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【連続小説】騒音の神様 102 悔しい一日が続く

松原達が、痛い体を引きずって仕事をしている最中、体のやたらでかい男がのっしのっしと歩いてきた。荒本だった。荒本は荒い口調で「おい、兄ちゃんら大変やな。さっきボコボコにされてたやろ。怪我してるんちゃうんか、」。松原は、明らかに挑発的な口調なので相手にしようとしなかった。松原は、「なんでもない、仕事中や。邪魔せんとってくれ。」それを聞いた荒本が「仕事、そんな血まみれのシャツで。大変やなあ、」と嫌味たっぷりに言うと他の男が荒本に近寄った。「邪魔すんな、向こう行かんかい。」それを聞いた荒本は、近寄る男の胸を突き飛ばした。近づいた男は簡単に弾き飛ばされた。それを見た他の作業員達も近づいて怒鳴る。「何しとんや、やる気かお前、」荒本はまたも突き飛ばした。荒本は、「こっちは心配してるだけやないか。突っかかってくんなよ。そんな小さい体で。ワシ軽く触れただけやで、軽く。軽くさわっただけで転ばれても、わしどないもでけへんわ。まあ、やるんやったらやったるけどなあ、、」荒本が下品な口調で話している最中に、荒本の仕事仲間が二人やって来た。「おい、荒本、何さぼっとんねん、」「早よ戻ってこんかい、」その声を聞いた荒本は振り返りながら、「すぐ戻るよ、こいつらの心配を、」と言いかけたが、二人の男達に腕や腰をひっぱられながら「ええから戻るんや。日当てぐらいの仕事せえ、」と言われ荒本は仕方なく戻って行った。松原達にとっては、悔しい連続の一日だった。

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