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戦争と薬物

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疲労、飢餓、恐怖、睡眠不足、これらが戦争のもっとも基本的な要素である。薬物はこれらの問題を中和する手段である。個人の戦闘行動も、集団の戦闘行動も、すべてその当時の文化規範や道徳規…
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#南北戦争

四肢の負傷は切断が最適の治療法だった

歩兵が両手で抱えて照準を合わせ発射する小銃は、すでに15世紀半ばには知られていた。銃身に螺旋状の溝(ライフリング)をつけたことによって弾丸に回転運動が生じ、ジャイロ効果によって弾軸の安定化が図られ、空気抵抗が減少して直進性が高まり、飛躍的に命中率が高まった。ただし、銃身に弾丸を装填するのに時間と手間がかかるという欠点があった。 この欠点を改良し、さらに武器としての性能を高めたのが、フランス陸軍大尉であったクロード・エチエンヌ・ミニエー(Claude-Étienne Mini

殺戮は裏庭でも行なわれた (ver.2.0)

南北戦争(1861-1865)の悲惨な戦闘、同胞同士の残虐な殺し合いは、しばしば民間人の裏庭でも行なわれた。 医療資源も技術も粗末なもので、戦場で手足に大きな傷を負った場合、壊疽(えそ)を防ぐために即座に切断されるのが一般的だった。激痛を伴う切断は、大量のモルヒネとアルコールで対処した。手足は現場で弓のこで切断され、馬車に積まれて別の場所に捨てられた。処理には民間人も動員され、女たちも裏庭に転がっている手足のちぎれた死体、腸が飛び出した死体などを処理した。 このような殺戮