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「近年急増!?なぜアーティストは“幽霊”を歌うのか」“幽霊ソング”を様々な角度から分析!

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

10月26日(火)のオンエアでは、「近年急増!?なぜアーティストは“幽霊”を歌うのか? 」をテーマにお届け。ゲストは、エンタメ分析家のまいしろさん。

■幽霊ソングは大きく2パターン!?
皆さんはお気づきだろうか。近年、「幽霊」について歌うアーティストが増えていることに……。そんなことに気づいたSONAR MUSIC特別解析班は、エンタメ分析家のまいしろさんに調査を依頼。すると、本当にここ2〜3年での増加傾向が判明!

番組では、今の音楽シーン、歌詞の潮流を探る「幽霊ソング」調査報告会を行った。「幽霊」と言っても、本当の幽霊について歌ったものから、「いなくなってしまった元パートナー」の比喩、「周りから見えていない自分」の比喩など、使われ方も様々。

今回協力していただいたまいしろさんによる調査結果を報告してもらった。

調査報告その①
「幽霊ソングは大きく2パターン! 「自分が幽霊」派と「他人が幽霊」派」

あっこゴリラ:「幽霊」は見えないものとして使われることが多いと思うので、「自分が見えない」歌と「見えない他人」の歌で別れそうですよね。具体的にはどんな歌がありましたか?
まいしろ:「自分が幽霊」派にも2種類あって、まず“がんばる幽霊”。これは、この世界にうまくなじめないけど、なんとか存在している自分のことを幽霊に例えるタイプ。具体的には、BUMP OF CHICKENの『歩く幽霊』がそこに入ります。
あっこゴリラ:なるほど~。もう1つは?
まいしろ:“がんばれない幽霊”です。失恋したり、片思いした自分のことを幽霊に例えているタイプ。具体的には、4s4kiの『GHOST』がそこに入ります。実は、今回調査した中で最も多い幽霊が、この“がんばれない幽霊”だったんです。
あっこゴリラ:もう一つのパターンの「他人が幽霊」派は、どんなことを歌っているんですか?
まいしろ:嫌な相手を幽霊に例えていたり、都会に疲れた人を例えることが多いですね。具体的には、ギターウルフの『幽霊ユー』とかOchiunismの『Ghost Ninja』がこれに当たります。

調査報告その②
「幽霊ソングが増え出したのは2009年! 急増し始めたのは2020年」

あくまで番組調べだが、以前は年に1〜2曲だった幽霊ソングですが、2009年以降は平均的に年4曲以上がリリース。そしてなぜか2020年に一気に11曲に膨れ上がり、今年もすでに10曲以上リリースされている。

あっこゴリラ:なぜ近年、幽霊ソングが増えてきたと分析しますか? <br />
まいしろ:一つの仮説は、ラップが増えたからかなと。ラップが増えて、全体的に「歌詞に使われる言葉の数」が増えてきて、その中の一つが「幽霊」なんじゃないかなと思います。
あっこゴリラ:幽霊って、本当語呂がいいですもんね。他には? 
まいしろ:もう一つの仮説は、コロナ禍の影響かなと思います。2020年以降の曲は、「孤独」「世界になじめない自分」を歌ったものが多かったんです。やっぱり、生死に関わるニュースを見ることが多くなり、歌詞のテーマも影響を受けてこの「幽霊」ってワードをみんなが使っているのかなって思いました。
あっこゴリラ:先ほど、幽霊の使い方が多様化したと仰っていましたが、どのような変化がありましたか?
まいしろ:2009年から幽霊テーマの曲が増え始めていますが、当時は「都会に疲れた人」「失恋した自分」を幽霊にたとえる傾向があり、「まるで幽霊みたいだ」的なストレートな内容の歌詞が多かったんですよね。それが2019年から一気に多様化し、詩的で難しいものが増えたと思います。


■ニガミ17才・岩下優介の考える「幽霊」とは
続いて、アーティスト本人は何を考え「幽霊」をテーマにしているのか、昨年、SONARTRAXにもなっていた『幽霊であるし』をリリースしたニガミ17才のお二人に話を訊いた。

一体、この『幽霊であるし』にはどんな意味が込められているのだろうか。

岩下:俺は「幽霊」というワード自体が、亡くなった側じゃなくて遺された側の夢とか記憶という感覚で使っているね。夢と近いんだけど、もうちょっと儚いというか、もうちょっと制限があるものというか。「幽霊」は新しいことはできない。人間のときにやっていたことしかできないイメージがありますね。
平沢:なるほど~。
岩下:でもミッキーマウスみたいに、この世に1体しか存在していないみたいな、この人が幽霊として記憶を再生しているときは、他の人は再生してないものって感じかな。
平沢:おもしろいですね。
岩下:生前やっていたことだけを繰り返すだけの存在とか異様感、謎感みたいなものをポップな言葉として「幽霊」みたいな感じで使っていることが多いですね。

近年、幽霊が数多く歌われていることについて、ニガミ17才のお二人がどう思っているか訊いてみた。

平沢:例えば、「ゆらゆら帝国」とかでも「幽霊」ってワード多いよね。
岩下:『幽霊の結婚式』とかね。けっこう使ってらっしゃるんじゃないかな。やっぱりそれに少なからず影響はされているよね。
平沢:うんうん。作詞とかミュージシャンの立場的にそれをどう考えますか? ってことですけど。
岩下:特集するくらい捉え方がそれぞれ違うわけだけど、そのわりにはキャッチーな実像があるよね。思い浮かべられるものがみんなにあるというか。キャッチーだから、玄人が使いたがる言葉なのかもね。
平沢:確かに。不気味とかじゃなくてなんかオシャレな感じもするしね。

■異質だった幽霊ソングをピックアップ
最後のブロックでは、なかでも異質だった幽霊ソングを取り上げた。

あっこゴリラ:やはりオリジナルな使い方をするアーティストもいましたか? 
まいしろ:本物の幽霊について歌っている曲は、やっぱり異質でおもしろいなって思いましたね。
あっこゴリラ:では、まいしろ調査報告! 「異質な幽霊ソング」1曲目は? 
まいしろ:中島みゆきさんの『幽霊交差点』です!
あっこゴリラ:こちらはどんな曲なんですか? 
まいしろ:2009年にリリースされている曲で、ガチ幽霊ソングです。いい曲で、しっとりとしたバラードの曲に見せかけているんですけど、本当にオチがなくてただの怖い話なんですよ(笑)。
あっこゴリラ:え!? 怪談話? 
まいしろ:本当にただの怪談話の歌で、聴き終わったら、タイトルにあるように交差点に気を付けようって気持ちになりました。
あっこゴリラ:あはははは! おもしろい!

あっこゴリラ:まいしろ調査報告! 「異質な幽霊ソング」2曲目は?
まいしろ:中村千尋さんの『ごめんねカレーうどん』です!
あっこゴリラ:どんな曲なんですか?
まいしろ:2021年にリリースされた、熊本出身のシンガーソングライターの中村千尋さんの曲です。かわいい曲のように見せかけて、ガチの幽霊の曲になっています。
あっこゴリラ:おお~! なんかポップな感じに聴こえますよね。
まいしろ:そうですよね。PVもかわいい感じで、でもその平和な感じが逆に怖いなって思いますね。
あっこゴリラ:なるほど~。続いて、まいしろ調査報告! 「異質な幽霊ソング」ラストは?
まいしろ:ドミコの『幽霊みたいに』です! 
あっこゴリラ:どんな曲なんですか? 
まいしろ:2017年リリースの曲で、私は「自分が幽霊」派の“がんばる幽霊”に分類しました。「夜にふらふらしている夜型の自分」を幽霊に例える曲ってちょこちょこあったんですけど、特にこの曲は、夜に寝れないときのことを歌っていて「気持ちわかるな~ 」って思いました。寝れないときにぜひ聴いてみてください!


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【番組情報】
J-WAVE 81.3FM『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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