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【デザイナー】デザイン料は分かりにくい

今回はデザインの「お金」の話。真面目に本音を書きました。長いですが最後までお読み頂けると嬉しいです。2,850文字

ずいぶん簡単に、色んな物を自作できる時代なりました。20年前に比べれば印刷代もお手頃になり、ネット印刷なんて驚きの納品スピード。そこで気になるのがデザイン料の目安。

がしかし、調べても調べてもピンキリ過ぎて参考になりません(苦笑)。安かろう悪かろうではダメですし、かと言ってお金をかければ絶対に良いものに仕上がるという訳でもなさそう・・・。

そこで今回は「名刺」を例に、デザイン料について綴ります。

■さて、誰に頼む?

さて・・・

自分の「名刺」を作ることになったあなた。
誰にデザインをお願いしましょうか?

❶自分で制作する
費用は一番抑えられる。でも得意じゃなければ作業は辛い。素人感は否めない。

❷器用な友達に頼んでみる
相手はプロじゃない。どのくらいの物を作ってくれる?出来はどうかな?数千円でやってくれるかな?

❸印刷屋さんのWEB作成サービス
デザインテンプレートに入力するだけか。デザインまでしてくれるところもある。ちょっぴり味気なさはあるけど、こだわりないなら◎

❹ココ◯ラで頼む?
価格がピンキリ。しっかり探さないと素人感がある人は多いな。沢山居過ぎて探すの大変。

❺デザイナー
クオリティにこだわるならデザイナー。だけど価格も高い。実はクオリティもまちまちだ。

いずれにしても、何を優先させるかで随分価格は違って来ます。

個人的には、名刺は初対面の人に自分と言う種を蒔く「種」そのものですし、会話のキッカケになる事もあるので、目に留まる物がいいと私は考えています。皆さんはいかがですか?


■ではでは、その費用内訳は?


では、そもそもかかる制作費用の内訳はどうなっているのでしょうか?

自分がチャレンジしたい仕事や、真の社会貢献に繋がるお仕事の場合を除いて、ここでは私の制作費用を構成する「内訳項目」をお伝えします。

❶「デザイン料」

デザインを考えて形づくる費用。名刺などの小さなスペースに情報をデザインをして行く作業は、かなり試行錯誤が必要です。

❷「制作料」

実際に手を動かして作る「人件費/時給的」な費用。Illustratorなどのソフトを使って作る作業費。考えながら手を動かす人や、手を動かしてるとアイディアが出てくるなど人それぞれ。❶と❷を融合する人もいます。

修正回数の上限を設ける人や会社もありますが、私は常識の範囲内でしたら何度も修正をしますし、じっくり打合せをしたいので、今のところは回数設定はしていません。

❸「印刷料金」

紙の大きさ、厚み、種類や、片面印刷か両面印刷か、フルカラーかモノクロか、紙の素材や金色文字、穴あけ特殊加工などによっても大きく違います。さらに発注枚数が少ないと割高になります。印刷代はピンキリです。

❹「諸経費」

色々な費用が含まれますが、印刷屋への入稿手数料はここに含まず印刷代に。主にテスト印刷にかかる費用や打ち合わせにかかる交通費、通信費など。その他をまとめて計上します。

❺「その他/オプション料金」

地図、イラスト、ロゴなどの作成がある場合は、制作する物によってプラスαとなります。内容にもよりますが、おおよそ地図/案内図13,000円~20,000円、個人の方からお受けするロゴは最低30,000円~。お店や会社の顔ですし、一度作成すればずっと使えるので実際はもっと高いです。

ざっとこんな感じでしょうか?

デザイン料とは、❶のデザインそのものだけの価格。製作費が❷。どれだけ作るのに時間と手間を要するかの部分。

正直、市場価値から設定したデザイナーの自己申告なので、人によりその差は大きいです。また、無から有を作り出す「アイディア」「スキル」「時間」などと言う形のないモノの代金は、お客様側からも想像しにくいですし、実はこちらも提示しずらいのが本音です。

本来デザイナーはデザインだけを納品する人なので印刷代などはありません。デザインだけを生業にできる人が、ほんの一握りと言うのも頷けます。レストランでなら納得してお支払い出来ると思うのですが、いざデザインになると「うーん」となってしまうのが苦しいところです(苦笑)


■少し考えてみて下さい

では、少し突っ込んで考えてみて下さい。例えばクオリティを置いておいて制作費を時給換算してみましょう。名刺片面の制作を最速でやるとします。実際にはこんな短時間では終わりません。


❶内容の聞き取り/打ち合わせ▶︎2時間
❷デザインを考える▶︎2時間
❸手を動かして形にする▶︎2時間

合計6時間(印刷屋への入稿は除く)実際には1回目の提案/修正も入ります。

例えば派遣事務でも1,350円程度の時給かそれ以上。デザイナーを仮に2,000〜5,000円の時給として計算しても最低12,000円はかかります。そうするとどうでしょう。更に、

☑デザイン料が上のせされたら?
☑時給がもっと高かったら?
☑アイデア出しに何倍も時間必要だったら?
☑作業時間も何倍もかかったら?
☑そこに印刷代が入ったら?

名刺だけでもそれなりの価格になります。

適当に作れるなら良いのですが、そう言う訳にも行きません。


■考える、アイデアを練る

正直この代金を「0円」と思っている方は多い気がします。というより出来れば「0円」であって欲しいのだと思います。ですが本来、形のないココにこそ、最も価値がおかれるべきではないかと・・・

アイデアは、決して「ポッ」と出てくるモノではありません。緻密な下準備のもと、計画的に表面化してくるモノです。もしくは経験によって蓄積されてきた財産だと思います。

また「バランス感覚」の価値も、金銭的な評価が高くないと感じます。「バランス感覚」とは、字体の選択や、文字サイズ、写真、色、配置などあらゆる構成要素のバランスのことです。

自分で制作すると、素人感が拭えない。
何が違うんだろう。

大抵の場合この答えは「バランス」だと思います。


■やっぱりデザイン料は分かりにくい

いかがでしたか?

実際に人が身体を動かせば、それに支払う対価は分かりやすいですが、人が頭を使う部分の対価になると、途端に分かりにくくなります。

私は、本来顧客のニーズを汲み取るプランナー的作業と、実際に手を動かすデザイナーを兼ねるので、2人以上分動いている事を理解して頂くのは、とても難しく、職人気質が強いので料金はいつも悩みどころ。

反対に曖昧なスキルでデザイナーを名乗る人も、実際には大勢います。だからこそ依頼する側も誰に依頼するかを吟味する必要が出てきました。

デザイン料が分かりにくい場合は、思い切って予算を伝えれば良いと思います。もしも、これで相手がムッとするようなら、遅かれ早かれ依頼は解消となるでしょうから(笑)

とにもかくにも「依頼」する以上は「ビジネス」。要望、金額、納期など、お互いにしっかり懸念点を解消してから先に進むことをオススメします!やっぱりデザイン料は分かりにくい。

気持ちよく行きたいもんです。

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