違いは人を分断しない
「ボストン市庁舎」を観た。インターミッション付きの274分なので、いつもより大臀筋と腰の筋膜リリースをじっくりやって長丁場に臨んだ。
とても良かった!フレデリック・ワイズマン監督91歳、衰え知らず。始まりは「ニューヨーク公共図書館」のレファレンスサービスと同じような、311の市民からの声に対する職員の音声。この部分とても楽しい。全編淡々としたドキュメンタリーなのだが、市民と職員のやり取りに生き生きとしたものが感じられる。時々挿入される秋から冬へのボストンの街、ゴミ収集や道路整備のショットも効いていた。
ボストンの普通の市民の、色々な集会での発言が興味深かった。みんなダイアローグの姿勢が堂々としていて、一方的に主張したり他者を糾弾したりしない配慮もある。こういう対話力は、子どものころから培われたものなのだろうか、うらやましい。トランプ政権下のボストン市長も、はっきり全米ライフル協会を批判し、多様性を大事にして移民に寄り添う表明をしていて清々しかった。もちろんボストンも色々な問題を抱えている。でも、みんなで市をよくしていこうという前向きな気持や、得たものはシェアしたり還元したりしようという他者への思いやりが人々の根底にあるような気がした。
「他者を尊重する」「違いは分断を生まない」「いつもドアは開かれている」日本もこういう社会であってほしいしそうなれる行政を望んでいるのだけれど。今度のボストン市長にはアジア系の若い女性。未来、という言葉を感じた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?