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クジラたちのユニークな行動をメタバースのワールドで観察してみませんか? ——Whale Research VR #cluster #VRChat

VR・メタバース教育 Advent Calendar 2022のための改訂版です!)

最近、ニュースで目にすることが多くなったメタバースは、ゲームやライブなどのエンタメをはじめ、さまざまな分野での活用がはじまっています。先日のハロウィンで、渋谷駅前が再現された3D空間にアバターででかけて、イベントを楽しんだという方もいらっしゃるかもしれません。青山学院大学のデジタルストーリーテリングラボ(主担当教員:宮田和樹)では、SDGsやソーシャルグッドな分野でのメタバースやVRの活用の調査・研究や、実際の導入支援などに取り組んでいます。このラボのメンバーを中心に、教員や学生たちの有志で、ザトウクジラの親子が見られるメタバースのワールドを作成に取り組んでいます。

メタバース(VR)でクジラの行動を観察できる?!

「Whale Research VR」では、海上からは近づいてゆっくり見ることが難しい、海中のザトウクジラの行動をまじかに観察することができます。ザトウクジラは子育ての行動のなかに、人間味が溢れるものがあるのですが、そのひとつに「エスコート」があります。母クジラと子クジラが寄り添って泳ぐそばで、2頭を守るように泳ぐオスのクジラは「エスコート」と呼ばれています。(ただし、このオスのクジラは父親ではなく、母親との次の交尾を狙っていると言われています!)「Whale Research VR」のなかで、クジラたちと同じ空間を共有することで、巨大なクジラのスケール感に驚いたり、同じ哺乳類として親近感を抱いたり、さまざまな感想が聞かれるのではないかと期待しています。

clusterのワールドに入ったところ。ここから海の中に入るとクジラたちが見られます。

クジラが観察できるワールド制作のきっかけは?

三宅島では2018年頃から、近海で突如ザトウクジラが観測されるようになりました。温暖化の影響でザトウクジラの子育ての海域が北にひろがったことが理由ではないかと推測されています。大海原を悠々と泳ぐ彼らはどこから来て、どこへ行くのか.....。

ザトウクジラの吹きあげる潮(ブロー/鼻水)には、たくさんの情報が詰まっています。それを採取して調べることで、クジラたちのことだけでなく、私たちが住む地球にどんな変化が訪れているのかも知ることができるかもしれません。

そんな想いを抱いた、三宅島のCafe691と日本各地のクジラ研究者がコラボによって生まれたのが『三宅島クジラ鼻水プロジェクト』です。

特に今回のこのプロジェクトの特徴のひとつが、クジラの鼻水の採取に、ドローンを活用すること。クルーザーやヘリでの追跡と比べて、環境やクジラの生活に負担が少ない方法でクジラたちにアプローチする、チャレンジングな試みとなります。

学外プロジェクトの協働で参加している学生たちにも刺激に!

この『三宅島クジラ鼻水プロジェクト』は、国立科学博物館の海獣学博士の田島木綿子先生が中心となって研究チームをリードされています。
学生さんたちは、ワールド制作の過程でクジラ研究者の先生方のフィードバックを受けながら、ザトウクジラの行動をできるだけ自然に再現できるように工夫を重ねています。

これは偶然だったのですが、2022年度のラボの学生メンバーのひとりに、クジラやイルカなどの海生哺乳類ととても好きな学生が1名いました。ラボのスタート時に、興味のあるアプリをいろいろ試してもらう機会があったんですが、そのときにTiltbrushでクジラをいきいきと描いていたのが印象に残っていて...…『三宅島クジラ鼻水プロジェクト』を知ったときに、これは何か一緒にできるんじゃないかと、田島先生に連絡をとって、希望者の学生さんたちと、筑波の研究室までお話を聴きにうかがいました。

海のなかでザトウクジラのエスコートをパチリ!

メタバース(VR)を活用して、研究支援の輪を広げたい

まだベータ版ということで、今後も観察できるクジラたちの行動を増やしていく予定なんです。

こうしたザトウクジラの生態観察を通じて、鯨研究に日々取り組んでいる研究者さんをはじめ、広く海の環境保全活動に取り組んでいるみなさん、そして観察対象であるザトウクジラをより身近に感じてもらうことで、「三宅島クジラ鼻水プロジェクト」のような研究活動に共感し、支えてくれる方たち輪がより大きく広がってほしいと思っています。

心理学的研究の成果として、VRはわたしたちの共感力を拡大するといわれています。(「究極の共感マシーン」と表現した映像クリエイターの方もいるくらいです!)

これまでのVRのさまざまな研究成果と、そういった研究成果が活用された3D空間が生み出すメタバースによって、社会やわたしたちの毎日のくらしをすこしづつでもよくしていくことに協力していけたらうれしいです。

実際に体験するにはどうしたらいいの?

clusterのワールドは、アプリをインストールしてもらえれば、スマートフォンやタブレット、パソコンのデスクトップでも、無料で体験していただけます!
さらにVRHMDがあれば、360度ぐるりと海に囲まれて、さらに臨場感たっぷりな環境で、ザトウクジラたちを観察できます。

Whale Research VR ベータ版
https://cluster.mu/w/2a0ca355-ab65-40c9-a249-ed92a348953d

VRChatのワールドも作成しています。PCVR用のワールドで、clusterのワールドを移植したものですが、こちらも学生さんたちといろいろと発展させていければと思っています。

Whale Research VR
https://vrchat.com/home/launch?worldId=wrld_cc28ffb2-f0a6-415c-9685-03cff8e72e0a

うまくタイミングがあえば、ザトウクジラのブリーチングを見られるかもしれませんよ!?

ザトウクジラのブリーチングの様子 ※準備中のVRChatのワールドで撮影

ワールドの利用からクラファンの支援へ

ワールドを楽しんでくださった後で、クラウドファンディングの支援をしてくださったユーザーさんが、実際にいらっしゃいました。Twitterでワールドの紹介と、クラウドファンディングの支援報告を投稿してくださっています。

ワールドの体験者さん自身によって、こうした投稿をしていただけることは、制作にかかわった学生さんたちにとっても、とても励みになっています。

メタバースが多数のユーザーによるコミュニティであり、そこでプロジェクトを立ち上げていくことの醍醐味を学生のときから経験することは、その後の進路や就活においてもプラスになるのではないかと考えています。

アンケートへのご協力をお願いいたします!

ワールドを体験していただいた方には、アンケートへのご協力もお願いしています。TwitterなどのSNSに積極的に投稿しないユーザーの声にも耳を傾ける方法のひとつとして、メタバースのワールドでクジラたちを観察することで、興味や関心、支援を行うといった行動変容につながっているのか、振り返ってもらうきっかけとして、アンケートを位置付けています。
アンケートの項目や質問の問いかけ方など、さまざまな検討課題がありますが、今回のアンケートのみで完璧を期すことを目指すよりも、今後の調査のための予備調査として位置付けたいと考えています。

クラウドファンディングへのご協力もお願いします!!

「三宅島クジラ鼻水プロジェクト」では、ドローンの購入や研究活動資金を集めるためのクラウドファンディングを、11/1(火)から12/23(金)まで実施しています。クジラたちや環境への負荷がより少ないかたちでの、クジラ調査に関心のあるかたは、ぜひ、応援をお願いします!

支援いただいたみなさんには、ザトウクジラのユニークな行動のイラストが描かれた「調査隊員の缶バッチ」をはじめ、支援いただくコースによって来年4月に青山学院大学で行なわれる「クジラに詳しくなるセミナー」への参加や、三宅島の海塩とマダガスカルのカカオでつくった「ザトウショコラ」などのリターンもあります。

ザトウショコラの写真です!

※「ザトウショコラ」がリターンのコースを選んでいただくと、SDGsゴール1「貧困をなくそう」とゴール14「海の豊かさを守ろう」の二つのゴールに美味しくアクションすることができます!

クラウドファンディングへのご支援・ご協力は下記のリンクから~🐋

三宅島に来遊するクジラのメッセージから、地球環境の変化を探る!

おかげさまで、1次目標を達成することができました。ご支援いただいたみなさま、ありがとうございました!
引き続き、NEXT GOALに向けて頑張っています!!

※ 2022年12月12日: VR・メタバース教育 Advent Calendar 2022のための改訂版

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