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私の身体は私のもの。自分でコントロールしたいからピルを飲むの。

低容量ピルを飲むようになって5年半経ちました。生理をコントロールすることは、今や自分にとって「習慣」のひとつに。毎月21日間服用しています。

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ピルと生理は切っても切れない関係です(ピルを服用している人にとって)。

7月17日、生理をテーマにしたドキュメンタリー映画 『LOOKING FOR THAT-アレを探して-』(監督:朴基浩)をオンラインで鑑賞しました。

昨年公開されたタイミングでは、鑑賞するチャンスを逃していたので、とても楽しみにしていた作品。

「女性◯◯」とか「男性◯◯」とか、そろそろ性別+職業表記はやめてもいいのでは? という考えですが、女性だけが経験する生理というテーマだからこそ、ここではあえて書くことにします。監督は男性です。

男性監督が女性たちをインタビューし、生理に関する言葉を引き出すと共に、それらの言葉を受け取った監督が、自身の中で咀嚼していく作品です。

作中、監督がピルを飲んでいる女性に「自分の身体をコントロールすることに抵抗を感じることはあるか」的な問いをするシーンがあります。ここは自分にとって、強く印象に残る場面のひとつでした。

女性の回答は、「投薬」という観点でいうと、身体をコントロールするのは薬全般に言えること。だからピルに関して身体をコントロールしている、という抵抗感はない、といった内容。

他にも印象的な言葉のやりとり、シーンはいくつもありました。簡単ですがTwitterに感想を綴っています。

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何者かによって自分の身体をコントロールする——それは「自然」とはいえないからこそ、ネガティブな行為と捉えられる余地があるのかもしれません。

ただ、もし自分が「あなたはピルで身体をコントロールすることに抵抗を感じますか」と聞かれたなら、「抵抗は感じません」と答えます。

自分の場合、ピルを飲むようになった一番の目的はこれでした。

生理不順を整え、「毎月この週に来る」と高い確率で決まっている前提の上で、先の見通しをつけ、スケジュールを立てやすくするため

それまでは生理の間隔が長くなったり、短くなったり、かと思えば安定した時期が続いたりと、総合的に不安定でした。

今でも思い出します。タクシーで出版社に向かっていたときのこと。脚の間にどろりとした感触を認め、目的地に着いてお尻を浮かすと、幸運なことに座席は汚れていませんでした。白いシートを汚して迷惑をかけたくはありません。

ホッとするも束の間、出版社のお手洗いに駆け込み、急いで“処置”。ボトムスの内側は経血で汚れ、気に入っている服なのにとガッカリしました。

そして、見込みでは翌週にくるはずだった生理が、何の前触れもなく不規則にやってきたことに対してうんざりし、私の身体を好き勝手にしないでよ、という思いも生まれたのです。

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幸いなことにピルが身体に合っていたおかげで、服用し始めてからというもの、私の生理はカレンダー通りにやってきます。日曜日から当月3度目の土曜日まで21日間ピルを飲み、丸1日空けて月曜日から来る。

飲み始めてから3〜4年近くはそんな感じでしたが、32歳頃から丸2日空けて火曜日から来るようになりました。しかも火曜日の午後〜夕方にかけて、と後ろ倒しに。

経血量も減り、4〜5日続く生理中、使用するナプキンは10〜15個前後。特に3〜4日目はほとんど量がなく、だいぶ軽くなりました。

5年半もの間、毎朝8時を目安に服用していたものを、直近は実験的試みとして毎晩0時前後に飲むスケジュールに変えてみました。すると面白いことに、水曜日になりたての真夜中に生理が来ました。

飲む時間をずらすと、身体が素直に反応していて、生理が来る時間外も後ろに伸びる。そんな興味深い変化があり、身体は正直だなあと感じています。

ピルのおかげで、自分好みに身体をコントロールできる状態が、個人的には心地よいものだと感じています。

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「私と生理」。そんなお題を出すと、すべての女性が何らかのコラム、エッセイを書けるんじゃないかと思います。

生理が順調な人、不順な人、軽い人、重い人、しんどさがあまりない人、とてもしんどい人、何らかの理由で生理が来ない人、生理が終わった人、生理がこれからの人……などなど。

女性によって生理という症状はさまざまです。一人ひとり全然異なる、と言っても過言ではありません。ときに「アレ」みたいな呼ばれ方をするけれども、アレなんて2文字では片づけられない、奥深いものだと思っています。

だからこそ、それぞれに物語がある。みんながストーリーを抱えている。いつか、そんな特集的な企画をやってみたい。

私も生理に対して思い入れがあり、初潮を迎えた12歳頃からもう22年も(!)毎月私なりの生理と向き合っているからこそ、思うこと、考えること、知ってほしいことがあります。

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この文章を書くきっかけとなったのは、映画 『LOOKING FOR THAT-アレを探して-』のおかげです。こちらがより多くの人に届きますように。

あらゆる人に観てほしいですが、生理を体験する機会のない男性にも鑑賞して、生理について考える機会を得てもらえたらうれしいです。生理は誰にとっても「関係ないもの」や「なかったことにしているもの」ではないから。

作品を上映したい、イベントに絡めたいなどの思いがある方は、朴基浩監督に連絡すると柔軟に対応してもらえるはずです。

最後に、基浩さんへ。再会する機会は先になりそうなので、記憶と感覚が鮮やかなうちに感想文というより、映画に絡めた個人的な文章を書きました。純粋な感想は町中華食べながら改めて。

作品を世に出して、今回オンライン上映してくれて、観る機会をくれてありがとうございました。


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