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この服はだれかが作った服

 岩波ホールで『メイド イン バングラデシュ』。
もうすぐ閉館だから人多いだろうなと思ったけれど空いていた。
グループで来ている若い女性が目立っていたが、入場待ちで並んでいる時に聞こえてきた会話から察するに、大学のゼミの一環で見に来ていた様子。
児童婚も含む女性の人権とかエシカル消費や労働問題とかいろんなテーマが含まれているので、そういう課題について考えるのにはぴったりの映画だろう。

劣悪な環境の縫製工場で働く主人公シムが、夫の反対や管理者側、役人の妨害と闘い労働組合結成に奮闘するという実話に基づいたお話し。
シムの夫や工場の管理職、守衛、受付、役人、出てくる男がみんな威張り散らしていてイライラ。
大家のおばさんも男権主義に迎合する価値観。日本でもまだこういうとこあるよ。

シムや同僚の友だちが着ているサルワルカミースという民族衣装がとてもカラフルでいいなーと見ていたが、後で監修の解説を読んだら、あれは化学染料を使った安物とのこと。シムに組合を作るよう助言するエリートっぽい労働者支援団体の女性のサルワルカミースは地味だなと思ったけれど、そっちは草木染めの高級な生地と知って「ヘぇ〜!」だった。銘仙と大島紬みたいな感じか。
それでもシムの着てた方がいいな。鮮やかなピンクと水色の組み合わせなんかほんとにすてきだった。
ストンと終わったラストだったけれど、シムの強い眼差しがこのままじゃ終わらせないと思わせてくれた。

家に帰って服のタグ改めて見てみた。
ちょっと前はMade in Chinaが多かったけれど、ベトナム、スリランカ、そしてバングラデシュ製がけっこうあった。
ダウンにもMade in Bangladeshのタグ!
天井の古い扇風機がブンブン回ってる下で、この防寒着も作られていたのか…。







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