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【連続小説】騒音の神様 92 現場の昼休み

松原は昼休みに入る前に、自分のチームを集めて昼からの段取りの説明をした。それから弁当を買いに皆で軽トラに乗り込む。荷台にも人が乗って賑やかだ。現場内には弁当屋が増えてきていた。昼前になると、弁当屋が何軒も弁当を並べだした。たくさんの職人、作業員達が集まってきている。「おにぎりがええな、」とか「シャケ弁当がええな」などの言葉があちらこちらから聞こえる。皆で弁当を買い、現場に戻る。木陰を探して太陽をさけて昼休みを過ごした。松原は、ヒジ打ちの練習もしたかったが、話題がヒジ打ち男にならなかったので今日はやめた。昼からの仕事の段取りの事を考えたりしているうちに昼休みはあっと言う間に終わる。松原は皆に声をかけた。「さあ、やろか。」みな「よっしゃ、やろか、」と言いながら咥え煙草のまま仕事に戻る。「今日もこのまま、雨が降りませんように。」「いや、たまには降ってくれんと熱いんですけど。」「三分だけ降ってくれへんかなあ、」「それええなあ、三分だけで涼しくしてくれる雨」などと言い合いながら持ち場に戻った。相変わらず太陽が照り付けて、セミが鳴き続けていた。

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