週末レビュー12月29日:レストランシェアリングのビジネスモデル、TSURUMEN大西益央さん

もう年が明けて1月3日になってしまったのだけれども、12月29日の週の振り返りが出来てなかったので、やりたいと思う。今回は、今取り組んでいるスタートアップのビジネスモデルにアップデートがあったのでその内容と背景について。また、先日情熱大陸にも出ていたボストンでTSURUMENというラーメン屋を営む大西益央さんに会いに行ったので、その話。

NYレストランシェアリングのビジネスモデルについて

昼営業していないNYのレストランのランチタイムを借りて、海鮮丼のランチ営業をテストさせてもらった事がきっかけで思いついたレストランシェアリングのマッチングビジネス。先週のレビューに書いた通り、コロンビアのMBAが終わってから営業活動を始めた。60件架電のうち35と話をする事ができ、6件から、キッチンならシェアをして良いという話になった。

このやり取りから、自分がお店を丸ごと借りられたのは、非常に稀なケースである事がわかった。また、キッチンのシェアをする事に舵を切ってぶち当たった問題は、クラウドキッチンのサービスが、シェアリングよりもはるかに便利で安いという事だった。

自分が営業をしたオーナーからは1時間あたり30ドルは欲しいという声が上がった。しかし、今NYで急激に増えているクラウドキッチンはキッチン器具だけでなく、冷蔵庫、物置など一式を揃えて1時間あたり20〜30ドルで借りられる。この時点で自分のサービスはクラウドキッチンに勝てない事がわかった。

ここで思いついたのが、シェアをするお店と借りる側の商品が一緒になる事でレストランに新しい付加価値が生まれるビジネスモデル。これはCaledoniaというNYで4店舗のバー(パブ)を経営するオーナーと一緒に話している時に思いついたビジネスモデル。オーナーは自分の提供しているビールとウィスキーに合う商品を提供してくれる人を連れてきてくれれば、キッチンのシェアだけではなく、うちのお店のメニューとして出してもらって良いと言ってくれた。その売上のほとんどはシェアの借り手が受け取り、その一部をオーナーがマージンとして受け取るという仕組みだ。早速今この4店舗のバーに合うハンバーガー屋を探している。

彼が今オファーしているキッチンのレンタルは月25万円で10%を僕が毎月いただく事になっている。またそのキッチンから生まれた売上の20%はCaledoniaのオーナーに入りそのうちの2%(20%x10%)を僕がもらうという形だ。

個人的にはこういうやり方でお店と食品。ニューヨークには大量に昼営業していないパブがあるので、パブと屋台のバーガーやらタコスやらをマッチングすれば三方良しのビジネスプラットフォームになると思っている。

Caledonia Westは本当にカッコ良い&リーズナブルなウィスキーバーなので、NYにきた際は是非立ち寄ってみてください:https://goo.gl/maps/pMSzdhX9Hmsw4cpo7

TSURUMEN大西益央さん

先日自分のスタートアップの顧客獲得の一環でニューヨークのジェトロを訪れた際、たまたまきていた会計士の方と意気投合した。その方が絶対会った方が良いと紹介をしてくれたのがボストンで行列のできるラーメン屋を営むTSURUMENの大西益央さん。大西さんはその独特な経営スタイルが注目され、一度情熱大陸にも出演している。https://www.mbs.jp/jounetsu/2019/02_24.shtml

早速、26日にアポを取ってボストンに赴いた。大西さんに会う前にラーメンを食べようと約束の時間より3時間くらい早くボストンに到着。案の定並んでいた。お客さんはお店の中央の柱に書かれた、残り404日と書かれた黒板について、話していた。大西さんのお店は1000日後にはお店を閉めると決めている事で有名だ。お客さんは彼が作り上げたお店の文化の一部分となって並ぶことすら楽しんでいるように見えた。実際にラーメンを食べて感じたのは自分がラーメンを食べるベストな状態まで準備してもらったという感覚だった。ラーメンを食べる前、このラーメンが少々不味くても、今このお店の文化に染まってしまった自分は、十中八九うまいと思うだろうと思った。実際にラーメンは普通の味だったが、それが何倍もうまく感じた。

実際に大西さんと話して、自分が感じた事がかなり鋭かった事が確認できた。大西さんは繁盛の条件が3つあるという。1つは最低限の味。2つはサービス。3つ目はお客さんに美味しいものを食べる準備ができている状態にしてあげること。そしてこの3つ目が一番難しく、重要であると言っていた。この話を聞いて、自分が食べる前、食べている最中、食べた後に感じた満足感など、全て納得ができた。

大西さんはこの3つのバランスを作るのはアートのようなもので、人それぞれ違う形のアウトプットになるという。だから、教えようと思っても教えられないという。大西さんがすごいのは教えて欲しいという人には惜しみなく、お金を取る事なく教えること。そして、知りたい人にはお店で働いてもらうという。働いて貰えば、自分が何を言おうとしているか、言葉よりも伝えられるという。

最後に大西さんはラーメン屋をやりたい訳ではないという。大西さんはラーメン屋を教育機関だと思っているという。なるほど、自分はラーメン店の店主ではなく、教育者だという事なんだと、個人的には理解した。この事には深く共感した。僕も同じように人に学びの機会を与える事で、その人の生い立ちに関係なく、挑戦し、成長し、自分の人生を変えられる事。そういうきっかけを作れる事ができれば、なんでも良いと思っている。

非常に良い刺激を受けた一週間だった。

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