新訳「Twilight Sky」

多田李衣菜Pにとって「Twilight sky」は特別な曲である。それは私も例外ではない。「Shout out Live」の締めを飾る全体曲としてトワスカが歌われたことで、その思いがより一層強くなった。
歌詞の解釈や受け取り方は人それぞれなのだけど、私にも私なりに受け取ったものがある。今回はトワスカの個人的解釈という名のポエムを書き綴っていく。

ここから先は個人的な解釈の話になるので、そういうのが苦手な人はブラウザバック推奨です。それでも良いよという人だけ読んでいただければ……。

1番

どこまでも広がる グラデーション
ゆっくりと オレンジが燃える
光差す放課後 続くエモーション
いつまでも 笑い声響いた

放課後、窓の外から夕暮れのオレンジ色の光が差し込んでいて、なんだか楽しくていつまでも友達と話したりする。終わり時が分からないのか、終わるのが寂しいのかは分からないけど、ずっとその時間が続いてほしいと願ったりもする。
「たそがれる」という言葉もあるくらいなので、夕暮れ時というのはつい物思いにふけってしまうもの。考えがまとまらなくて、ネガティブな方向に気持ちがいくこともある。もしかしたら、そんな後ろ向きな自分から逃げたくて、不安を忘れていられる放課後の時間が続くことを望んでいるのかもしれない。まだ明るいうちは、時間が残されているから。

Shooting the star
闇を切り裂いて進むよ
Beating my heart
それは止められない すべてを輝かすよ

太陽が沈んで空は闇に包まれる。時間は止まってくれない。不安や寂しい気持ちはある。でも、流れ星は闇を切り裂いて、光を照らすように駆け抜けていき、自分の心の不安に一筋の希望を与えてくれる。そしてそれは、不安を期待に変えていって胸の鼓動を加速させ、さらに希望の光を広げていく。気づけば抑えようがないくらい期待が高まっていき、今まで暗闇しかないように見えていた世界を彩っていく。好きなものは不安を全て振り払う強さを持っていて、走り出さずにはいられなくさせてくれるものだ。

無我夢中 きらめいて 流れる星のストライド
才色兼備 いいけれど 三日月も綺麗だよね

周りなんて気にしないほど、期待に胸を膨らませて駆け抜けていく。思わず駆け足になって、鼓動はどんどん速くなっていっているかもしれないし、周りが見えないくらいだから、もしかしたら不恰好かもしれない。でも、全てが完璧でなくても、荒削りでも自分の衝動のままに好きなことを貫くというのは決してカッコ悪くなんてない。不完全なところがあったって別に良い。だって、満月のように整っているのも綺麗だけど、欠けているように見える三日月だって綺麗だって思えるのだから。

純真無垢に 見えるけど 星の海翔けるグライド
賛否両論 いいじゃない

そんなふうに駆け抜けていたら、もしかしたら何も考えていないように見られるかもしれない。でも、色んな期待(好きなものややりたいこと)の中から一つの期待を選ぶまでに考えを巡らせている。たくさんの期待・希望・可能性で満ち溢れた世界を駆ける中で、自分が本当に好きなものはなんだろう?と。もちろん、その選択に対して「無理だ」とか「やめた方がいい」という人もいるだろう。そんなことを言われるのは覚悟の上だから別に構わない。賛否両論は上等だ。

繋がって 離れる
連なって 輝く
心を 追いかけてく

期待通りにいくこともあれば、うまくいかなくて嫌になってしまうこともある。でも、光が重なり合って輝きを増すように、色んな期待感が重なり合った時、これまでにない輝きになる。心に持っている朧げな期待と、駆け抜ける中で見つけた少し現実味を帯びた期待が重なった時、道が拓かれていくような、新たな期待や希望を見つけることができる。本当に好きなものに、目指すべきものに出会えるまで駆け抜けていく。

2番

果てしない夜空を ペネトレーション
ちょっとだけ 暖めてほしいよ
鍵掛けた放課後 グラデュエーション
いつまでも 続くと信じてた

どれだけ好きなものを信じていても、時には不安に襲われることや迷うこともある。そんな時は、少しだけ笑い合って不安を忘れようとした放課後を思い出したくなる。でも、そんな放課後の時間には別れを告げて駆け抜けてきた。毎日続くことが想像できるくらい普通な、日常のワンシーンから一歩踏み出してきた。

Fallin'skies
星は束になって 落ちて
Guiding lights
それは幸せな道へと続くサイン

空が迫ってくるように感じるほど、不安に感じることもある。でも、空と共にたくさんの星(=期待)も落ちてきて、自分を進むべき道に導いてくれる。不安の中には期待もあって、その期待というのは自分が求めている本心なのかもしれない。そして、その本心を叶えることが自分にとっての幸せなんだと、不安から期待を拾い上げた時に気づいたりする。

諸行無常 絶え間なく 流れる星のファインダー
未来永劫 変わらない それじゃつまらないよね

星(=期待)は絶え間なく流れ続けていき、その期待を覗き込んでみると、思っていたものと違うこともある。諸行無常という言葉の意味を借りるなら、世のすべてのものが移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返すのは当然のこと。それは時に期待を裏切られてしまうこともあるけど、何も変化がないのはつまらない。逆に言えば、たくさんの期待から一つを選ぶ時、思い通りにいかないくらいのほうが面白いのかもしれない。

清廉潔白 だけじゃない 星降る海のサレンダー
悪口雑言 気にしない

必ずしも自分は綺麗なものばかりを集めているわけではない。汚れたものとか、雑念とか下心とか、必要ないと思われるものまで手にしていることもあるかもしれない。でも、それをなんと言われようと、自分には必要なものだ。だから、どんなことを言われようと関係ない。

連なって 輝く
絆いだ この先
交わって また始まる

集めてきた期待はまた重なり合って輝きを増す。そうすると、自分の進むべき道が見えてくる。必要ないと思われたものだって、どこかで他の期待や希望と重なり合って、また道を照らしてくれる。そしてまた、次の可能性を探しにいく。

Cメロ〜ラスサビ

巧く歌うんじゃなくて
心を込めて歌うよ
世界でたった一人の
君に伝わりますように

これまで色んなことを歌に載せてきたけど、一番伝えたいのは「心を込めて歌うんだ」ということ。そして、心を込めたこの歌は「世界でたった一人の君」に向けて歌っている。その「君」はあなただ。
これまで歌ってきたことは決して、アイドル多田李衣菜だからそうやってできたということではなくて、「あなたにもできるよ」ってことを伝えたくて歌っているんだ。あなたにしかできないことは必ずある。だってあなたは「世界でたった一人」しかいないんだから。

幾千幾億無限の
流れる軌跡の中で
本当の自分の気持ち 見逃さず出逢うために

それこそ星の数ほどあるたくさんの期待・希望・可能性。そのなかから本当に自分が好きなこと・やりたいことを見つけ出すのは簡単ではない。
この歌は、あなたが「本当の気持ち」を見逃さずそれに気づいたり、一歩を踏み出すために背中を押すための歌。

明けゆく東の空で
目覚める夢の続きが
たとえ違ったとしても 君の歌聞かせて

不安の中から一歩を踏み出したとき、もしかしたら思っていたのと違う結果になることもあるかもしれない。そうだったとしても、私はあなたの答えが聞きたい。あなたの答えを聞かせてほしい。(=私はあなたが答えを出すのを待っている)

一度きりの旅だから
自分だけの旅だから
好きなもの集めるんだ 間違ったっていいんだ

人生は一度しかない。そしてその一度きりの人生は誰のものでもなく、あなただけの人生。誰に文句を言われる筋合いもない。賛否両論、悪言雑言なんてものは気にしなくていい。本当に好きなものを集めていい。例えそれが間違っていても構わない。だって、いつか他の可能性と交わって、新しい道を示してくれるから。

忘れない この気持ちも
忘れない この痛みも
ねぇ 感じていたいんです

私(=多田李衣菜)はこうやって好きなものを集めていくということを、これからもずっと忘れない。そして、好きなものを集める途中で味わった苦い思い出すらも感じていたい。大事にしていたい。

連なって 輝く
止めても あふれる
I love you because you are you

これまで集めてきた好きなもの、期待や希望は重なり輝きを増す。抑えようとしても胸のワクワクを止めることはできなくて、希望の光は溢れ出していく。
ねぇ、あなたの答えは……そう、あなたがあなたらしく生きているから、あなたが世界でたった一人のあなただから、私はあなたが好きなんだよ。

最後に

1番と2番で自分自身の生き方を歌っていて、一見所信表明のような曲に見えるし、実際その側面は間違いなくあるのだが、Cメロ以降でそれは全て「この歌を聴いてくれているあなた」に向けたメッセージだというのが分かる。そう、この歌は自分自身を使って、とてつもなく壮大な伏線を貼っているわけである。しかも1番と2番は比喩表現や四字熟語・英単語のオンパレードで、正直に歌詞を受け止めようとすると意味不明な部分も多い(作詞した渡辺量さんもあえて順番を組み替えたりしてぼかしたとのこと)。
しかしだからこそ、Cメロのフレーズがとんでもない破壊力を持っているのである。それまでは解釈が難しい言葉を並べて自分のことを歌っているように見せていたのに、急に「実はこの歌はあなたのために、あなたに届かせるために歌ってるんだよね」とか言ってくるわけですよ。
多田李衣菜というアイドルはただ自分が好きなことをやり通すだけじゃなく、そのパワーで誰かの背中を押そうとしてくれる。きっと李衣菜にとって「Twilight Sky」はたくさん考えた末に出した答えを歌にしたものだから、「答え=歌」に例えてるんだと思うんですよね。だから「君の歌聞かせて」と歌っているのは、「あなたの答え、よかったら聞かせてよ」って言ってる気がします。決して押し付けじゃなくて、答えを待ってくれているのも李衣菜らしい。

興味を持ってくれた人はぜひ、多田李衣菜のシンデレラガールズ劇場「だから背中を押せるんだ」を読んでほしいな……。アイドルって夢や希望を与える存在だと思うんですけど、ただそういう歌を歌うだけじゃなくて、私はそうやって駆け上がってきたからあなたにだってできるよって、自分を例に出して語ってくるんだから強すぎる。
「純粋無垢に見えるけど〜」「清廉潔白だけじゃない〜」と歌っていて、本人もたくさん悩んでいるとは思うんだけど、「好きなことを貫きたい!」「誰かの背中を押したい!」って気持ちには一切嘘がなくて、そこには濁りが全くない。なんというか、自分が感じたことをおすそ分けして、一緒に幸せにしようとしてくれてるような感じ。李衣菜の根幹にある優しさが溢れてる気もする。

李衣菜はクール以外の表情もたくさん見せてくれていて、それはやっぱり「好きなもの」を集めてるからなんでしょうね。それがロックなアイドルを目指す上で横道に逸れているように見えることもあるかもしれない。でも、どんな姿であっても李衣菜は李衣菜で、「好きなことをやりたい」という意味では常に一本の筋が通ってる。「Sparkling Girl」の歌詞を借りると、「どんな服を着てても私は私」なわけです。
好きなことをやってると、色々と周りから言われることもあるけど、それを跳ね返して進んでいくのって最高にロックじゃん?
ロックの意味をよくわかっていないっていうのは本当かもしれないけど、自分の行動でロックを体現してるのよこの子は。やっぱり多田李衣菜はロックなアイドル。
(私はそんなロックなアイドルをシンデレラガールにしてやりたいんです……)

流石に深夜テンションに任せて殴り書きしすぎたので、本当はもうちょっと丁寧に書きたかった。でも、今回はこれで許してほしい。

ではでは。

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