見出し画像

前衛芸術家/ミュージシャン/活動家、様々な視点からオノ・ヨーコを紐解く!

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

2月17日(木)のオンエアでは、「オノ・ヨーコという人」をテーマにお届け。ゲストに、YouTube『みのミュージック』のみのさん、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIが登場。

■芸術家としてのオノ・ヨーコ

まずは、YouTube『みのミュージック』でお馴染みのみのさんに、芸術家としてのオノ・ヨーコについて話を伺った。

あっこゴリラ:オノ・ヨーコさんは、お父様の仕事の都合でNYに渡米し、大学時代に作曲家の一柳慧さんと出会い結婚。その頃から前衛芸術活動を始めたとのことですが。
みの:学生のときは、まだそこまで芸術家になろうとは思ってなかったようで、だんだんと関心が向き、59年に「フルクサス」という芸術団体に参加して、パフォーマンスアートの活動を試行していく流れです。代表的なものは、床に置かれたキャンバスを観客が踏みつけることで完成する『踏まれるための絵画』とかですね。
あっこゴリラ:その後、66年にはロンドンの現代芸術協会に招かれて渡英して、ロンドンに活動の場を移したのがきっかけでジョンに出会ったんですよね。
みの:そうですね。


みの:(曲を聴いて)この頃はパフォーマンスアートだけではなく、音楽活動も彼女の中では重要な表現の一つになっていて、マジでカッコいい曲なんです。
あっこゴリラ:イントロからすごい!
みの:痛快ですよね。パンクとかが70年代中盤とかなんで、そういう意味でもその辺先取りしちゃってるって言えますよね。
あっこゴリラ:アートでの代表作品は、他にどんなものがあるんでしょうか?
みの:『グレープフルーツ』という書籍があるんですが、暗示的なというか、ハッとさせられるような短い文章が書いてあって。有名なもので「イマジン~」とか、「空が庭の穴にそそぐのを想像してごらん」という文章がけっこうあるんです。それがもろにジョン・レノンの『イマジン』の元ネタになっちゃってて、おもしろいんですよね。
あっこゴリラ:最初のころとか叩かれたりしそうですよね。
みの:そうですね。そもそもビートルズの知名度もすごいし、そんな中でアジア系の女性で前衛美術家で、しかもジョンとの結婚が3回目の結婚だったり、年上だったり、そういう偏見を全て跳ね返して力強くいろいろ作品を発表してきてるってことですよね。
あっこゴリラ:アートで跳ね返してるのがすごくカッコいい!
みの:そこを創作で表現しているところが本当にカッコいいですよね。
あっこゴリラ:みのさん的に、オノ・ヨーコさんのアート作品のすばらしさってどう捉えられてますか? 
みの:彼女のアートって、東洋哲学とか俳句とかの影響が大きいと思ってるんです。『グレープフルーツ』の文章とかもそうですが、俳句的な“そぎ落とした美”というのをかなり世界に広めたと思っていて、そこにシンプルさとか力強さがすごくあると思います。


■音楽家してのオノ・ヨーコ

続いて、オノ・ヨーコとも交流があるLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIに、音楽家としてオノ・ヨーコについて話を伺った。

あっこゴリラ:ビートルズの関係性から語られることが多いと思うんですけど、音楽家としての彼女をもっと知りたいのですが。
NAOKI:普通ミュージシャンって格好良くしようとしちゃうんだけど、ヨーコさんの場合、音楽を演奏したり、伝える行為自体はヨーコさんの表現のごく一部で、そこにどんな格好で立って、どんな声色でその曲を表現して、オーディエンスがどう感じて、どう家に持って帰るかまで全部が芸術みたいな、そういうイメージがあります。
あっこゴリラ:なるほど~。
NAOKI:ロックとか演奏するときも、共通言語で使うメロディーを自然とチョイスしちゃうんだけど、ヨーコさんの場合は、例えば伴奏がロックだったとしても、音楽の世界じゃないところから何か引っ張ってきて自分の声と化学反応を起こしたりとか、いつも先を行っているというか、10年後「こういうことだったんだ! 」って気づくような音楽の表現の仕方をしている気がします。
あっこゴリラ:確かにヨーコさんって、最初から囚われていない感じがしますよね。
NAOKI:ヨーコさんの中では奇をてらっているのではなくて、その空間で感じた全てを表現したらこうなった、どう見られるかとかではなくどこまで人に伝えられるかっていう思いだけでやってるような。
あっこゴリラ:そこがすごいんですよね。すべての行動のコアにそれがある気がしますよね。


あっこゴリラ:この曲を選んだ理由は?
NAOKI:前衛芸術家というスタンスを持っている方が、スタンダードというのを表現するとこんなにシンプルで美しいものができるんだって感動した曲です。
あっこゴリラ:NAOKIさんがヨーコさんの音楽から受けた影響って、どんなところですか?
NAOKI:印象的な言葉をたくさんいただいています。例えば、「私は早い段階でそうすることができなくなっちゃったけど、仲間と一緒に音楽を作り上げるってことは本当に美しいことだから長く続けてほしい」とか、「私たち音楽家や芸術家はパワーを持ってるのよ。そのパワーをそのたくさんの人とシェアして、世の中を芸術のパワーで明るくしていきましょう」とか。熱く語っていましたね。
あっこゴリラ:ヨーコさんがやってきたことを考えると説得力がありますよね。
NAOKI:一人間として仲間と過ごした日々というのを、今でもすごく大切に思ってるんでしょうね。

■愛とフラストレーションの両方から生まれた作品

ここからは、オノ・ヨーコが世に送り出した音楽作品に焦点を当てたトリビュート・アルバム『Ocean Child : Songs of Yoko Ono』を掘り下げた。

このアルバムの参加ミュージシャンであり、キュレーターのデス・キャブ・フォー・キューティーのベン・ギバードは、今作について「愛とフラストレーションの両方から生まれた作品。“愛”の部分は結構分かりやすいが、フラストレーションはずっと昔に遡る。提唱者としてクリアすべき最も高いハードルは、ヨーコの作品の幅広さが一般の人々にほとんど知られていないということ。彼女は、1枚のアルバムに前衛的なものからバブルガム・ポップまで様々な作品を表現してきたアーティストなんだ。彼女のソングライティングは、長い間犯罪的なまでに見過ごされてきたと思う」とコメントしている。

あっこゴリラ:NAOKIさんは、このコメントどう感じましたか?
NAOKI:オノ・ヨーコ信者の積年の思いが……(笑)。
あっこゴリラ:あははは!
NAOKI:本当にそうなんですよ。ヨーコさんって、新しいじゃないですか。ジョンの最後のアルバム『ダブルファンタジー』でも、ジョンのパートももちろん大好きなんですけど、今の耳で聴くとヨーコさんの曲の方が先行ってるというか、そのあと訪れるニューウェイヴブームの中で表現されるようなことをけっこうやっちゃってるんですよね。
あっこゴリラ:うんうん。
NAOKI:ジョンは原点回帰しているように思えて、その間に入っているヨーコさんは「未来はこうなのよ」っていうのを逆にやってるような感じがして。でも、そのコントラストでジョンの曲も飽きないし、ヨーコさんの曲もすごく尖って聴こえるし、バランス感覚というかスタンダードから前衛的なものまで全部を表現してたんじゃないかな。

NAOKI:(曲を聴いて)肯定してもらえる感じが半端ないですよね。そもそもロックって、アンチテーゼ的な意味で存在してたと思うんですけど、僕が思うにジョンの音楽が世界で初めて「YES」っていうロックをやったんですよ。ヨーコさんとジョンとの出会いにもなった作品もそうですけど、ヨーコさんの肯定して相手を受け入れるという表現の仕方の「YES」が、ジョンの「YES」ってロックになって『イマジン』にたどり着いたんだと思います。

PC・スマホアプリ『radiko.jpプレミアム』(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は『radiko.jpタイムフリー』機能で聴き直せます。


画像1

【番組情報】
J-WAVE 81.3FM『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?