CL決勝の結果から学ぶトレンドの変化と組織マネジメント
皆さん、今年のCLは見ましたか?
優勝はレアル・マドリード。今年4冠を目指したリヴァプールは惜しくも準優勝という悔しい結果で幕を閉じました。
CLの王者、レアル・マドリード。
振り返ると準々決勝ではトーマス・トゥヘル監督率いる昨年王者のチェルシー、準決勝では世界最高の完成度の呼び声も高い、ペップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティ。決勝では世界最強と言われたユルゲン・クロップ監督率いるリヴァプールを下しての優勝は、まさに「完全優勝」と言えるでしょう。
レアル・マドリードを率いるは、名将カルロ・アンチェロッティ。
レアル・マドリードのようなスター軍団をまとめることに定評のある彼のデザインされたサッカーは、現代のサッカー戦術の潮流とは逆行しているとさえ言われました。
故に今回の優勝は、現代サッカーのパイオニアとも呼べる3監督が率いるクラブを倒しての優勝だったことから戦術面でも大きな話題を呼びました。
僕は戦術の専門家ではないのでここを深く掘り下げることはしないのですが、ここから学べることは非常に大きいと感じています。
ビジネスについて、組織マネジメントについて、世の中のトレンドについて…今回のCLは、それを学べると思えるだけのインパクトがありました。
と、いうことで。
今回はせっかくなので世の中のCL決勝の寸評から少し外れた切り口から、紐解いていきましょう。
現代のフットボール戦術のトレンドについて
現代サッカーを語る上で欠かす事が出来ないのが、「ポジショナルプレー」という考え方。みなさんはご存知ですか?
「ポジショナルプレー」とは元々チェスの世界で知られるようになった概念であり、ペップ・グアルディオラ監督を筆頭に愛用される考え方です。
この「ポジショナルプレー」とは何か?というのをグアルディオラ監督の言葉を借りて定義すると、
という表現になります。
各選手が適切に配置されていれば戦術的に勝ちに近づくという考え方ですね。
よくピッチのことを盤面と呼びますが、まさにピッチという盤面を選手がどう動き、どう埋めるか?を突き詰めていく「詰め将棋」のようなものです。
サッカーを長く見ている方からすると、なんとなくピンと来るかもしれませんが…よりピッチ状の「決まり・約束事」が増えて、より最適化されてきたように感じます。
故にマンチェスター・シティやリヴァプールを中心に最先端のクラブは攻撃も守備も大変デザインされています。
そのデザインされた戦術を如何に選手が遂行出来るか?が鍵なわけです。
カルロ・アンチェロッティ率いるレアル・マドリード
さぁ、対照的なのはアンチェロッティ監督率いるレアル・マドリード。
レアル・マドリードはサッカー好きなら誰もが知る「銀河系軍団」と呼ばれたスター集団。
今年はフランス代表のエース、カリム・ベンゼマやブラジル代表の新星、ヴィニシウス・ジュニオールを擁する攻撃陣やクロアチア代表の司令塔、ルカ・モドリッチやドイツ代表の演出家、トニ・クロース。ブラジル代表の潰し屋、カゼミロを擁する中盤など、各国のスター選手が集まります。
スター軍団をまとめ上げることに定評のあるアンチェロッティ監督がCL決勝の場で取った作戦は、「守備では決め事を作るが、攻撃は選手に自由を与える」というものでした。(アンチェロッティ談)
先程お話した通り、「攻撃も守備も盤面を予想しデザインし切る」現代サッカーと比べると…やや前時代的であると言われます。
選手のクオリティを信じるというと聞こえが良いですが、逆に選手の調子次第では退廃する可能性を孕んでいるわけで。
しかし、結果的に勝ったのはトレンドの最先端の戦術をゆくリヴァプールではなく、レアル・マドリードでした。
CL決勝から学ぶ組織マネジメント
この決勝を戦った2チームにはマネジメント面でのわかりやすい違いがありました。
リヴァプールは試合に勝つ(失点しない、得点する)ために、攻撃も守備もクラブとして徹底的にデザインするモダンなサッカー。
レアル・マドリードは守備面では戦術的にリスクヘッジをしながら、攻撃面では選手個々の創造性に任せる、ある種前時代的なサッカー。
これって、組織マネジメントとして会社経営や運営にも投影しやすい内容ですよね。
目標達成から逆算して、必要なことをタスクとして全て落とし込む
or
目標を伝えた上でメンバーの現場判断に委ねる
別にどちらが正しいなんてありません。
チーム状況や相手によってやり方は変わるでしょう。当然です。
しかし、ここから僕は組織マネジメントのトレンド変化と非常に近いものを感じました。
「OODAループ」という言葉がマネジメントの業界で数年前流行りました。
Observe(観察)
Orient(状況判断)
Deside(意思決定)
Act(行動)
の頭文字を取った言葉であり、アメリカ軍の航空戦術家であるジョン・ボイド氏が考案した意思決定法です。
昨今のビジネス業界は古き日本のビジネス業界と比べ変化のスピードが日に日に早まり、ゆとり教育をはじめとした教育法の変化やそもそもの時代の変化に伴い、働く人達の価値観が変化してきました。
故に、会社も「終身雇用」「年功序列」「マニュアル教育」のような従来の形では通用しない業界が生まれてきた。そんな業界、そんな世の中です。
この激流とも言える流れの早い業界で生き残っていくために、マニュアルに頼るだけでなく、個々の状況判断を尊重することでパフォーマンスの最大化を図る「OODAループ」が流行り出したわけです。
攻守に渡りデザインされた戦術が結果を残していたトレンドの最先端(リヴァプール)が、個々に自由を与えパフォーマンスの最大化を図ったチーム(レアル・マドリード)の前に敗れたことと、OODAループが流行した話。何かストーリーが見えてきませんか?
もちろん、一回の勝敗で時代の変化を語る気は毛頭ありませんし、僕は戦術ヲタクではないので上記の内容は戦術的に見ると全くの的外れなのかもしれません。その時は申し訳ない。
ただ僕が言いたいことは、「今回のCL決勝の結果やクラブのやり方」を見ることで「現実に我々が行っている実業」に通ずる学びがありますよね、というお話です。
結論、言いたかったことって?
要するに、です。
時代の変化や抱えているリソースによって、マネジメントの方法は変化します。
その時の状況に合った、マネジメント方法を選択することが大事です。
今回のCLのように、必ずしも世で言うトレンドの最先端が正解とは限りませんし、戦い方はそれぞれです。
そしてトレンドという意味では、人のマネジメント方法の主流は昔と比べて変化してきたのかもなぁ…なんてことを嗅ぎ取っていただけると良いのかなと。
サッカーもたまには一歩引いて、こんな見方もすると面白いよね。
そんなお話でした。
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