「スローターハウス5」が教えてくれたこと


食物連鎖という単語を Google で画像検索してみると、植物が勝手に生えてきて、それを小さな草食動物が食べて、さらにそれを肉食動物が食べて、ワシやタカなどの猛禽類あるいは、ライオンなどの大きな肉食獣がそれらを食べる、ヒエラルキーを図解する例が多い。


強いものが弱いものを捕食するのが食物連鎖なのか、と誤解されそうだ。

分解者とは虫けら以下の存在で、まるでウ○コやゴミを食べている最下層のようなあつかいだ。

では仮に、分解者に相当するバクテリアがいない世界線を空想してみよう。

納豆が、この世から消えてしまうのは、わたし的に困るんだよw。

腐敗や分解が、まったく存在しない論理モデルは、実現したら、ただの秩序の崩壊だ。食物連鎖の分解者は、最底辺カーストなのでなく役割がある。

たとえばシロアリは、木造建築の柱を食べて家屋を倒壊させかねないだけでなく、コンクリが外枠の建造物であっても、内部の木製の家具などを狙ってくる。

シロアリは、木材の主成分セルロースを、腸内の細菌に分解させ、糖分をエネルギーに変換することができ、それをシロアリのからだに取り入れる。

ゆえに分解者がいない世界線では、人間も消化してエネルギーを取り出すことが、捕食行為からできなくなるのではないか? という連想がはたらく。それどころか石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、3億5000年まえの石炭紀のバクテリアの活動を無視できない。

地球上の、すべてのエネルギーが成立しなくなる可能性がある。

太陽光の熱量を、地球がたくわえる、あらゆるしくみ( たとえば、光合成によって、デンプン質が、さつまいもになることなど )がパーになるw。

だから肉食獣を頂点とするヒエラルキーは、あくまで理論モデルで、時間軸を100年単位から350000000年スパンに切り替えると、重要なのはどっちだ? という話になる。

仮に人間が、食物連鎖の頂点に君臨していても、人間の寿命が100年を超えることは、稀なのだから。

ひとつの理論モデルに、硬直した教条主義として拘泥することがおかしい。サイエンスにおいて仮説とは、世界のしくみを説明する仮のはかりにすぎないし、同じくらい重要な別の視点も存在するものだ。

こんな頓智ばなしは、わたしが今朝おもいついたのでなく、SF作家のエッセイなどでは、よくかたられてきたサイエンスのトリセツだった

星新一のショートショートで、オチで規定概念がくつがえされるエピソードが多いのなら、じぶんの中で何がどう変化したのか、ちょっと整理すると読書効果は UP する。

わたしが、アニメ映画『 風の谷のナウシカ 』で一番好きなプロットは、腐海の底でナウシカが、考えつづけていた腐海の存在意義に回答をみつけ、世界の認識を深くした瞬間に、行動から迷いが消えることなんだよ。

アスベルと、チコの実とかを食べているんだけど、( 物語の舞台設定に、登場キャラが気づく )浄化のメカニズムを確信したことがバイタリティーになるのは、おもしろい。

じぶんのまわりの環境を理解することは、悟りというか、認知の歪みが消え去り、意識が森羅万象と一体化することにすら似るのではないか? 大袈裟かな。スピリチュアルじみているかもしれないw。

後方から銃撃してくる、コルベットの弾幕を神回避するんだから、チコの実は食べてみるもんだよw。

すぐれたSF作品や、SF作家のエッセイは、さまざまな思考パターンを提示し、いくつもの理論の有効性と限界、および適用される( 限定 )条件を示してくれた。

規範となるべきロールモデルは、主流派のひとつだけが、時代にふさわしいのではないのだ。

同時代者の読者ウケを自己目的的に追求し、人気を得るために描かれた流行のベストセラーは、制作サイドが利益をあげるためのテンプレでしかなく、語り継がれて残る文芸ではないので、ファンにも評論家にも評価され、読んでおかないとソンをする基礎文献も、たまには勉強しよう。




2021.02.26.追記 :

この記事の初出は、筆者の togetter の無料のまとめ第5屠殺場 」であり、採録記事です。

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