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【連続小説】騒音の神様 130 松原、何か悔しい

松原はデカ男達を、また倒してやりたいと思っていた。しかし、先にデカ男の仲間達に謝られてしまいサイダーまで飲んでしまった。怒りをどこへ向けて良いか分からなかった。このまま、静かに何事もなかったように過ごすべきか。それとも怒りをぶつけるのか。皆がサイダーを飲みながら休憩を取る。デカ男を引き連れて来た男が、松原のほうに近づいて来て話し始めた。
「ほんま、前日はすいませんでした。これからは仲良うしてください。竹之内社長にも、よろしゅう言うといて下さい。ほな、わしらこれで失礼しますんで。」
と言ってデカ男を引き連れて素早く立ち去った。松原は、色々言いたいことがあった。デカ男自体は、謝ってもない。
「くそう、先手取られた。何言うてええか分からんかった。竹之内社長にびびって謝りに来ただけやないか。俺、やられただけや。はあ、くそう。俺は何も出来へんかった。俺は役立たずか、」
そんな気持ちがわかっていたのか、年配の一人が松原に話しかけてきた。
「松原君、謝ってきよったな、あいつら。争い事って難しいなあ。腹立つこと多いよなあ。」
松原は
「ほんま、腹立ちますわ。先に謝って来やがって。難しいわ、どうしたら良かったんやろ。あいつら来た時、なんか言えたはずやのに、何も言われへんかった。デカ男は黙ったままやし、何か言えたはずやねんけど。分からんわ、腹立つけど俺もサイダー飲んでしもたし。」
「ほんま、腹立つなあ。わしも、サイダー飲んでしもたし、」
と会話をしながら二人は少し笑った。
松原は考えていたことを口に出せて、気持ちが落ち着いた気がした。
「さあ、みんな、ここからまた頑張ろかい。」
松原は立ち上がり、皆に声をかけた。皆も元気良く立ち上がり作業に戻った。

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