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stand.fm 10 / 11 :: 『サウンドウォーク・兼業作家について』

stand.fm 10 / 11

今回は、フィールドレコーディスト Shoya Maruyamaさんをゲストにお迎えして話を伺います。

課題曲

課題曲1 : サウンドウォーク
https://soundcloud.com/marusho/sets/fieldrecording

課題曲2 : Rite Of Passade To Modern ( from Does The Outside Contract ? )
https://tonestrukt.bandcamp.com/track/rite-of-passade-to-modern


今日から始めるサウンドウォーク

彼は、歩きながら聴取することで、日々や環境の音の認識を変える「サウンド・ウォーク」を実践しながら、社会的な視点を包摂した作品を作っています。今日から誰もが始められるサウンドウォークについて話を伺いつつ、

- R.M. シェーファーによるサウンドエデュケーション
- 日常や音楽の感じ方を一変させる「サウンドウォーク」
- カルフォニアのレーベルからリリースされた日本の奇祭の音をカットアップした作品
- 盗聴は合法 !? 盗みとった音をテーマにした個展作品

などを伺いました。

後編:「アート・社会・兼業作家」

さらに今回は、初の前編・後編同時公開。
後編は彼の社会的な視点を包摂したサウンドアートについて話しつつ、そこから「兼業作家」について話が及びます。
実は、彼は普段、ある世界的な企業のショップで活躍しています。作家や研究者といった形で、象牙の塔を目指すのではなく、仕事としては産業・社会にしっかり内在しながら、同時に観察者として、その視野や問題意識を音・作品で紡いでいます。

Shoya Maruyama 個展情報

Sound Exhibition
誰もいない都市で鐘は鳴るのか
2021.02.23〜02.28
12:00〜20:00

みどり荘 (MIDORI.so NAKAMEGURO )
http://midori.so

後記

放送内で兼業作家の話題について、いろいろ意見が交わされます。
日本では二足のわらじは忌避され、国営放送のドキュメンタリーなどでは修行僧のように、あらゆるものを切り捨てて、ひたすら求道する人物がよく取り扱われます(またはそのように編集される)。実際そのような姿は、視る者にとても強い情動を引き起こします。
一方で、この世界には、こういった価値基軸ではそもそも計測できない活動や職業の人が増えてきているように思えます。2つも3つも肩書きを持っていたり、誰もやったことがないフィールドで、関係のありそうな人と人を繋げて、解決の糸口を探り続ける人、カテゴライズ不能な活動を続けながらそれについて知ろうとする人など、様々な人が現れています。これらは職業選択をして一流を目指すという「道」のモデルではなく、もはやアクティビティそのものであり、世界に新たな軸を付与できないかという実験や即興そのもののようにも見えます。こういった人はストイックというより、柔らかで多様な見方を受け入れる、適度や「ゆるさ」を感じさせる人が多い気がします。そもそも、張り詰めたような感性では、やろうとしていることが、精神的に続けていけない面もあるからでしょう。

この両方の態度は、ある山を異なる側から登るようなもので、どちらもあるレベルより上で、区別できないほど似通ってくるのかもしれないなあと、収録後何日かして、ぼんやりと思いました。極まって突端に近づけば近づくほど、それは「道」になり同時に「漂流」にも近くなるからです。僕もこの2つの間を、死ぬまで振動し続けるのかもしれません。

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