ライブハウスの話をしよう

ライブハウスに行けなくなって数ヶ月が経つ。

私がよく行っていたのは、キャパ数十人〜300人足らずの小さなハコばかり。出演者は世間で知られているような有名どころではなく、それぞれの地元の若いバンドや、働きながら音楽を続けている人たちだ。

コロナ騒ぎのかなり初期、ライブハウスでクラスターが発生した。休業を余儀なくされたライブハウス、スタッフ、バンドたちは、今も試行錯誤を重ねながら生き延びる術を模索している。

私も、いつもお世話になっている(客だけど)ハコの力になれたらと、いや嘘うそ、そこがなくなると自分が困るから、スッカスカの財布からグッズ買ったり有料配信のチケットを買ったりしている。

今日はそのひとつ、神戸の4ライブハウスの配信サーキットイベント、「ライブハウスジャッジメント」が行われている。

配信ライブって、正直微妙なのだ、

ライブハウスでは、耳で音を聞いているだけじゃない。音は振動だ。とくに古いハコなんて、フロア自体がいちいち揺れたりする。自分の身体から発する振動もある。音と身体が共鳴する。それが一番大きな喜びなのだ。

大好きなあのハコの美味しいビール。冷えたグラスや瓶の感触。転換中に食べるポテトチップス。対バンがイマイチなときには防音扉の外で、かすかな響きをBGMに友人としょうもない話で笑う。次はこのライブで会うよねっていう約束ですらない約束。

そういうすべてが私にとってのライブなので、音と画素だけの配信ライブは、バンド/ライブハウスに送金するための手段のひとつでしかない。

ところがどっこい。今日のイベントは素晴らしい。

愛するハコの人々があれこれ考え、動いてくれてやっと開催できたイベント。リアルタイムでの配信ですらないけれど、それでも、心は動いたのだ。

本来なら今日は、神戸で「ネコフェス」が行われるはずだった日。

どんなに配信ライブが良くなったって、私に受け入れる気持ちができたって、実際にこの体で感じるライブを超えることはないだろう。

でも今は、もうしばらく、この状況に付き合ってやってもいいかなと思えた。そんな日になった。

ちなみにこの投稿のタイトルは、この4月に行われる予定だった、KYOTO MUSEの周年イベントのタイトルから拝借した。

今日の出演者、ソウルフードのメンバーがTシャツを着ていて、ああ、ライブハウスの話したいなあ、と思ったのだ(ちなみにこのKYOTO MUSEのイベントも私は行く予定にしていたが中止になった)(さらにちなみに言うと、ライブハウスの話は週1開催している友人たちとのオンライン飲みでさんざしているけど、それでもしたりないようだ)。

いつか近い未来に、ライブハウスでライブハウスの話ができる日が来ることを祈っている。

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