ファイトソング

”ファイトソング”というと、「がんばれ」とか「一歩でも前へ」という背中を押したり、前向きな気持ちにさせようとする曲のイメージが強い。それは間違いではないし、そんな音楽の力で日々を生き抜いている人はたくさんいる。むしろそういう人が多数だと思う。
しかし、私は「がんばれ」と言われても「よ〜し!」という気持ちにはなれない。それは自分にやる気がないから……かもしれないけど、冷静に考えてみると、自分はそれなりに頑張っているからである。今までの人生でやってきたことを振り返ってみると、意外と他の人がしていないような経験をしているし、よくこれまで生きてきたなと思うのだ。
時々はそのそれなりさえも褒めてほしい。そんな甘っちょろい人間なわけで、もう十分頑張ってるのに「がんばれ」と言われても困ってしまう。「がんばれ」って言葉にもいろんなニュアンスがあって、色んな言葉をかけたいけど絞り出した中で「がんばれ」と言っているのかもしれない。自分も使ってしまうことはあるし。「がんばれ」という言葉自体が悪いわけではなないのだけど、自分が言われる言葉としてはそんなに響かないというところだろうか。

まあ、そんな話はさておき、自分を奮い立たせてくれる1曲を選ぶならなんだろうか、ふとそんなことを考えた。それは歌詞でもメロディでもリズムでもなんでもいいんだけど、自分の力になってくれるのはなんだろうかと。

そんなの長時間考えることじゃないんだけど、結構長いこと考えた。時間の無駄かもしれん。でも、考えてみると、「あれは良い曲だけど違うな」とか「テンションは上がるけどファイトソングではない」とか、脳内会議で結構色んな意見が出る。議論は白熱して、「まあ流石にポルノの曲から選んで良いんじゃない?」となった。それはそう。最終的に戻ってくるのはここなのよな。

そうやって考え抜いて、「やっぱりハネウマライダーかな〜〜〜〜」と答えに辿り着いてこの話は終了……かと思われた。実際、「ハネウマライダー」はかなり答えに近い。勝負どころで気持ちを高めるときはいつも聴いてきたし、この曲のおかげで乗り越えられた難所は数知れない。
だが、「ハネウマライダー」はファイトソングとはちょっと違うのだ(めんどくせぇ)。自分から一歩を踏み出しているって意味では、確かにファイトソングらしい側面もあるのだが、少しカッコ良すぎるというか、バイクがモチーフはずるくない?反則じゃない?
だってバイク乗ったらそりゃ踏み出せちゃうじゃん。もっと泥臭いのがいい。でもカッコ悪くて良いとか綺麗事じゃなくて、ちゃんとカッコいいやつがいい!!!!……とかよく分からないことを考えたり。(ちなみに主はハネウマライダーがポルノで一番好きです)

そうしてさらに考えること数時間、私が行き着いた答えは……

プッシュプレイ/ポルノグラフィティ

……ずいぶんとマニアックになったね?
いやいや、ラバッパー的には全然マニアックじゃないかもしれんが、一般的にはやっぱりマニアック。アルバム曲だし。
でも、自分が「一歩踏み出したい」と思える瞬間というのは、憧れの誰かが闘っている時である。それはロックスターとか、野球選手とか、色んな憧れがあるけど、共通して「私ももっと頑張りたい」って思える瞬間はある。誰に言われるわけでもなく、「自分がやりたい」って思った瞬間が何より大事だと思ってるから、「がんばれ」って言われて頑張るんじゃなくて、勝手に頑張る気持ちになるのがファイトソングなんだと思う。
で、「プッシュプレイ」を選んだのは2019年の東京ドームライブという思い出補正も間違いなくあるのだけど……

「両手にもポケットにもバッグにさえ、荷物が溢れ動けなくなってる。くだらないものだってあるんだけど、それがどれかも思い出せない」

思い返してみると、自分の中には大切なものが詰まっていて、多分ろくでもない思い出もたくさんあるんだけど、それも全部含めて自分だなって思う。それを肯定してくれるってすごく嬉しいんだよね。

それで、この曲の最後、

「OK もう一度血をたぎらせて、気持ちのギア オーヴァードライブする」
「この拳を突き上げて歌う。どっかには届くかもしれない」

この言葉を聴くと、「自分もどこかに届くように頑張ってみたい」って思えたりする。別に「がんばれ」って言われてるわけでもなくて、自分が勝手にそう思ってるだけなんだけど、それが一番スッキリした気持ちで背中押されてるなぁと感じるのです。少なくとも、自分のところには届いてんだよなぁ。だから私にとってのファイトソングはこれ。

まあもちろん、こうやって背中を押されてもなかなか前に進むのが難しいのが現実で、「よっしゃ頑張るぞ!!!!!!」とはなれないのだけど。「やだやだやだ!!!!!!」の時の方が多い。だいたいこれ書いてる今も、途中でやる気出たけど、もうすでに「無理です。人生やめたいです」ってなってるもん。この乱高下は止められん。
でも、いざって時にはこの曲を聴いて、プラスにはならなくても、マイナスをゼロくらいにして「まあ、ちょっとだけ頑張るかぁ」とか思えるかもしれない。

ポジティブなんだかネガティブなんだか分からない、言葉にできない感情で生きているけど、人生ってそんなもんなのだろうか。
まぁ、「オーヴァードライブ」って、クリーンな音を歪んだ音にしてるわけだし、そういうもんなのか?クリーントーンも好きだけど、やっぱりエレキギターは歪ませてナンボよね。それがロックというもので、そうやって生きてた方が面白いかもね。

……あのロッカー、これからも闘ってくれるかな?

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