えちょ

臨床検査技師 超音波検査士 復習と勉強を兼ねて。

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最近の記事

臨床編/甲状腺~副甲状腺癌~

 原発性副甲状腺機能亢進症の原因の大部分は副甲状腺腺腫であり、副甲状腺癌が原因である頻度はおよそ1%以下と考えられている。 超音波所見 ・縦横比(D/W比)が1.0以上で厚みをもった腫瘍、分葉状あるいは不整な形状で内部不均質で低エコーを示す ・甲状腺との境界を示す線状高エコーが明瞭でないことが多い  良性の副甲状腺腺腫以外には、甲状腺・食道・胸腺や気管由来の腫瘍が鑑別にあがる。 ~えちょ~

    • 臨床編/甲状腺~副甲状腺腺腫~

       原発性副甲状腺機能亢進症は内分泌疾患の中では比較的頻度の高いものである。50歳以上に多く、高カルシウム血症を契機に診断されることが多い。  原因の約80~85%が一腺の腺腫、約10%が過形成による多腺病変、約1%が副甲状腺癌、約4%が多発腺腫である。 超音波所見 ・甲状腺の背面に接する境界明瞭、内部低エコーの扁平な腫瘤 ・大きくなると、嚢胞形成や石灰化を伴うこともあり、不均質を呈す ・カラードプラ所見:内部に血流シグナルを認め、増大とともに増加する ~えちょ~

      • 臨床編/甲状腺~転移性腫瘍~

         甲状腺の転移性腫瘍は画像診断・穿刺吸引細胞診の普及に伴い診断例が増えてきている。  転移の機序は血行性転移とリンパ行性転移があり、血行腺転移は腎・乳腺・肺・消化器などが多く、リンパ行性転移は乳腺・肺・胃などがみられる。 超音波所見 ・結節型:単発あるいは多発する低エコーの充実性腫瘍、内部エコー不均質、辺縁低エコー帯は伴わない ・びまん型:びまん性に腫大し、点状高エコーが散在する ・カラードプラ所見:結節型は血流シグナルが豊富で、びまん型は乏しい場合が多い ~えちょ~

        • 臨床編/甲状腺~悪性リンパ腫~

           甲状腺悪性リンパ腫は甲状腺悪性腫瘍の1~5%を占め、高年齢女性に多い。大部分が橋本病の合併を伴い、高サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の甲状腺自己抗体が陽性を示す。 超音波所見 ・結節型とびまん型がある ・形状不整 ・内部エコーレベルが極めて低く、後方エコーは増強する ・まだら状低エコー・切れ込み様所見 ~えちょ~

        臨床編/甲状腺~副甲状腺癌~

          臨床編/甲状腺~未分化癌~

           未分化癌は全甲状腺癌の1~2%と頻度は少ないが、固形癌の中でも最も予後不良な癌とされている。未分化癌の平均生存期間は4~12か月で平均6か月と言われ、長期生存例はまれである。60~70歳代に多く発症する。  臨床症状は、急激に増大した甲状腺腫・咽頭痛・頚部痛・頭痛・嗄声・嚥下困難などで、リンパ節腫脹も著明なことが多い。 超音波所見 ・出血や壊死を伴い、内部エコーは低下・不均質を呈し、嚢胞を伴うこともある ・比較的大きく濃い石灰化 ~えちょ~

          臨床編/甲状腺~未分化癌~

          臨床編/甲状腺~低分化癌~

           低分化癌は高分化癌(乳頭癌ないし濾胞癌)と未分化癌との中間的な形態像及び生物学的態度を示す濾胞上皮由来の悪性腫瘍とされている。  低分化癌の頻度は低いとされるが、予後は通常の高分化癌と比較すると不良である。 超音波所見 ・形状不整な大きな結節 ・内部エコーは低く不均質 ・微細高エコーを伴うことは少ない、卵殻状石灰化を伴うこともある ・カラードプラ所見:血流シグナルが多い ~えちょ~

          臨床編/甲状腺~低分化癌~

          臨床編/甲状腺~髄様癌~

           髄様癌は甲状腺傍濾胞上皮細胞を由来として発生する悪性腫瘍で、日本における甲状腺悪性腫瘍の約1~2%を占め、その約25~30%は遺伝性である。 超音波所見 ・甲状腺上極側約1/3に多い ・内部は等~低エコーで境界部低エコー帯は伴わず辺縁は整~不整 ・低エコーを示す充実性腫瘍の内部に粗大な高エコーを有する ・カラードプラ所見:豊富な血流シグナル ~えちょ~

          臨床編/甲状腺~髄様癌~

          臨床編/甲状腺~乳頭癌~

           乳頭癌は甲状腺の悪性腫瘍の約90%を占めている。乳頭癌の発育は緩徐であり、手術後の予後はほぼ良好である。乳頭癌は頚部リンパ節へ転移することが多く、肺や骨に血行性に遠隔転移する頻度は低い。  大多数の症例は散発性であるが、2~5%は家族性に出現する。 超音波所見 ・境界(不)明瞭粗雑、不整形 ・内部低エコーで不均質 ・微細多発の高エコー ・内部エコーは充実性がほとんどだが、嚢胞変性を示すこともある ~えちょ~

          臨床編/甲状腺~乳頭癌~

          臨床編/甲状腺~濾胞癌(濾胞腺腫)~

           濾胞癌は濾胞を形成しながら、または索状・充実性に増殖する。組織学的診断は、腫瘍細胞による被膜浸潤あるいは脈管侵襲によって規定され、これによって濾胞腺腫と鑑別されるが、画像診断上鑑別は困難である。  濾胞癌は甲状腺悪性腫瘍の5~10%を占め、血行性転移により肺・骨などに遠隔転移をきたせば予後不良とされている。 超音波所見 ・濾胞腺腫では円形または楕円形を呈す、濾胞癌でも形状の不整はあまりみられない ・内部エコー不均質 ・境界部低エコー帯 ・石灰化を示唆する高エコーがみられる

          臨床編/甲状腺~濾胞癌(濾胞腺腫)~

          臨床編/甲状腺~腺腫様結節・腺腫様甲状腺腫~

           甲状腺内に腫瘤を形成する良性疾患のほとんどは腺腫様結節・腺腫様甲状腺腫と濾胞腺腫である。腺腫様結節・腺腫様甲状腺腫の本体は過形成であり、甲状腺細胞がモノクローナルに増殖した真の腫瘍性病変である濾胞腺腫とは基本的に異なる疾患であるが、病理組織診断においても鑑別困難な症例もある。 超音波所見 ・円形~楕円形、境界明瞭、境界部低エコー帯は認めないことがほとんど ・内部は等~やや低エコー ・内部のほとんどを嚢胞が占めるものもある ・spongiform pattern(多数の微小

          臨床編/甲状腺~腺腫様結節・腺腫様甲状腺腫~

          臨床編/甲状腺~急性化膿性甲状腺炎~

           急性化膿性甲状腺炎の多くは第3あるいは第4鰓溝の遺残による下咽頭梨状窩瘻という先天性の奇形が原因で、この瘻管が甲状腺の近傍や内部に開口して感染を引き起こし、甲状腺に炎症が波及する稀な疾患である。  発症年齢は小児~若年者に多く、左側に起こることがほとんどである。  臨床症状は、発赤・腫脹・疼痛・嚥下痛である。 超音波所見 ・甲状腺周囲から内部に広がる境界不明瞭な低エコー域 ・甲状腺被膜の不明瞭化 ~えちょ~

          臨床編/甲状腺~急性化膿性甲状腺炎~

          臨床編/甲状腺~亜急性甲状腺炎~

           破壊性甲状腺炎の中には、急性化膿性甲状腺炎・亜急性甲状腺炎・無痛性甲状腺炎や薬剤性甲状腺炎などがあり、バセドウ病との鑑別が臨床的に重要な病態である。  亜急性甲状腺炎とは、甲状腺に何らかの原因で炎症が発生し、そのため甲状腺組織の破壊が起こり、血中への甲状腺ホルモンが一過性に漏出し甲状腺中毒症を示す病態である。  病因としては、流行性耳下腺炎・インフルエンザ・EBウィルスなどの上気道感染が先行する場合が多い。  発症年齢は30~60歳に多く、男女比は女性に多い。  主症状は

          臨床編/甲状腺~亜急性甲状腺炎~

          臨床編/甲状腺~慢性甲状腺炎(橋本病)~

           橋本病は自己免疫性甲状腺疾患で、慢性甲状腺炎とも呼ばれ、臓器特異的な自己免疫疾患のなかで最も頻度の高い疾患である。  橋本病の抗原はサイログロブリンと甲状腺ペルオキシダーゼであるり、病理学的には甲状腺内へのリンパ球浸潤により甲状腺濾胞上皮の萎縮や変性・濾胞構造の破壊・リンパ濾胞の形成・間質への線維化が特徴的な所見である。  易疲労感、寒がり、発汗減少、便秘、脱毛などの甲状腺機能低下症状が出現する。 ~超音波所見~ ・辺縁が鈍化し表面が凹凸で分葉状構造を反映 ・びまん性に

          臨床編/甲状腺~慢性甲状腺炎(橋本病)~

          臨床編/甲状腺~バセドウ病~

           バセドウ病とは、甲状腺中毒症の原因疾患として最も頻度の高い自己免疫性疾患で、女性に多い。甲状腺刺激活性をもつ抗甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体抗体によって甲状腺機能が亢進し、びまん性甲状腺腫をきたす。  甲状腺外症状は、眼球突出や脛骨前粘液水腫など。 ~超音波所見~ ・甲状腺腫大 ・内部エコーレベルの低下 ・びまん性の血流シグナルの増加(未治療) ~えちょ~

          臨床編/甲状腺~バセドウ病~

          臨床編/甲状腺~解剖・走査~

           甲状腺は蝶の形をした臓器で、左右の側葉と峡部からなる。峡部は第2~3気管軟骨の高さで気管の前面にみられる。左右の側葉は上方へ円錐状を呈し、甲状軟骨上縁まで達する。側葉の上端を上極、下端を下極と呼ぶ。  甲状腺は前頚部に位置する為、検査体位は枕なしか肩の下に枕を入れるなど、前頚部を伸ばした状態で行う。めまいなどがないかの配慮が大切である。  圧迫しない、ゼリーを多めに塗るなどの工夫も必要で、時に呼吸を調整することもある。 頚部正中縦横走査:スライド走査や扇走査を細かく調整

          臨床編/甲状腺~解剖・走査~

          臨床編/甲状腺~甲状腺とは?~

           甲状腺は前頚部に位置し、蝶が羽をひろげたような形で気管を抱き込むようについている。大きさは、縦が約4cm、重量約20~40gと、薄く柔らかい臓器である。  甲状腺の役割としてエネルギー代謝、蛋白・核酸代謝、成長、糖代謝、脂肪代謝、ビタミン等に効果を及ぼすことが知られている。  甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)と、トリヨードサイロニン(T3)の2種類があり、甲状腺では主にT4が合成され、肝臓などでT4がT3に変換される。  甲状腺の機能は、視床下部‐下垂体系によっ

          臨床編/甲状腺~甲状腺とは?~