求められ始めた企業のBX
7月1日より、小売店を対象に、プラスチック製レジ袋が有料化されています。昨今の海洋プラスチックゴミ問題が世界的イシューとなり、政府は2019年5月、「プラスチック資源循環戦略」を制定し、それに則った制度ができました。詳しくは、こちら経済産業省のウェブサイトに掲載されています。
1)バイオマス配合のレジ袋は無料
この中で、バイオマス素材の配合率が25%以上のものは、無料配布しても構わない、という条件があり、小売店ごとにその判断が分かれています。よって、バイオマスという言葉に初めて触れる方が多かったのではないでしょうか。このバイオマスとは、生物資源のような意味ととらえていただければ大丈夫です。
2)BX(バイオマストランスフォーメーション)
BXというのは井筒の造語で、バイオマストランスフォーメーションの略語です。暮らしの中でつかうレジ袋を含め、全てにおいて生物資源由来のものに変えていくことがBXであり、人類も含めたエコシステム(生態系)から得られる果実の中で生きていくということに他なりません。私たち人類は、動植物の成長量の中で生きていくことこそ、生き延びる術だということです。
この考え方は、名古屋大学大学院環境学研究科にいるときに、千年持続学というコンセプトを打ち出した高野雅夫先生に師事していたときに徹底的に叩き込まれました。千年後に人類が生き延びているためには、を常に考えなさい、ということですし、これまで人類が生きてきたのは、生態系の中で生きる工夫を随所にしてきたんだと。テクノロジーの発展した今、生態系から学べることもまた無数にありますし、すでに多くのテクノロジーが昆虫や動物や植物の生態から学んだものとして、人間社会で生かされています。
3)バイオマスの利用法
ちなみに、バイオマスというのは大きく2つの利用方法があります。1つは、レジ袋のようなマテリアル(材料として)利用であり、もう1つはエネルギーです。折しも、弊社は今月より小型木質バイオマスコジェネ(熱電併給)事業に参入していますが、こちらはエネルギー利用です。
レジ袋でバイオマスが25%含まれているというのですが、一体なにが含まれているのか。これは、とうもろこしなどの穀物由来やサトウキビの絞りかすなどからできているそう。詳しくは以下をご覧ください。
4)トランスフォーメーションできない企業は淘汰される
今こそ、企業(もちろん家庭や自治体も)BXの動きが必須になってくると考えます。
社会的には海洋プラスチックゴミ問題や気候変動問題など、目に見える被害から政策づくりへのスタートしてはいますが、そもそもの本質として、人類が生態系の中で生き延びていくための、行動原則だと思います。化石資源(石炭、石油、天然ガスなど)の可採年数はそれぞれ数十年から長い石炭で数百年ありますが、それでも1000年後には尽きてしまいます。
人類が生き延びるという文脈の中には、経済活動も含まれています。長期的な人類生存のための行動原則と、年単位で活動が規定される企業の行動様式とをどのように折り合いつけながらBXを取り入れていくのか。
もちろん、DX(デジタルトランスフォーメーションん)やCX(コーポレートトランスフォーメーション)の動きは、相当の速度で企業に浸透しています。もはや、強いコンテンツではなく、トランスフォーメーション力(変われる力)そのものが、強い企業の証明ともなりつつある昨今。
生態系の中で生きる、という発想を企業がもち、実行する。まさにBXこそが、次の時代をつくる企業といえるのではないでしょうか。
文責:井筒耕平
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