親の老いに向き合う - 62歳なのに90歳母からふしだらと疑われた話 -
90歳独り暮らし母の様子見のため帰省中。
だいたい1ヶ月半おきに実家に帰っているが、帰るたびに老化が進んでいるのを感じる。
CMを見ては化粧品を注文するのは相変わらず。
でも最近は注文したことを端から忘れているため、現物が届いても箱を開けることもなく部屋に積み上げ、中に入っている振り込み用紙もそのままにして支払いの督促が来るという事が続いている。
帰省の度に私がその処理。
広告見て「これいい!欲しい!買わなきゃ」と思うのはしょうがない。
でも、注文したらそれで満足してあとはケロっと忘れちゃうという人にはどう対応すればいいのだろう。
無限プチプチのおもちゃみたいに、欲しいと思った物をポチったり電話注文したりがいくらでも架空でできる方法があればいいのにと真剣に思う。
支払い滞納については指摘すると神妙な面持ちで「わかった。反省します」と言っていて、昔は母に怒られてばかりだったけど、なんだか立場が逆転しちゃったなーと思っていたら。
昨日の夜は久しぶりに母から「ちょっと、これ、どういうこと⁉︎」と厳しく問い詰められた。
母が突きつけたのは、テーブルに私が何気なく置いていた日赤の確認書。
昨日の午後、街に出た折に時間があったので献血ルームで予約無しで血漿の成分献血をした。
この確認書は献血後に毎回もらうもので、紙の後ろ半分には自分の採血番号のシールが貼ってあり、採血後に該当項目があることに気づいたら専用ダイヤルに電話して採血番号を連絡することになっている。
該当項目とは、6ヶ月以内の不特定の異性または新たな異性や男性同士との性的接触とか麻薬・覚醒剤使用とかHIV検査陽性とか。
まぁ普通「あら、そういえば私6ヶ月以内の該当者だったわ」と採血後に気付く人ってそうはいないと思うが。
よく読めば(よく読まなくても)単なる採血後の確認とわかるのに、内容がそれなりに生々しく、赤い太字で「必ず本日中にお電話ください。」なんて書いてあるため、読解力も低下してきている母はこれらをザーッと読んで「んまーっ、ふしだら!」と頭に血が上ったもよう。
しわしわの90歳が、白髪でしわの62歳に、あなたこういうことやってるってこと?と問いただす。
もー、勘弁してよ〜と思う。
母の目をかいくぐって友達にアリバイ工作を頼んで青春を謳歌した頃から何十年経っているのだ?
60過ぎの娘に「これ、どういうこと⁈」はないでしょ、項目に該当してたとしても(してないけど)法に触れなければそれは個人の自由。ふしだらと非難される筋合いはない。
ぼんやりしたおばあさんになってきちゃったなとしんみりしていたら、いきなりあの頃の怖い母リターンズ。ああ、いやだイヤだ。
母親の呪縛から娘は死ぬまで逃れられないのだな、とちょっと絶望感を味わった出来事。
(タイトル写真は川本喜八郎作のヤンヤンムウくん)
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