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人生で初めて2週間も入院した話:後編

前編

というわけで,私は,大腸カメラと痔の手術を受けることにした.入院期間は,10〜14日を見た方がいいとのことであった.普段,後輩たちに「命あってのモノダネ.体壊して手に入れたものに意味なんてねぇ.しんどければ休め,温泉でも行ってこい」と言い続けてる私が10日も有給を取って休むことになったのだった.さて・・・・・とにかく手術である.

大腸カメラと手術

手術前日に入院し,入院日に大腸カメラを受けることになった.大腸カメラ当日は,朝から,ポカリスエットを海水でわったようなあの薬を2Lほど飲み干し,腸内を洗浄することになる.一度でも,下部消化器の内視鏡検査をやったことがある人なら経験したことがあるあれだ.私は,人生で3回目であった.私は,ポカリスエット飲みながら,味を誤魔化しながら接収するとやりやすいという独自方法を持っているので,これは容易にやりすごすことができた.はっきりいて,1L飲んだ頃には,膵液しか出ないくらい,私はお通じがよいので,2L飲むのは苦痛以外何もものでもないのだが・・・・.

大腸カメラ

今まで受けた内視鏡検査の中でも格別の緊張感である・・・・.なにせ,すでに何かある可能性が高いという状態での検査だからである.内視鏡検査は,痛かったり,気持ち悪かったり,心理的抵抗が大きいため,鎮静剤を使い,意識を飛ばした状態で実行されることがあります.今回のクリニックは,鎮静剤を選択肢に入れてくれるところであったのだが・・・・.
1.父の上部消化器の担当医・・・鎮静剤は勧めない
2.親戚の耳鼻科医・・・・・・・鎮静剤は勧めない
3.人間ドックの検査医・・・・・鎮静剤は勧めない
4.今回のクリニック・・・・・・鎮静剤は勧めない
全員の理由は共通であった.「検査中に患者さんが痛いと感じること」が極めて重要な情報だから.内視鏡検査は,完全に手探りでやるため,万が一が起こる確率は開腹するような手術に比べると当然大きくなる.そんな中で,鎮静剤で患者さんが痛みを感じない状態になっているというのは,内視鏡の状態を知る手がかりが決定的に減るので・・・・ということらしい.今回は,次の日の手術もあるし,大腸カメラくらいでつまっていてどうするということで,私は,今まで通り鎮静剤なしにトライした.

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あの・・・結果・・・・

2年前の前回検査と同じお医者さんだったんですが,今回は苦しかった・・・・.15分ほどで検査が完了し,自室に帰ってくださいと看護師さんに促される(もうすでに入院しているので待合室に戻ってくださいとかではない).
私「あの・・・結果とかは・・・あの・・・」
医者「え?結果?なんにもないですよ.綺麗です」
私「(あぁ・・・・・よかった・・・・つまりあとは痔を退治するだけだ・・・)」

手術当日

ついに当日である.通常,当日の朝から浣腸で腸の内容物をすべて排出するところから始まるのだが,前日の大腸カメラから何も食べてない私は,そういった作業と無縁である.栄養剤を点滴され,手術室に自足で向かう.手術台に自分で腰をかけるのはなんとも不思議な気持ちであった.腰に鈍い痛みを感じると,ぶしゅぶしゅと麻酔が注入されていき,そしてびっくりするスピードで下半身が動かなくなっていく.手術の開始である.下半身だけが麻痺している状態なので,お医者さんが作業されている音や様子が耳なんかを通じて,私は感じることができた.手術中,痛みやなんやらは全く感じないので,どちらかというと,同じ姿勢を続けている首がちょっとしんどいとか,そういうどうでもいいような不快感しか私は,感じなかった.大体予定通りの40分ほど経った頃,執刀医が私から切除した痔核を持ってきて,その内容を説明するのだが・・・・・.そこで,私は,驚愕する.切除された痔核は四つ.小指の先から第二関節くらいまであるものが二つ,第一関節くらいまであるものが一つ,あと小指の先くらいのものが一つ・・・・・.こんなものが・・体内に・・・・そらあかんわ・・・・・・.出血するわ・・・・.よかったよかった・・・・・.
医師「綺麗に取ったから.これで安心して.お疲れさん」
これで,一つの懸念が外科的に取り除かれたのである.めでたしめでたし.

しかしね,アナタ.なわけないのである.

始まる新たなる戦い

痛いのである.麻酔が切れてくると,痛いのである.お尻が.それは,事前に調べた色々な医学部のホームページからの情報や手術を受けた先生の事前説明等で理解していたのだが・・・・・.私自身は,腰椎麻酔への恐怖が大きすぎて,そっちの痛みへの恐怖感が吹き飛んでいたのである.ただ,別にのたうち回るくらい痛いとか,叫ぶくらい痛いとか,うずくまらないと耐えられないレベルではない.痛み止めも処方されるので,お尻がずっとちくちく,どーんと重い感じが続くのである(いわゆる疼痛).ただ,その痛みのピークもだいたい術後36時間くらいで治り,だんだんとおさまっていく・・・・・.のだが.次の心配は,便通なのである.

痛くもなかったのに,術式を知ると痛くなる・・・・

痔の手術は,実は傷口をすべて縫合しないのである.もう,これだけ聞くと「ぞわーーーーー」っとするのだが,これは,専門的にはドレナージと呼ばれるらしい.素人にはよくわからないのだが・・・・なんで縫合してくれないんだ・・・・.理由は,縫合しない創を作っておくことで,膿や汚いものを排出するスペースを作るためだそうだ.そして,素人には想像できないのだが,そうしておいた方が,痛くないし,治癒も早く,炎症を起こしたりすることも少なくなるのだそうです.うーん・・・医学すごい.でも・・・痛い・・・気がする.いや,実際痛いんだけど,痛み止め飲んでても・・・・.いや,痛くないんだけど・・・・・.

排便

術後1日後から食事が始まり,術後二日後から排便が始まる.この排便が死ぬほど難しい.便が液体(下痢)になってしまうと,肛門が開かないため,排便の瞬間に肛門の周囲の圧力が高まり,傷口が開いてしまい,大出血の可能性が上がるのである.一方で,傷口があるため,人間は,意識/無意識的に大腸の動きやキバる力が弱くなり,最初のうちは軟便しか排出できない.固い便でも肛門としては問題ないのだが,術後すぐには強くきばることができないので,便が肛門の周囲で便が硬化してしまい・・・大変なことになるのである・・・・・.術後二日目,下剤を飲んだ私は効果が出過ぎて,完全に下痢になってしまい,ちょっと薬剤を減らすということになったのです.そして,私の大腸の中身は,まんまと硬化してしまい・・・・.

摘便と・・・浣腸

来るべき時がきてしまったのである・・・・.肛門付近で便が固まってしまい,それが問題になってしまったのだ・・・・・.つまり糞詰まり状態です.こうなると・・・医師による摘便と呼ばれる治療を患者は行ってもらうことになります・・・・・はい・・・・その内容は,傷だらけの肛門に指を入れて・・・固まっている・・・便を・・・・・ゴリっと・・・・そして,蓋になってしまっている便を破壊し,出しやすくするわけだ.

・・・・・・

私「待ってー痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
(40過ぎたおっさんの叫び声が響く・・・・・・・・・)
医師「ゆっくり呼吸して,力が入って痛くなるから」
私「もう痛いです,痛い痛い痛い痛い待って痛い痛い痛い痛い痛い」
医師「はい終わりー,あとは浣腸して出してしまいましょう」

あらゆる精神力を使い果たし,棒切れのようになった私はそのあと,患者さん治療用のトイレに行く.浣腸というと,指で持つ小さなイチジクみたいなものをみなさん想像しますよね・・・・・?しかし,そのトイレで看護師さんの手にある浣腸は・・・・・ソフトボールくらいの大きさのでかい・・・・浣腸機・・・・・・そこからプラスチックの半径5mmくらいの管が20cmくらい伸びている・・・・・・・・・・.
私「え・・・・それを・・・この傷だらけの天使に・・つっこむ・・・ちょっと待って,ちょっと待って,ちょっと待って」
看護師さん「出ないと大変なのでさっさとやりましょう,いきます」
私「ちょっと待って,ちょっと待って,待ってーーーーーーーーーーいたいーーーーーうわああああああああああ,ああああ,うええええええ」
(また40過ぎたおっさんの叫び声が響く・・・・・・・・・)

・・・・・

排便.すっきり.でも,もう心はボロボロ.
私「看護婦さん・・・・明日から,下剤を使って,出しやすくしたいです」
看護師「そうしましょう.様子を見ながらやっていきましょう.」
私「え?やわらかくしておけば,今回みたいな悲劇は起こらないのでは?」
看護師「下剤がキツすぎると,今後下痢便になり,そうなると,出血で再度手術し直す事態になってしまいます.」
私「え・・・・でもそんなにある話じゃないでしょ?」
看護師「昨日,隣の病室の患者さん,その手術しましたよ.緊急になるんで大変なんです」

やめてくれーーーーーーーーーーーーーーーー.

というわけで,ウンチは硬くても,柔らかくてもいけないわけで,我々の肛門はすごいバランスの上で運用されているのである・・・・.その後は,看護師と医師の絶妙の配剤で,私の排便はコントロールされ,それから1週間後,無事に退院できたのである.

治療について

私がやらなければならない本質的な治療は,貧血の改善である.退院したが,手術中の出血もあり,術後も痔があったときに比べれば,ゼロに等しいが多少の出血はあるため,私の鉄欠乏性貧血は,まだ回復していない.現在,鉄剤を飲んで治療中である.数値的には,貧血状態と判断される女性より,さらに数値が悪いので,正直フラフラではある.最近血圧が高かったりするのは,そのせいなのかな・・・とか思ったり・・・・(素人が診断してはいけない)

世の中の専門医やクリニック,医学部のサイトを調べていくと,痔の手術は,最近は日帰りでやれたり,薬で治す方法などが出てきたりしていることがわかる.それに比較すると,今回の入院は2週間と長かったが,結果論,日帰りはないなというのが私の考えだ.当然,日帰り手術を提供している病院も,「sonsonみたいなケース,日帰りで対応できるわけねーだろ,悪化しすぎだボケ」みたいなこともありうるわけで,一概にいうことはできないのだが・・・.今回のクリニックの医師は,説明がわかりやすく,即断即決タイプの方だったので,私と馬があった.あと2週間の入院中に退院後の生活の仕方とか,今後の対策の話とかもゆっくりできたのでよかったと思う.でも・・・中でも大きな原因は.

「人間痛かったら,頭働かない,YouTubeも見れない,漫画も読めない,文章も読めない,コードなんて書けるわけもない」

ということです.多分,家に返されても何もできずに寝っ転がってるだけだったとおもう.そう考えると,入院してた方が安心だしよかったなと思っているということだ.

最後に言いたいこと

痔(今回のは内痔核)を侮らない・・・・・.医師の指示に従い,早いうちに直した方がいい・・・どんな病気でも一緒だけど.内痔核には,4段階の病状レベルが専門家によって定義されているらしい.それによれば,レベル3からは,手術による対処が望ましいようである.私の考えは,なんとかレベル3になる前に医師による治療で戻すのが肝要と思うけど・・・・・・まぁ,それも医師の意見を聞くべき,とりあえず医師に診察してもらおう.ちなみに,私の内痔核は,レベル4が二つあったらしいです・・・・.もっとこまめに治療にいけばよかった・・・・・・・・・・・・・.よかった・・・・・・涙.

なんか排便すると出血するな・・・・という方,明日,病院に行きましょう!

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