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フリーランステクニカルトレーナーを目指すべきか?

皆さんこんにちは。国井です。
私のnoteやブログではこれまでフリーランスとしてテクニカルトレーナーの仕事をする上で必要な情報をお伝えしてきました。だけどよく振り返ってみると、フリーランスとして仕事をすることが既に決まっていて、どう頑張るか?って話がメインだったように思います。
それよりももっと前の段階であるそもそも自分はフリーランスになるべきか?っていう相談を受ける機会があったので、そのことについて考えてみたいと思います。

他の投稿でも書きましたがテクニカルトレーナーは自分の腕ひとつで仕事をするものなので比較的フリーランスで仕事がしやすいっていう特徴があります。実際にフリーランスで仕事をしている人は多いし (私が最後に勤めた会社の同僚で今もテクニカルトレーナーの仕事をしている人は全員フリーランスになっています)、なんとなく自由な働き方をしているように見えるし、私もフリーランスになろうかなって人は多いと思います。
だけどフリーランスには向いてない人もやっぱりいるんですよね.. こんな感じの人は、、って書こうと思ったら既にこんな素晴らしいnoteがありました。

ここに書かれていることがほとんどなんですけど「テクニカルトレーナーだったら、こんな人は向かない」というのを私なりに書き出してみたいと思います。

残業は絶対したくない

フリーランステクニカルトレーナーは登壇してナンボの世界。登壇しなかったら収入はなくなるので、あれもこれも依頼を受けにいこうとします。自分の収入を増やすためにとポジティブにとらえて長時間労働できる人なら良いですが、残業は絶対にありえないという線引きをする人は難しいように思います。通常の勤務時間は研修に登壇して研修が終わったら絶対に仕事しない!では新しい技術に触れる機会がなく、使い古された、テンプレート化された技術と教材を使って、いつまでも同じ話をし続けるという研修しかできなくなります。そうなると仕事量も減るし、単価も値切られる。私の経験ではそういう人はいつの間にかいなくなった(廃業した?)印象しかないんですよね。
逆に定年を過ぎて残りの人生、自分の経験だけを頼りに仕事するというのであれば、それはきれいな散り際になると思います。実際、私の周りでもそういう生き方でエンジョイしている方をお見かけしますし素敵だなと思います。
※テクニカルトレーナーという職業ができてから数十年が経過しているので、この職業を全うして定年を迎えた人も出始めています。今後、そうした方にもインタビューして声を聴いてみたいですね。

余計な仕事はしたくない

研修会社にいると教室の運営や教材の準備、受講を検討している方からの質問に答えたりと、とにかく雑務が多いです。だからフリーランスになって解放されたいって人がいるのですが、フリーランスになったらフリーランスなりの雑務が存在します。これが嫌だという人には残念ながらフリーランスはできないでしょう。

・自分の空きスケジュールの照会
「〇〇の仕事を依頼したいんだけど、空いてる日程を教えてください」
フリーランスだったらこの質問、年に100回ぐらいに受けてる質問じゃないかと思います。またかよと思いながらメールを書く、、
正社員の方が経験することのない面倒な雑務の代表例です。
そんなのGoogleカレンダーに書いて公開すればいいじゃんって思うかもしれませんが、人には公開したい予定と公開したくない予定ってものがあるのです。例えばA社からの仕事は優先的に受けたいから予定を全公開するけど、B社からの仕事は単価が安いからその仕事で埋めたくないので予定はちょっとしか公開したくない。誰かこんな感じの予定表システム作ってくれませんか?

・受発注
見積書と請求書を発行するのはビジネスの基本。だけど正社員の時には他の人がやってくれたから、そんなこと気にしてなかったんですよね。
トレーニングの仕事に納品書っているの?注文請書ってなに?
フリーランスを始めると初めて聞く言葉ばかりで戸惑うし、慣れてくれば面倒だし。こうした作業が好きとか、自分の収入が増えるんだからとポジティブにとらえられる人じゃないと難しいかもしれません。

・確定申告
フリーランスになって思うのは天引きってすごいな、年末調整ってすごいなってことです。確定申告はKing of 面倒くさい雑務だし、インボイス制度や消費税の課税事業者の制度が加わってくると、さらに面倒なことになります。だから確定申告する前から面倒くさそうだから嫌だと思っている人はその予感は正しいです。正社員のままでいたほうが良いでしょう。
それでも私がフリーランスを続けられたのは面倒くさいという感情よりも経費が自分の裁量で使えて嬉しいという感情のほうが上回ったことが大きかったように思います。正社員の時には自分で書籍を買う、ハードウェアを買う、などのことは絶対にしなかったけど、経費が使えるとわかれば勉強のために積極的にクラウドを契約してみようとか、海外のカンファレンスに参加してみよう、などの投資ができるようになったのは本当にうれしかったです。正社員だと海外のカンファレンスに参加するのに出張申請して承認が下りたころにはSold Outになってたという話をよく聞きますけど、フリーランスならそうした話とも無縁ですしね。

雑務を丸投げしたい人

雑務をやりたくなければ丸投げすればいいじゃん!
そんな夢のようなシステムがあるんです。それが中抜き会社です。
中抜き会社を頼れば仕事量をコントロールしてくれるし、支払通知書みたいなもので代替してくれれば請求書だって発行しなくてOK。
だけどそれによってどの程度中抜きされているかご存じですか?
正社員としてお仕事されている場合、ご覧のような労働分配率なんですが、ここに書かれている割合以上に中抜きされてたら正社員であったほうがマシじゃないですか?って思うんです。

厚生労働省 資本金規模別にみた労働分配率の推移より https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/backdata/1-1-05.html

中抜き会社としては中抜かれてくれる人が増えてくれれば中抜く金額も増えるので、新たに中抜かれてくれるカモを見つけるためにフリーランスをお勧めする.. 自分のこれまでの投稿がそんな勧誘のために使われていたことを知り、あわててこの投稿を書いた次第です。
一方で
・年金代わりに面倒なことを抜きにしてちょこっとだけ働きたい
・配偶者がある程度稼いでくれるし、自分は介護や子育てなどに携わらなければならないので少しだけ働ければ良いです
・副業的な感じでプラスアルファがあればそれでOK
そんな方には向いていると思います。

自制心を保てない人

フリーランス=自由な働き方って思う人も多いでしょうけど、次の時代のための努力を怠ったら仕事量の減少と講師単価の減少が待ち受けています。ルーティンワークで高単価!なんて仕事はありません。
もちろん「自分の成長を売上高の変化で感じたい」なんていう肉食な人じゃなきゃ務まらないとは言わないけど、せめて時代の変化に合わせて自分がお話しできるコンテンツを増やしていかなければ淘汰への道まっしぐらです。しかも次の時代のための学習はスキマ時間にやらなきゃならないので、
日中登壇している人であれば研修開催時間が終わった後 = 業務時間外にやらなきゃならないし、登壇日以外の日なら遊びに行かないで学習の時間にあてなきゃならない。自制心をもってできる人でなければ難しいと思います。

同じような理由で孤独に耐えられない人も向かないと思います。学習する時に皆とわいわい勉強会方式でやりたい、くだらない会話をしながらゆっくり勉強したい、などなどあると思いますが、こうした方法はフリーランスになったらできなくなります。孤独な状態で〇〇するというのはコロナ禍で経験済みと思いますが、あれを二度と味わいたくないと思うなら正社員になることをお勧めします。

じゃあ誰ならフリーランステクニカルトレーナーに向いているの?

簡単に言えば今言ったことに当てはまらない方になります。

・仕事がたくさんだろうが、いっぱい売り上げたいんだから上等な人
・雑務を嫌がらない人
・ITが好きでこの仕事してるんだから勉強もっとさせてくれ、な人
・病気や介護などの理由で自分の働き方では正社員は務まらないので、中抜きされようが仕事はコントロールしたい人
・定年間際または定年後の状態なのでフェードアウトするまでやってみようかなという人

私がフリーランスになるときに会社に出入りしていた先輩フリーランスの方から「フリーランスになるのは絶対やめたほうがいい」と言われました。同業が増えると単純にあなたの仕事量が少なくなるから言ってるだけでしょという「やっかみ」だったと思っていましたが、ここに書かれていることを理解した上でのアドバイスだったと今ならわかります。
ご自身がフリーランステクニカルトレーナーになる際の参考になればうれしいです。

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