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誰かにオススメしたい本〜三十の反撃

三十の反撃。

このタイトルを見た瞬間、これは私のための本だと直感的に思った。


主人公の女性は非正規雇用の平凡な女性。
名前もジヘという名で、韓国では学校のクラスに何人もいるようなありきたりな名前。

同じ職場にインターンとして来た同い年のギュオクと他の仲間たちと共に、理不尽な世の中に対して小さな反撃を企てていく。


半地下の家に住む、社会の底辺から上に這いあがろうともがいているジヘの叫びがあらわされている。

「だから、もう穏やかに暮らしたいだけなんです。夢とか、自分が何をやりたいのかとか考える必要もなく、誰にも邪魔されずに一日一日を穏やかに暮らしてみたいんです。私が一番うんざりしている言葉が何かわかりますか?頑張るという言葉。頑張って生きろという言葉。頑張るのはもうたくさんです。頑張って生きてきました、それなりに。それでもこうなんです。頑張ってきたのに、この歳になってもこうなんです。だったらもう頑張らななくてもいいじゃないですか」

「頑張ってきたのに、この歳になってもこうなんです」

そうだ、私も自分なりに頑張ってきた。だけど、頑張っても報われてこなかったな。

そう言うジヘに対してギュオクは質問で返す。
「自分では前に進んでると思ってるみたいですが、本当は逃げてるんだって、わかってて知らないふりをしてるんですか、それとも本当に前進してると思ってるんですか?」

ギュオクは本当に憎らしいな…痛いところをつかれてしまった。
自分が本当にしたいことがあったとしても、人の目や世間体を気にして、動かなくなってしまう。この状態をギュオクは「逃げている」と言ったのだ。ジヘのことをよく見抜いているなと思った。



元々は「普通の人」というタイトルだったこの本。
特別な人であると世の中に認められなかったとしても、自分は世界で一つだけの存在である。

特別でなくていい。普通でいいのだ。
そう思うと、ふっと気が楽になった。
もっと楽に生きていこう。


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