三百六十七話 カード契約できた

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


冬休みに入ったとある日…。

女悪魔グレモリーの言いつけでサタン様に会うことになった。

寒い日が続くので、私は外出したくないんだけれど…。

ずっと炬燵に入っていたい〜。

それでもすぐにサタン様に会うように言われる…。

私はグレモリーの案内で一路新宿を目指すことになった。

山手線で新宿に向かって…。

どうにか新宿駅に着いたのだけれど…。

私はグレモリーとはぐれてしまって…。

迷子になってしまったのだ…。

新宿駅は広大で複雑な構造…。

初めてきた私はどうしようもなくて…。

しゃがみこんで泣いてしまうのであった…。


泣いていたら、銀髪のお姉さんが助けてくれて。

銀髪のお姉さんはとても美人で…。

透き通るような白磁のような肌の色…。

目元は釣り上がっているけれど、涼しげ…。

鼻筋はシュッと通っていて綺麗…。

唇は薄くて、薄紅色のリップで彩られていた。

私が落ち着くまでと、喫茶店に連れて行ってくれる。

少し暗くて、落ち着いた雰囲気の喫茶店…。

私はお姉さんにココアをご馳走になって…。

すごい落ち着いたのであった…。

私たちは店を出て…。

お姉さんに新宿都庁まで案内してもらった…。

お姉さんは都庁で働いているらしく…。

なんとよく聞いたら秘書をやっているという。

サタン様も人間界では秘書をやっているらしく。

私はこのお姉さんがサタン様なのでは…?

と思い始めるのであった…。


都庁に2人で入り…。

お姉さんの案内でエレベーターに乗り…。

とある部屋に案内された…。

部屋に入った瞬間お姉さんの態度は豹変…。

お姉さんはやはりサタン様だったのだ…。

サタン様と私は魔界で会っており…。

その時の私の態度がすごい不遜だったらしく…。

サタン様は私を丸呑みにしてしまったらしい…。

私は何故か消化されずに…。

サタン様のお尻からそのまま出てきたらしく…。

サタン様はお尻が痛い痛いになってしまった…。

サタン様が謝れと仰るので…。

私はよく陳謝したのである…。

私はサタン様のお尻を治すために…。

座薬を買ってくる約束をした…。

私は都庁を出て、座薬を探しに行ったのである。


都庁のエントランスでグレモリーに出会い…。

グレモリーからお金を借りて…。

新宿駅周辺のドラッグストアに向かった…。

私はドラッグストアを探して座薬を買って…。

サタン様が待つ都庁に戻ったのである。

サタン様に座薬の使い方を説明して…。

どうにか座薬を使ってもらうことに成功した。

お尻にどうしても入らなかったら…。

一緒に買ってきたスキンケアミルクを使ってください。

とサタン様に言う私…。

サタン様は頬を赤らめて、やってみると仰った。

私がこのままいてもしょうがないので…。

本当に申し訳ありませんでしたと謝り…。

また明日来てみます…。と言って…。

私はサタン様と別れたのである…。


都庁エントランスではグレモリーが待っていた。

「ごめんグレモリー、お金は働いて返します」

私はすぐに謝ってそう言った…。

「別にいいですよ。それよりサタン様とはどうでしたか?」

グレモリーがそう聞いてくる…。

私はサタン様のお尻のことはまさか言うわけにもいかず。

魔界での私の態度のことは謝っておいたと…。

当たり障りのない感じで話した…。

「そうでしたか。それで契約のカードはゲットできました?」

グレモリーがそう言うので…。

私はまだ取れてません…。と返すしかなかった…。

明日また行くから!その時は取れると思う…。

そう思う私である…。

なんか契約のノルマを追われているみたいで嫌だなぁ。

トボトボとグレモリーと帰る私であった。


次の日、約束通り私はサタン様の元に向かった。

今度は私1人で行くことに…。

山手線に乗って、新宿を目指す…。

今度は迷わずに都庁に着けた…。

私はサタン様のいる部屋に向かう…。

「サタン様、失礼します…」

私はドアをノックして、部屋に入った。

サタン様は執務机の椅子に座っているではないか。

よかった…。座れるようになったんだ。

「サタン様!よかったです!座れるようになったんですね」

私が喜んでサタン様に言う…。

座薬を使ってくれたようだ…。

「少しは痛みが取れたわ、礼は言わないわよ…」

サタン様はツンデレモードだけれど…。

少し嬉しそうであった…。

「久しぶりに椅子という物に座ったわ…」

魔界のサタン様は邪竜のような姿で…。

あまりに巨大だったので、たしか立っていた。

人間界に来ても、お尻の痛みで座れなかったのだろう。


「痛みが取れるまで座薬を試してください」

私は恐る恐るサタン様に言ってみる…。

「わかってるわよ、処方は読んでみたわ…」

サタン様はうるさそうに私に言った…。

なにやら今日はサタン様忙しそうである…。

パソコンでずっと何やら作業している…。

忙しそうだけれど、普通の口調だ。

「今日は忙しいの。もう帰ってちょうだい」

私はわかりましたと言うしかなかった…。

「また暇があったら、喫茶店でも行きましょう」

サタン様はやっとこちらを見て少し微笑んだ…。

サタン様の雰囲気も少し柔和になる…。

私は嬉しくなって、はい!と答えた…。

すると、天空からキラキラとカードが降ってきた。

こ、これはサタン様の契約のカード!?

私はすかさずゲットする…。

サタン様のカードゲットだぜ…!

サタン様は作業に夢中で気づかない。

私は失礼します…と言って部屋を出た。

やった!サタン様と契約できたってことだよね。

私はスキップしながら、帰路についたのである…。

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