【連続小説】騒音の神様 94 松原とヒジ打ち男、戦う。

松原は走りながら、吹っ飛んだ一人が高石なのを見た。高石は現役のプロボクサーだ。松原はその瞬間を目の当たりにしながら、何も考えている暇はなかった。ヒジ打ち男を取り囲む作業員達の間をすり抜けて松原は走る。走りこんだスピードのまま、ボクシングの構えに変わり素早いワンツーを繰り出した。左のジャブは形だけだが、右のストレートは的確にヒジ打ち男のアゴを撃ち抜いた。松原はすぐに左フックをアゴにぶち込む。その瞬間、ヒジ打ちが松原に襲い掛かる。松原は体をかかんでよけて、左に回り左ボディーフック。松原がヒジ打ち男と戦い出したのを見て、松原の仲間達は興奮した。「いったれ、松原、」「松原さん、たのんます、倒して下さい」。そう言いながら皆、手に何か戦える道具を手にする。手ぶらの者は、何か戦える物を探し出す。松原と一緒な働いていた者たちも、走って来てヒジ打ち男を取り囲む。松原が戦っているのに興奮しながらも、ヒジ打ち男をいつでも攻撃できるようにしていた。ヒジ打ち男を軸にして、松原が回るように攻撃を繰り出す。松原が動きまわりながら攻撃するので、他の者達も松原の邪魔にならないように動き続けた。松原の動きは相当に速かった。松原がパンチを出し、ヒジ打ち男がヒジ打ちを繰り出す。また松原がパンチを打つ。そんな中で、一人の男が前に出た。高石だ。高石もボクシングスタイルで構えて攻撃の隙を見る。ヒジ打ち男の背中が目の前に来たとき、背中側から脇腹にボディーパンチを繰り出した。

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