見出し画像

【騒音の神様】06 神様、少年たちのスポーツを見学する。(激突体育会系暴力編)

神様は数日お酒を飲みながら、これからの活動について考えていた。
「万博の工事現場では、そうとう暴れたからな。しばらく時間を空けよう。警察も来るかもしれんしな。別の騒音を消しに行こう。何しろ、街が毎日うるさくなってるからな。子供の音を守るために、わしは動き続けるんや。」
花守は日によって昼だったり夜だったりと、とにかく毎日働いていた。そんな花守が珍しく休みの日があった。神様は驚きながら花守に声をかけた。
「花守君、珍しいな。とにかく、なんか嬉しいから散歩でも行こ。喫茶店に、コーヒー飲みに行こう。」
「ええ、いいですね。最近できた喫茶店があるんですよ。カブでいきましょか。」
そう言って二人は、ヘルメットをかぶらず涼しい風をあびながらカブで走る。途中、学校のグラウンドらしきものが神様の目に入った。
「おお、若い子たちが、何かスポーツをしてるんやな。花守君、止まってくれへんか。少しだけ、若い子達がスポーツをしているのを見ていこう。」
花守は、グラウンドのフェンス沿いにカブを停めた。神様は、若者達のスポーツを見ながら言った。
「ええなあ、若い子供達が元気に走り回ってる。スポーツってやつはきっと面白いんや。わしも、今の時代に生まれたら、スポーツってやつをやってみたいなあ。昔は無かったからなあ。わし、やったことないんや。覚えてへんけど。」
神様が独り言のように話していると、グラウンドから大きな声がした。
「何さらしとんじゃ、アホンダラ。全員並べ。」
「ハイッ」
大声で話す大人の前に、少年たちが一斉に一列に並ぶ。すると大人は、端の少年を殴り飛ばした。少年が吹っ飛ぶ。神様は驚いた。
「何をしとるんや、子供を思いっきりぶん殴ってるぞ。何をしとるんや。」
神様が驚いている間にも、大人は子供達を次々と殴り飛ばしていった。バタバタと子供達が倒れる。
「なんやこれは。軍隊の訓練か?いや、スポーツやってたはずや、どういう事や。何が起こってるんや。なあ、花守君、これは何や。」
花守は答えた。
「指導ですね。スポーツでは指導者がよく生徒を殴り飛ばすみたいですよ。」
「なんやて、」
神様は驚いて口が開いたままになった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?