりほとんど屋外での撮影。屋内のシーンも撮影したけれど俳優とカメラ以外は部屋にはいられないので廊下だったり外だったりで待機&準備。寒かった。雪が降った日もあった。寒いのが本当に本当に苦手で大嫌いな私としては辛かった。

サービス・エリア

動作組的に東京での正念場はサービス・エリア・シーンと市場シーン。両方ともにエキストラさん達がよく頑張ってくださったと思う。サービス・エリアなんて壁さえ無い本当に吹きっさらしのだだっ広い場所での撮影だから寒かったよー。そんな環境でも一生懸命協力してくださったことに感謝。

冬場の現場通訳は完璧な防寒着の準備が必須。見てくれが格好悪くなってもいい。体調を崩すわけにはいかないので健康第一で。

まだ公開されていないのでロケ場所は言わないでおく。都内から高速走って行くような結構遠いところだった。撮影場所に到着したらちょうど夜が明けて撮影準備しやすい時間帯になるようにと、毎朝夜が明ける前に出発し走っている間に白々と夜が明ける。一番眠い時間帯なのだけれど車内で眠れない私。ロケバスは往々にして物凄いスピードで飛ばすので怖過ぎて眠れない。実はロケバスでの移動が私にとっては大きなストレスなのよね。

市場

ここは動作組大活躍&ド兄さんの面白アイデア絶好調。アクション監督のタカさんも広東語できるので、アクションのアイデアを練ったり実際に動いてみたりする際に私の出番はあまり無い。というよりも、シーンの前後が頭の中でまだ繋ぎきれていない私はあっぷあっぷするばかりで、自分で自分が情けなかった。

VFXは本作も『Man Hunt』のA君。やはり彼も手慣れたものでアクションの流れもカメラ・アングルもしっかり頭の中に叩き込んであって感心してしまった。そして彼にはまたCGを作成する為の画像の撮り方やカメラの動きと画角の関係性などを教えてもらった。

撮影現場の通訳はその場その場の会話を通訳すればいいだけではない、脚本全体をしっかり読み込んで絵を頭に叩き込んでおかねばならないのだと思い知った。自分の不甲斐なさに落ち込んでしまった現場だった。

とはいえ現場で落ち込んでいる暇は無い。やるべきことは必死でやり抜いた(つもり)。動作組のアクションは本当に素晴らしいし、ド兄さん本人もココ一番ではさすがの実力を見せつける。アクション監督のタカさんが「さすがドニーや!」と唸ったココ一番は練習さえ無しの本番一発でピンポイントで壁蹴り抜きを成功させたアクション。これはまたもや『Man Hunt』組カメラマンのTさんの腕もあっての一発OK。

ド兄さん、アクションをバッチリきめてくるだけじゃないよ。実はおっちょこちょいで忘れんぼさん。ノリノリで撮って「よし!このテイクなかなか良かった!OKだ!」とか自分で言うの良いけれど、「甄さーん、帽子!帽子被るの忘れてますよー!」の一言で撮り直しとか。

ド兄おっちょこちょい録やったら話終わらないほどいろいろ山盛り。

差し入れ

市場シーンで初現場だった松永ジョーイ。初日は差し入れを持って来てくれた。ジョーイは当時石原軍団所属だったので、差し入れは「石原軍団」の熨斗が付いたおはぎ。やはり餅つき軍団だからおはぎなのか?いや、お餅じゃないから関係ないか。私の拳ぐらいあるめちゃくちゃデカイおはぎで、男所帯のスタンダードはデカイのねーなどと思ったり。美味しかったです。ありがとうございました。

ゲリラ的な

都内某所で朱福龍(ジュー・フォクロン)が走るシーンを撮影。かなりのスパンを走るのでド兄さん一人向こうの方でスタンバイ。ファンに見つかったらきゃあきゃあ言われちゃうんじゃないかと心配もしたけれど、平日昼間に都内でド兄さんが走るなんて誰も思わないよね。道行く人も誰もド兄さんだと気付かない。てか、特殊メイクでこんな風に真ん丸になっているのだから絶対に気付くわけない。ファンとしては本編で見慣れた場所での撮影があったと知ったら遭遇したかったと思うでしょうね。

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超寒くて泣きベソな毎日だった東京を後にして次は深圳へ。(続)

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