離乳食について①WHOが推奨する「補完食」~栄養に注目してみよう~

こんにちは。のーとです。

「役立つ離乳食の情報を書けたらいいな」と前回書いたものの、いざ書くとなるとちょっと緊張しています。自分の意見と情報を混ぜないように文章を作るのって意外と難しいです。参考にした資料は最後に一覧にしておいたので、ぜひそちらを見て頂けたらと思います。

離乳食の辛い思い出

さて、離乳食と聞いて、皆さんはどんな事をイメージしますか?「楽しい」というより「大変」だったり、「不安」だったりしませんか。実際、日常生活でやる事が一つ増える訳ですから負担ゼロではありません。でも知識をつけて工夫していくと、当初のイメージより楽に進められるものだと思います。

私は最初10倍粥を使う一般的な離乳食から開始しました。本を読んでニンジンを潰したり、ほうれん草を茹でて細かくしたり、コツコツお粥や野菜を与え続けましたが、「タンパク質は白身魚から」「油はダメ」「トマトは湯むきして種を取り除いて裏ごしする」といった沢山の制限に疲れてしまいました。

さらに、私の子どもの場合は成長がゆっくりでなかなかモグモグする事ができませんでした。そのため、大きくなっていく子どものために色々食べさせたいと思って調べても、手間がかかるものやツブツブしたメニューが多かったです。

「タンパク質のスタートは鯛をお勧めしてるけど、高いしずっと毎回なんて与えられないよ…頑張って調理したけどパサパサして食べてくれないよ」
「納豆はお湯をかけて刻めって書いてるけど、滑ってうまく切れないし細かくするのすごく大変じゃん!書いてある下処理方法、種類がいっぱいある上に全然書いてる通りにならない…」
「野菜とお粥だけなんて、この子大きくなっていくのにこんなメニューじゃ栄養足りないんじゃないのかな…」
「体は大きくなってきっと色々消化できるまで成長したのに、モグモグできないからこれ以上進められない…」

といった調子で、現実的に作り続ける事も食べさせる事もできない離乳食の情報ばかり!もう嫌!と、段々思いつめるようになりました。

ある日離乳食の準備を交代してくれた夫に「これどうしたらいい?」と矢継ぎ早に質問された時、泣きながら「そんなの自分が知りたいよ!」とわめいてしまいました。今思い出しても悲しいし、辛い気持ちになります。

離乳食って、そんなに追い詰められながらじゃないと準備できないものなのか?本当に親は全員こんな事をこなしているの?

「これ以上やってられるか!」と思って、泣きながら(おそらく鬼の形相で)本やネット検索をしまくりました。そうしていくうちに、見慣れない「補完食」という言葉を見つけました。補完食について学ぶと赤ちゃんにとって必要な栄養や食材の知識がついていって、少しずつ「こんな感じでいいのかな?」と、肩の力を抜きながら子どもに食べさせられる離乳食を作れるようになりました。詳しくは参考資料を読んでいただいた方が良いと思いますが、簡単にポイントを以下にまとめて紹介したいと思います。

補完食とは

「補完食」はWHOが推奨する赤ちゃんのための食事で、「成長に従って足りなくなる栄養を補う」事を目的にしています。生後6カ月頃から欠乏しやすくなる複数の栄養をカバーし、沢山食べられない赤ちゃんのために少量で多くの栄養が摂れるメニューを組み立てます。薄いお粥からスタートする日本の離乳食とは、少し目的を異にしているのかな?と思います。

補完食で勧めている栄養

積極的に摂るべき栄養として、WHOは主に「エネルギー」「タンパク質」「鉄」「ビタミンA」を挙げています。これらに加えて、「亜鉛」「ビタミンD」等を挙げている医師もいます。
エネルギー(油脂等)は体を動かす燃料、タンパク質は体を作る材料、鉄は酸素の運搬、ビタミンAは目等の健康、亜鉛は発育や免疫、味覚の成長、ビタミンDは骨の成長…といった具合に、どれも日々劇的に成長していく赤ちゃんにとって大切な栄養です。

特に鉄は、ぐーんと成長する時期に欠乏すると、運動や学習能力の遅れという深刻な影響が出ると指摘されています。生まれて暫くは困らないようお母さんのお腹の中にいる間に貯めておいた鉄(貯蔵鉄)を使って過ごしますが、生後6カ月頃になると使い切ってしまいます。しかし母乳から得られる鉄分は必要な量の10分の1以下になってしまう上、沢山摂っても二割程度しか吸収できず残りは排泄されてしまうので、なかなか減った鉄を補うのは大変です(下のグラフは戸谷誠之監訳「補完食―母乳で育っている子どもの過程の食事」2006より抜粋。母乳から得られる鉄がうんと少ない事が分かります。)。

画像2

日本では生後9カ月以降向けに鉄を補うベビーフードが売られていますが、我が家の場合モグモグ食べられません。また、9カ月になって鉄を補給し始めるのは遅いです。なので、私は鉄分を強化した海外のライスシリアルを購入しています。海外の離乳食は生後6カ月の赤ちゃん向けに足りなくなる栄養を強化した離乳食が市販されていて、種類も豊富だからです。自力で鉄分豊富なメニューを作らなくてもこういった赤ちゃん向けのシリアルで補ってあげる事ができます。私はiHerbというサイトで安く買えましたが、そのあたりについては次回詳しく書きたいと思います。

実際食べさせる食材は?

鉄は何とかなるとして、その他の栄養はどうやって摂取したらよいでしょうか。WHOは豆類、動物性食品、緑黄色野菜、果物、油脂等を与えるよう勧めています。油脂を与えるなんてビックリしましたが、少量でカロリーを増やせたり、メリットが色々あります。また「白身魚から与える」といった指示は特になく(むしろ鉄が豊富という理由で赤身やレバーは良いと言っています)、住んでいる地域で手に入る新鮮な食材で栄養豊富な食事を作るようアドバイスされています。
形状も、10倍粥のように水分の多い薄い食事ではなく、スプーンに乗るなめらかでもったりとした形状にするよう推奨しています。実際もったりさせると食べさせやすい上に少量の食事でも栄養としては濃いものを与える事ができます。なめらかに調理するというハードルはありますが、そちらについては次回書きたいと思います。

もちろん、はちみつや黒糖は乳児ボツリヌス症の原因になるので与えてはいけませんし、喉に詰まらせないよう豆等は潰さないといけません。飴や甘い菓子は勧められていませんし、アレルギーが起きた時に対応できるよう新しい食材は1種類ずつ時間をかけて試す必要があります。先に挙げた栄養だけ摂れば問題ない!という訳でもありません。日本の離乳食は、個人的には赤ちゃんに少ない負担で食材に慣れさせていく目的があるのかな?と思うので、そちらに関する知識もつけておくのは大切だと思います。


ただ、補完食の知識をつけていくと赤ちゃんの食事は自然と私達が普段食べているような「肉、野菜、主食、果物」の組み合わせになっていきます。日本の離乳食のレシピ本に書かれているような細かな食材の制限は無いので、大人の食事の準備のついでに赤ちゃん用に食べやすく調理した食事を用意すれば良くなりました。「あれダメ」「これダメ」といった制限が激減したので、「いかに食べやすい形に調理するか」に専念して離乳食を準備できるようになり、今は一般の缶詰も注意して選んで調理に活用しているので、本当に負担が減りました。

終わりに&次回の話

長くなりましたが、今回は栄養に着目した補完食の考えについて書きました。次回は「離乳食を調理する上で私が注意している3つのポイント」と、市販品や海外の離乳食含め、実際何を使ってどんな風に調理しているかについて書きたいと思います。


参考資料

工藤紀子著「小児科医のママが教える 離乳食は作らなくていいんです。」
…赤ちゃんに必要な栄養について理由つきで分かりやすく解説されています。手作りではなく市販の離乳食でアレルギーチェックもしながら進める方法が紹介されていて、この本を読んでから離乳食の準備がすごく楽になりました。

戸谷誠之監訳「補完食―母乳で育っている子どもの過程の食事」2006
…WHOの補完食について書かれた2000年の書籍を2006年に和訳したものです。組み合わせた食材がどれだけ栄養をカバーしてくれるか等カラーの図やグラフで説明されていて「こういう食べ物使えばいいんだ」というのが分かりやすいです。一方世界中の国の人向けに書かれているため、キャッサバやギーといった馴染みのない食材も出てきます。そのまま日本で再現するというより、赤ちゃんに良い食材の特徴を学ぶテキストと思って読みました。

佐久医師会「補完食」
…補完食について簡単にまとめられたリーフレットです。

エバラこどもクリニック「見落としがちな乳幼児の鉄欠乏性貧血」
…鉄が欠乏するとどうなるのか、医師の視点から詳しく書いてあります。

一般社団法人 母子栄養協会 「離乳食の鉄分摂取は何をどのくらい?」
…鉄の吸収率について述べた上で、実際に必要な量を摂取するには何を食べれば良いか書かれています。個人的には「毎日食べさせられない」「うまく調理できない」と思って海外のライスシリアルに踏み切りましたが、おかずは何を食べさせたらいいか考える参考になりました。

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