柳宗悦とみうらじゅん

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 国立近代美術館で民藝の100年展。柳宗悦を中心に河井寛次、濱田庄司、バーナード・リーチ、吉田璋也などの民藝運動の歴史や活動がたっぷり紹介されていて見応えがあった。日本民藝館は展示品の説明が無い分こちらは説明が詳細。大津絵の表具のこだわりもよくわかった。
民衆の道具の奇をてらわない用の美を評価した功績は大きいと思うし、どれも見てすてきだと思う物ばかりだけれど、一緒に行った娘の感想は「でもさ、結局全部柳宗悦とその仲間たちから見て『これいい』ってお墨付きをもらったものってことなんだよね」と辛口。
それを言っちゃーおしめぇよ、だけれどまあそういうことなのだ。日本民藝館の日本地図と各地の民芸品の地図の展示を見て、これってD&DEPARTMENTだと思ったら最後のショップにしっかりD&Dの物販が並んでいた。

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スリップウェアの大皿も濱田庄司作の大鉢も、かっこいいけど持ったらすごく重いだろうし、煮物や焼き物を盛り付けたら素敵だろうけど、運んだり洗ったり拭いてしまったりするのはすごく大変だったろう。実際に家事で使っていた立場からしたら、それでも「用の美」って言えたのかな。それを考えると民藝思想ってちょっとペダンティックだな。
知識も思想も美意識も突出し、社会的地位もあった男性たちだったからこそ確立できた民藝運動だったのかもしれない。
 その後のブームに便乗した民芸品は民藝とは全く別次元の物としてこの展覧会ではもちろん取り上げられていなかったけれど、民藝運動から時代が下って日本中の観光地の売店で売られるようになったキッチュなお土産の民芸品、貝殻のすげ笠にプラスチックパールの顔と胴体をくっつけたお色気海女さん人形とか、接着剤がはみだした木の実の南国風マスコットとかを再発見・再評価したみうらじゅんの展覧会も、近い将来この美術館で開催されるかも。

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