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【騒音の神様】01 神様、稼ぎの旅から帰る。(激突体育会暴力編)

神様が稼ぎの旅に出ている間も、花守はよく働いた。現場仕事でよく体を使い、仕事が終わってからも体を鍛えた。ときおり仕事場でおこる喧嘩に参加しては圧勝していた。たまに、スーパーカブで大和川の河川敷を走る。そうすると、鰻谷が現れてスーパーカブを整備して綺麗にしてくれた。神様がいなくて変わったのは、神様がいたときほど大人数相手に喧嘩することが無くなったことだった。
「神様がいつ帰ってきてもええように、鍛えとくんや。また、現場で大暴れするんや。」
街路樹から緑色が消えて、地面から小さな虫の音が聞こえてくる。花守が晩御飯を食べている最中に、玄関が開いた。
「ただいま、花守君」
神様が帰ってきた。
「おかえりなさい、」
いつ帰ってくるのかさっぱり分からなかったが、あわてながら花守は笑顔で迎えた。神様は、手提げ袋を花守に渡しながら話した。
「これ、少ないけどお土産や。あとまだ、他にあるんやけどな。わし持たれへんから一緒に取りに行ってくれへんかな」
花守は手提げ袋をもらいながら
「ありがとうございます。まあ、神様、家入ってください。ビールでも飲んで下さい。」
そう言って冷蔵庫から瓶ビールを取り出してお膳に出した。神様はビールを飲みながら、タバコに火をつけた。
「ふあー、うまい。うまい。はあ、落ち着くなあ。」
タバコの煙で部屋の中を真っ白にしながら神様は嬉しそうにビールを飲み続けた。
「花守君、わし銭湯行くわ。汗がすごうてな。一緒に行かへんか、」
と神様は花守を銭湯に誘い、久しぶりに二人で過ごす時間を楽しんだ。

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